門前小僧
 フィルタ設計例

 【設計例1】
 次の条件で、正帰還形2次低域通過フィルタを設計せよ。
 (1)図EX1.1でのとき、電圧ゲインを変数として
    2次低域通過フィルタを設計せよ。
 (2)(1)の条件で、複素平面を用いて極配置と振幅特性、位相特性を説明せよ。
 (3)図EX1.2で電圧ゲインのとき、の値を変数として
    遮断特性が(1)と同じ同一のフィルタを設計せよ。

   

  (解)
  (1)
    伝達関数
          ①
    ここで、 とおいて上式を整理する。
    
    とする。
    
         
    
     とおく。
    
    ここで、とすると
    
    このとき、からとなる。
    以上のことをまとめる。
    のとき
    に設定すると
    
    
    つまり、下図のようになる。
    

  (2)
    ①において、として整理する。
    
    
        
    (ここで、 、 
    振幅特性
    
    位相特性
    

    

  (3)
    
    (1)の①式より
    
        
    を変数として、を代入し、とおいて整理する。
    
    ここで、
    とおく。
    
    
    より
    であるから
    
    バターワース特性はなので、よりとなる。
    要求される遮断特性はなので
    よりから
    が得られる。
    まとめ
    のとき
    に設定すると、
    
    
    の下図に示すフィルタが完成する。

    

 【設計例2
  次の条件で、2次高域通過フィルタを設計せよ。
 (1)図EX2.1で、のとき、電圧ゲインを変数として
   2次高域通過フィルタを設計せよ。
 (2)(1)の条件で、複素平面を用いて極配置と振幅特性、位相特性を説明せよ。
 (3)図EX.2.1で電圧ゲインのとき、の値を変数とし
   て遮断特性が(1)と同一の2次高域通過フィルタを設計せよ。

 

 (解)
  (1)
    伝達関数
    
    ここで、のみ変数として、とおいて整理する。
    
    
    とおく。
    
    
    ここで、とおく。
    
    ここで、とおくと
    
    まとめ
    のとき
    電圧ゲインに設定すると
    
    振幅特性 
    の2次高域通過フィルタが完成する。

    

  (2)
    伝達関数に、を代入する。
    
    分母=0として極を求める。
    
    ここで、とすると
    
        
    これにより分母を因数分解する。
    
    振幅特性
    
    
    図EX2.3においてが変化する場合、のとき、が最小となるため、
    振幅特性は最大となり、となる周波数から振幅特性は単調減少となる、
    また、位相の極限値は0となる。さらに、のとき、極の実数軸値絶対値
    と虚数軸値絶対値とが等しくなり、の関係が成立している。

    

  (3)
    伝達関数を変数、初期条件を代入し、
    さらに、とおく。
    
        
        
    ここで、       
    とおく。
    
    
    ここで、とおく。
                 ②
    とすると、が成り立つ。
    なるを用いると、となる。
    
    が得られる。
    ②式でを代入する。
    
    まとめ
    のときに設定すると
     、 
    
    の2次高域通過フィルタが完成する。

    



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