キリンビール 佐藤安弘社長

日経産業99-7-11。東京都出身。63才。早稲田大学商学部卒。1958年(昭和33年)入社。近畿コカ・コーラボトリングなど2度の出向を経験した後、90年取締役。常務、専務を経て96年3月から社長。ビール会社で主流とされる営業の経験がないなど、同社トップとしては異色の経歴。社長就任後、徹底した陣頭指揮や発泡酒の投入などで、市場シェアの低迷を食い止めた。週1回、相手のいない時は一人でゴルフ場にいくほどのゴルフ好き。休日はそのゴルフか近所のスーパー巡りなどで過ごす。

キリンビールの常務以上の取締役一覧
取締役数 33人。平均年齢57.9歳(99-6月末現在)
役職氏名年齢出身校
社長佐藤 安弘63早大商
副社長中村  和64慶大経済
専務岡村  進62京大農
白石 英雄60慶大商
榎本 良夫60東大法
荒蒔康一郎59東大農
常務佐室 瑞穂60東大農
馬渡 雅夫59九大農
盛岡 良之58広島大工
北村 勲平58京大農
浅野 直道58一橋大商
智田 秀穂58慶大商
長谷川 脩58一橋大経済

佐藤社長インタビューより
役員を選ぶ基準については「知識や技能、スキルも重要だが、より大事なのは人格だ。具体的には、自らに厳しく、公私のけじめを持ち、私益よりも会社の利益を優先することだ。会社という縦社会では役員は相当な権限を持つ。自らを律することができないとつとまらない」

人格以外に重視てしている点は「リーダーたるもの率先垂範が重要だ。自分が進んで動かなければ下はついていかず、チームは前に進まない。もちろん間違った方向に進まないためにある程度の知識や技能は必要だが、それよりどれだけ会社人間と言われようと、私欲にとらわれず働くことのほうが大切だ」

取締役33人は多いようだが、取締役会の活性化については「本店勤務の常務以上による週1回の経営会議に、案件によって地方の常務も出席している。意志決定はそれで特に支障はない。月一回の取締役会では確かにあまり議論はできないが、質問する人もいるし、意志の伝達の場として十分機能している」「また、当社は常任顧問などをおかず、役員の組織がスッキリしている良さがある。会社のアタマは社長の一人でいい。もし相談役とか顧問とかがたくさんいると、専務、常務クラスが社長を飛び越して相談するようになり、内輪もめとなる。ルールが明確なことの方がより重要だ」

ゴルフは好きだが、出張先では絶対にプレーはしないという。理由は「支店長や工場長が一緒にやろうという話に必ずなるから」。社長の機嫌をとる暇があったら取引先を一件でも多く回れとハッパをかける。

・・・就任後3年での実績がインタビューにも重みを感じさせる。あえて「人格」を重視するところにかつてのキリンの体質の払拭への意気込みがある。取締役33人の多さや取締役会の活性化についてはやや苦しいコメントであったが、社長としての強いリーダーシップで乗り切っているのかなあという印象である。改革には強いリーダーが必要だ。

メールはこちらへどうぞ shungen@he.mirai.ne.jp

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