ビールのソムリエ ビールとTPO 2

苦みの程度と商品戦略

味香り戦略研究所が、2007年から10年までビール大手4社が販売した商品154品目の苦みの度合いを数値化した。グラフはその商品の苦みの程度を2009年販売量でプロットしてみた。


もっとも販売量の多いスーパードライは全体のほぼ中間であり、その苦みを100としている。最も苦みが強かったのはキリンのクラシックラガー、最も苦みが弱かったのはサッポロのドラフトワンだった。プロット数は少ないものの、各社別に傾向をみると興味深いことがわかる。アサヒの苦みの程度は76〜100。それに対して、キリンは苦みの程度が61〜269と幅広いものの、主力の一番搾り、淡麗、のどごしは70〜88とスーパードライより苦みが弱いところに集中している。サントリーの場合、売り上げを伸ばしているザ・プレミアム・モルツは苦みの程度が174と高いが、一方で第3のビールの主力の金麦は91程度。サッポロは、ヱビスが246、黒ラベルが170とビールの主力は苦みが強く、第3のビールで健闘している麦とホップも153と苦い部類に入る。
ビールの味は「苦み」だけではないので、これだけで判断するのはできないが、アサヒの場合、過去に苦みを効かせたビールを発売したもののヒットにつながらなかった。スーパードライは当時、キリンラガーやサッポロ黒ラベルに比べて苦みを抑えたビールとして登場した。そして最近になって発売する発泡酒や第3のビールは味の系統がよく似ているスーパードライとの差別化に苦労したところがある。最近のアサヒの足踏みはこういうところにも問題がある。
キリンの場合、キリンラガーはかつての定番品であったが、スーパードライの登場以降劇的にビールの嗜好が変化したことから、長きにわたって苦戦を強いられてきた。今は幅広い品揃えと、ビール、発泡酒、第3のビールそれぞれの主力商品はど真ん中の直球勝負でスーパードライに対抗している。
サントリーは、アサヒとキリンの隙間に上手く入りこんだ商品がしっかり根付いてきている。
このように整理するとサッポロの問題は一目瞭然! ヱビスと黒ラベルという苦みの定番品を持つのはいいのだが、苦みの弱い主戦場域において、強い製品を何も持ててないのである。
日経10-6-18ホームページ参考。

泡が長持ちする大麦を探せ。

日経09-09-21より。サッポロビールは岡山大学を共同で、泡が長持ちするビールに適した大麦の品種を効率よく見つけ出す手法を開発。従来、約10年かかっていた新品種の泡の評価が最短1年程度ですみ、新製品開発が効率化できる。ビールの泡は、見た目や香りの保持など品質を大きく左右する。醸造方法の工夫で長持ちするようにもできるが、原料となる大麦の品種によって泡が持つ時間は2〜3割差があるという。サッポロは海外を含め31種類のビールを詳しく調べ、ビール中に含まれる「プロテインZ4」と「プロテインZ7」という2種類のタンパク質の量と泡が持つ時間に比例関係があることを突き止めた。さらに大麦に2種類のタンパク質をつくる性質があるかどうかを見分けるDNAマーカーを開発。従来のように試験醸造しなくても泡持ちがよいかどうかを判別できるようにした。

日本初の缶ビール発売。

1958年9月15日、朝日麦酒(現アサヒビール)が日本初の缶ビールを発売。容量は350ml入り、価格は75円だった。当時はフタに缶切りで注ぎ口と空気口の2ヶ所に穴を開け、コップに注いで飲むスタイルだった。瓶ビールと品質差はないとの研究成果もあったが、「風味が劣る」との消費者の固定観念は強く、売れ行きはなかなか伸びなかった。
その後、アルミ缶の導入やフタの改良などが進む。普及のきっかけになったのが、1990年代に始まった酒類販売免許の規制緩和。それまで一般酒販店が家庭にも瓶ビールを配達していたが、スーパーやコンビニの店頭にも缶ビールが並ぶようになった。現在ではビール系飲料に占める缶の比率は、約7割。そのほとんどがアルミ缶。:日経09-9-14より

ビールとハゲの関係。


2009-6-28。キリンビールが毎年取りまとめている「国別1人当たりのビール消費量データ」(一部追加)と、アデランスが世界各地で調査している「世界の成人男性における薄毛調査」のデータを合わせると、グラフのようなトンでもない結果がでてきます。わずか17カ国でのデータですので、これを真実と受け止めるか、単なる統計のマジックと受け止めるかは、あなた次第です。総じて西欧の薄毛率は高く、東〜東南アジアの薄毛率は低いですが、ビールの消費も同様の傾向はあります。ビールの消費量は比較的少ないイタリアやフランスも薄毛率は高いのはワインのせい??? 科学的根拠はないですが、ビールの消費と薄毛の関係を、文化・嗜好、国の成長性などと比較してみると限りなく語れますね。取材中の韓国は、薄毛率が22.4%と低いですねぇ。
調査対象国:チェコ、スペイン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、イタリア、ポーランド、オランダ、カナダ、ロシア、オーストラリア、メキシコ、日本、タイ、韓国、中国 以上17カ国。

ビール瓶の王冠。

2007-4-14。日経。ビール瓶の王冠のギザギザ(ひだ)は21個。実は大瓶、中瓶、小瓶はどれも口径が同じで、王冠の ひだの数も21で統一されている。日本工業規格(JIS)で1994年までビール瓶用のひだの数は21と規定されていて、現在 でも各社がその数を踏襲しているようだ。
ビールメーカーに王冠を納入している日本クラウンコルク (東京・千代田)によると「丸いものを締め付ける時は3点でおさえるのが力学的に最も安定する。それでひだ の数が3の倍数になっている」(営業開発部)。3の倍数なら18や24という選択も考えられるが「ビール瓶の口径から考えた、 固定性、栓を抜くときにひっかかりやすさなどから21という数字が最適」なのだという。
ビールの王冠は19世紀(1892年)に、ウィリアム・ペインター(William Painter)という人物がつくったというのが定説。貴族がかぶる王冠(クラウン)に似 ていたことからそう命名されたといわれ、当時から21個のギザギザが適正値とされていたらしい。

1日1缶でガン予防

2002-4-19。週間ポスト。キリンビール基盤技術研究所(主任研究員 近藤恵二氏)、 国立ガンセンター、岡山大学の共同研究によって 1日1缶程度のビールを飲むと大腸ガンや前立腺ガン等にかかりにくくなることがわかった。 マウスによる研究成果に基づくものであり、日本薬学学会、日本農芸化学会、米国がん学会で 相次いで発表。研究ではビールだけでなく、発泡酒やアルコール抜きのものでも効果が あったようであり、効果のある成分が麦芽からいくつか見いだされているとか・・・まあ サラリーマンはこういう記事をダシに健康にいいとビールをがぶ飲みするのでしょうが 要は適量がベストですよね。

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