ビールの業界情報 97年2月〜98年5月

アサヒ、四国工場で仕込み開始

1998-4-14日経産業。アサヒビールは4月13日から、建設中の四国工場(愛媛県西条市)で本格仕込みを始めた。完工式は6月24日。仕込みはコメ、コーンスターチなどの副原料を煮て、麦芽を加える工程。1回当たり約70キロリットル(大瓶20本換算で5500ケース)の仕込み設備、今後1日8回のペースで繰り返す。

サッポロ社長ビールキャンペーンで自ら売り込み

1998-4-14日経産業。サッポロビール枝元賢造社長は、4月12日(日)東京渋谷の恵比寿ガーデンプレイスで実施した「黒ラベル」の試飲キャンペーンで売り込んだ。ビール一気飲みのパフォーマンスも披露。たった30分間の登場でした。ちなみに3月末にはキリンビールの佐藤安弘社長も店頭試飲キャンペーンに登場している。

環境ホルモン不安解消へ調査

1998-5-7日経。食品業界が、生物の生殖機能に影響を与えるとされる内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の実態調査に乗り出す。ビールや清涼飲料用缶の内面塗料から溶出するビスフェノールAは、弱いながら女性ホルモンの作用があるとされる。キリンビールでは自社の缶製品を研究所で緊急調査、「食品衛生法より更に厳格な社内基準値を超える量は検出されなかった」(品質保証部)。アサヒビールも自社の研究所で分析した結果、キリンと同じ結論。

地ビールは184ケ所に

1998-2日経レストラン。日本地ビール協会(兵庫県芦屋市、小田良司代表)によると、97年末時点で全国の地ビール醸造所は184カ所、総生産量は約3万5000kl(同協会の推定値)に上ることが明らかになった。94年春の地ビール解禁から4年弱で、国内のビール生産量に占める地 ビールのシェアは約0.5%に達したことになる。その一方で、シャルレが96年、子会 社を通じて神戸市内にオープンした地ビールレストラン「チャルダ」は、98年1月末 で閉店した。淘汰の時代に早くも突入する可能性が膨らんでいる。「詳細情報」(日経レストランより抜粋)

アルミ缶電子取引を標準化

1997-12-27日経。神戸製鋼所住友軽全属工業などアルミ圧延7社と東洋製缶大和製缶など製缶メーカー7社、キリンアサヒサッポロサントリがプロジェクトに参加 見積りや発注指示などの取引の迅速化や情報機器のコスト削減が目的。

ビール各社営業マンノートパソコン携帯

1997-12-27日経。サッポロ700人の営業マン全員に日立の「フローラ」を98年2月より携帯,投資額はネット整備も会め27億円。キリンは来年300台の富士通ビブロを携帯。キリンの営業マンは900人でまず300台これまで手帳サイズの端末であったがパソコンに切替。 アサヒは既に5月より導入済。・・・やっぱりアサヒは早いですね。

アサヒ、四国工場の操業開始を繰り上げる

1998-1-1愛媛。愛媛県西条市ひうちの臨海工業団地で、平成11年操業開始予定だったアサヒビール四国工場が予定を1年繰り上げ、10年3月操業開始、6月出荷開始を目指し て9年4月に着工。四国初のビール工場となる。

サッポロ、2000年に名古屋工場閉鎖へ

1997-12-19日経。サッポロは2000年を目処に名古屋工場(名古屋市千種区)を閉鎖、約1500億円を投じて2005年開業予定で複合商業施設などを建設する。サッポロの10工場の中で名古屋は中規模であるが、静岡、大阪、九州各工場を増強し名古屋地区へ製品を供給する。キリンも生産体制の見直しを行っているが、サッポロも工場を集約化して競争力を強化するとともに、跡地を活用して不動産事業を拡大する。同社にとっては約3000億円を投じた東京・恵比寿ガーデンプレイスに次ぐ大型再開発になる。サッポロの一人当たりの生産量は年間約950キロリットルと、生産性で首位のアサヒの約1400キロリットルに大きく及ばない。そこで2002年目標で1900キロリットルに引き上げ国際的にもトップクラスの競争力をめざす。

