「半分が過ぎ・・・」

 私の場合,職業上の制約でアブダビには3年間しか滞在できません。それより早く帰国することも,それ以上この職業を続けて滞在することも,基本的には無理です。その滞在も半分が過ぎようとしています。

 その私なりに,できるだけここに住む多くの国の人たちと同じような場にいたり,体験をしたりしたいと思っていました。労働者として入国している人たちと同じようなレストランで同じようなものを食べ,暑い季節に暑い屋外を歩きました。中途半端な疑似体験だと言われればそれまでなのですが,アブダビにいたという事実を自分の中にも残したくて,心がけてきました。そしてこのウェッブサイトはその私の目を通して感じたことを書こうと思いました。その中で,日本との違いが見つかったり,日本を見つめなおすことができたらと考えていました。

 1を見て10を知るとも思っていませんし,私の感じたことが全てだとも思っていませんし,勘違いもはなはだ大きいことかと思います。アラビックができるようになったわけでもないので,労働者の人たちともろくに話ができないのですから,何を知ることができたのかと振り返ると,1年半という時間は余りにも短く,私の力も足りません。

 最近感じるのは,「一体日本ってどんな国だったけか」ということです。「経済大国?」「アジアのリーダー?」「伝統文化を守る歴史の国?」「高い技術を持った民族?」「安全性世界最高水準の国?」「教育が程よく施されている国?」・・・。どれも実態が思い出せなくなりました。アブダビや欧州の国々に触れることを通して,こういう日本の姿が見えてくるかと期待してきたのですが,残念ながら。その代わりに見えたのは,「自分の首長国なりの個性を目一杯に出そうと国創りを進めるU.A.E.各首長国の努力」「困っている者に対して無欲で手を差し伸べる,砂漠の中で出会った労働者の人たちの純粋な人間性」「暑く,乾き,日に何人も通らない岩山の山頂でヤギの世話を続ける老人の強さ」「数々の差別を受けながらも負けずに生きようとする,労働者の人たちのたくましさ」・・・そして,職業的な,立場的な,そして国籍の保護の下,何もしないでも自分でやっているような気になっている自分の,何というか,情けなさ。そういったものです。

 これから1年半,私は何を見て,何をすることができるのでしょうか。どうしたら信じていた日本の姿を見ることができ,自信を持って歩ける日本人となれるのでしょう。ここで会うだれに対しても私は負けています。どうしたら日本のウェッブサイトにアクセスして「やっぱり日本だよな」と思えるようになるのでしょう。(どうしてウェッブサイトには,見るものを哀しくさせるような記事しかないのでしょう)浅い見識しか持たない私なりにも日本観,日本歴史観はあります。半公共性を持つウェッブサイトという場には書くことはできませんが,とにかくいま「やばいぞ」という思いで一杯です。「今日を思い切り生きる」でもよし「明日の世界を創る」でもよし,とにかく「はっきりした日本」を見たい,創りたいという思いです。

 こんなことを感じながら,任期の半分が過ぎていきます。