信濃ビール(長野県信濃町)

信濃ブルワリーチェスナッツパブ。長野県上水内郡信濃町野尻上山桑2121−2。電話026−255−6633。「マウンテンエール」:アンバーエールスタイル。アルコール度約4.5%。繊細な味わい、泡立ちとともにすっきりしたのど越しが特徴。他に「信濃エール」(英国風ペールエール)、「ドラゴンエール」(ダークエール)、「黒姫スタウト」(黒ビールスタウト)がある。長野の黒姫山麓の清らかな地下水を利用。
 日経産業1999-3-1。蕃龍(関口英世社長)が手掛ける。もともとは73年に長野市内のラーメン店としてスタートし、96年に地ビール事業に進出。従業員20人、資本金3000万円。売上高5億円(98年4月期)。注目すべきは、国内に例をみないゼロエミッション(廃棄物ゼロ)の思想に基づく生産システムに挑戦していること。地ビールの麦芽や搾りかすや廃液を資源とし、パン製造、キノコ栽培、牧畜、魚の養殖、野菜栽培・・・すべてを循環させる「環境農園」をつくり出す試み。
 98ー7月に計画を打ち出す。ゼロエミッション構想の提唱者、グンター・パウリ氏が代表を務めるスイスのZERI財団と契約し、ノウハウの提供を受けている。計画には東京大学をはじめ国内外の研究者も参加している信濃ブルワリーでは年間60klのペースで地ビールを醸造し、同20tの搾りかすがでる。麦芽の搾りかすをパンの原料やキノコ栽培用の培地、ミミズ養殖に活用。ミミズや、その養殖とキノコ栽培の後に残ったかすは、牛や豚など家畜の餌とする。一方、ビールの廃液や家畜の排泄物は発酵装置に蓄積し、水を浄化すると同時にメタンガスを発生させる。発生したガスは発電などに利用。浄化した水は動物性プランクトンを含む点を生かし、そのまま養魚池で魚の養分とする。池の水を用いて野菜も栽培する。「大手企業が手掛けているような廃棄物ゼロ運動は本当のゼロエミッションじゃない。コストが持ち出しになってはだめ。廃棄物に付加価値をつけ事業として成立させるのが真の姿だ」と関口社長。雪解けを待って、ビール工場を中心とした約1万6500平方mの用地で施設の整備に乗り出す。夏までにキノコ栽培やパン工房の整備を済ませる考えだ。家畜の飼育は外注する予定だが、発酵装置の設置や養魚池、野菜畑を含め2000年夏をメドにほぼ完成させたいとのこと。
・・・・・・今、地ビール事業は曲がり角にさしかかっていますが、こういう新しい取り組みが地方からわき上がってくるのは非常に楽しみです。利益追求は必要ですが、夢の実現が何よりの原動力ではないでしょうか。こういう取り組みは本来大企業で率先してやるべきなのですが、現実には利益優先となっている体質が実現を阻んでいます。

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