アサヒ、青島ビールと合併

1997-12-12日経、12-17日経。アサヒビールは中国最大のビールメーカー、青島ビール(山東省青島市)や、伊藤忠商事、住金物産、香港の投資会社、鵬兆公司と合弁で「深?青島ビール朝日公司」を設立、約百億円を投じて中国では最大規模の年産能力10万トンのビール工場を建設する。資本金は3千万ドルで、青島と鵬兆が1千万ドル、アサヒは5百万ドルを出資する。中国ではビール業界保護のため、合弁事業で外資が50%以上出資するのは難しく、アサヒも17%の比率となるが、社長に相当する総経理を派遣するなど、合弁会社の経営を全面的に支援する。99年はじめに稼働予定であり、「スーパードライ」などを生産する。

キリン、中国合弁工場で自社ビール生産

1997-12-11日経。キリンは広東省珠海の合弁工場での生産を増強するとともに、同工場から「キリン」ブランドの製品を中国国内向けに出荷する。これまでは、遼寧省瀋陽の委託工場だけで生産してきたが、広東省や上海市などでの需要が大きいことから生産網を拡充する。計画では年間約50万ケース(1ケース355ミリリットル缶十本)の出荷を予定。

キリン、廃棄物の完全リサイクル全工場で実施へ

1997-12-11日経。キリンは98年1月から全15工場でビール製造から生じる廃棄物を全てリサイクルし、飼料や燃料、土壌改良剤、再生紙などに再利用する。これまで10工場で年間約65万トンの廃棄物の99%強をリサイクルしている。残り千歳や仙台など5工場では廃プラスチックなど一部廃棄物の処理ルートがなく再資源化を見送っていたがその約5000トンを1月より全量再資源化する。ちなみに廃棄物は埋め立て処理をしてもトン当たり5万円程度のコストがかかっている。

アサヒ、特金の解約を抑制

1997-12-9日経金融。アサヒビールは97年12月期に特定金銭信託(特金)の解約額を100億円強と、前期末の残高に対し29%にとどめる見通しだ。当初は今期中に特金処理を終える計画だったが、豪子会社の清算を優先、最近の株価下落も響く。

キリン大阪支社 神戸工場で一日勉強!の業務命令

1997-11-19朝日。キリンビール大阪支社が11月中旬から「神戸工場(神戸市北区)で社員の一日研修を始める。大阪支社の約9割に当たる256人が研修する。「最大手の地位が安泰だった時代には、ビールの知識が浅くても問題なかった」(キリン幹部)が、アサヒビールの猛追を受け、それをかわして小売店や飲食店にキリンのビールを置いてもらうには、社員が自社商品を深く理解する必要があるとの危機感から。研修では宿敵アサヒの「スーパードライ」の製法についてもキリンの技術陣で解明できた範囲で学ぶ、また、来春にも発泡酒を売り出す戦略であり、大阪支社は新たなブランドが売り出される時には、工場研修を実施する方針。「うち(キリン)の商品の味やのど越しは、なぜ出るのか。アサヒさんのビールとどこが違うのか。これらを店主さんにわかりやすく説明するための基礎知識を身につけてもらう」とか・・・・・遅すぎる。やっぱりキリンはまだまだです。「安泰だった時代には、ビールの知識が浅くても問題なかった」と考えているキリンの上層部にはまだまだ甘えがあります。

地ビール国際見本市 ’98年7月神戸で開催

1997-11-13日経。「ワールド・ビア・エキスポ’98」が98年7月16〜18日、神戸国際展示場で開催。主催は神戸市の外郭団体である神戸国際交流協会。国内外の地ビールメーカーや流通、機器製造関連企業、地域活性化に活用する団体などの出展を予定。

東洋経済賞 アサヒビール受賞

1997-11-7日経。東洋経済新報社は97年度「東洋経済賞」のカンパニー・オブ・ザ・イヤーにアサヒビールを決定。経済発展に寄与し、活躍が著しい企業として評価。

アサヒ 経常利益、キリン抜く

1997-11-30・12-8日経。97-12月期アサヒの経常利益は450億円と過去最高になるのに対し、キリンは前年比20%減の420億円にとどまる見通しとなり、アサヒが業界トップとなる。本業のもうけである営業利益もアサヒが770億円に対し、キリンは370億円になる。アサヒは清涼飲料部門を子会社に移したことが減益要因になるが、スーパードライを柱とするビールの販売数量の伸びが大きい。特金解約などに伴って営業外に計上する売却損は70億円弱と140億円程度減少する。ただ、豪子会社の清算で200億円の特別損失が発生するため、税引利益は70億円と8%増にとどまる。  キリンはラガーの不振が痛い。全体の売上高は1兆2300億円とアサヒの9700億円を上回るが、アサヒに比べて人員が多いなどのため、前期に逆転された営業利益では格差が一段と開く。キリンは保有株式の簿価を時価で洗い直す低価法を採用しており、11月末時点で短期保有株式の含み損が60億円程度ある。このままでは12月期末に評価損を計上する必要があり、経常利益は更に落ち込む可能性がある。  サッポロは発泡酒やスーパースターの寄与もあるが販売数量は1%減。販促・広告費の増加で経常利益は100億円と31%減る見込み。保有する銀行株などの低迷が続けば評価損が100億円前後になり、経常損益、最終損益が実質的にトントンあるいは赤字になる可能性がある。

神奈川 地ビールレストラン相次ぎ開業

1997-10-30日経。横浜岡田屋(横浜市)が横須賀市に開業した「モアーズシティ」の目玉施設としてオープンした他、鈴廣蒲鉾(小田原市)も11月7日小田原市内に「箱根ビール蔵」を開く。厚木市や茅ヶ崎市でも特産品を使った個性派ビールを提供するレストランが登場している。

アサヒ 缶の発注オンライン化

1997-10-27日経。製缶メーカーとインターネットを使い、受発注のオンラインシステムを構築、運用を開始した。従来の業務を10日程度短縮できる。来春には王冠やラベルなど他の資材にも対象を広げていく。

アサヒ 中国で瓶コーティング

1997-10-27日経。アサヒビールは中国でのビール生産に瓶コーティングを導入する。ビール瓶を回収して再出荷する際、全瓶にシリコーン(有機ケイ素樹脂)を塗布することで耐用年数を約2倍の10年にし、外観を美しく保つことで容器の品質を向上させる。瓶コーティングは日本では一般的だが中国では初めて。  中国にある5拠点のうち、まず泉州ビール(福建省泉州市)でら年初めから稼働。自社ブランド「朝日ビール」は全て新瓶、現地ブランド「金牌紅清源」はリターナブル瓶を使用。来年からは、煙台ビール(山東省煙台市)で「スーパードライ」の生産を始めるなど中国事業を加速する。

サッポロ 遺伝子で大麦選抜

1997-10-25日経。サッポロは遺伝子を頼りに大麦の優良品種を見分ける技術を開発した。ビールの醸造工程に重要なベータ・アミラーゼと呼ばれる酵素の耐熱性を見分ける。品種によりセ氏54〜58度の範囲で耐熱性が違うがその温度に応じビールの風味や香りが変わってくるという。同社はオーストラリア大学と大麦の品種改良を進めており、新技術を活用し品種改良を効率化する。

サッポロ 店頭でビールを瓶詰め販売

1997-10-23日経。サッポロビールはディスカウントストア(DS)と組み、ビールの店頭瓶詰め販売を本格展開する。販売するのは「黒ラベル」。800mlで480円。現在大手酒販店のジャックル浦島屋(東京都八王子市、藤江豊社長)と組み、95年に事業を開始。都内の他、愛知、山口県で供給。年内に群馬県桐生市、奈良市でも始める。

サッポロ 中国でホップ生産拡大

1997-10-15日経。普及品のビターホップを98年からホップの合弁販社、新疆東亜連合酒花(新疆ウィグル自治区阜康市)を通じ現地農家に委託栽培し、中国のビールメーカーに供給する。ビターホップは苦み成分であるアルファ酸が多く、価格もアロマホップの1/3と安い。  一方、高級品のアロマホップについても栽培面積を広げ、98年は収穫量を2割増やして600tに引き上げる。そのうち400tを日本に輸入し、残りを中国に販売する。  サッポロはホップの調達先を多様化するため、87年から中国で生産事業に乗り出した。売り上げは今年の見込みで4億円弱。当初は日本向け供給拠点の位置づけだったが、米国に次ぐ市場規模のある中国ビジネス拡大を狙い、現地向けにも力を注ぐ。

サントリーの多角化経営

1997-10-5日経。個人消費が低迷する中サントリーの健闘が目立つ。「モルツ」は缶入りだけなら1ー8月で前年同期比22%増とアサヒのスーパードライの伸びを上回った。「麦100%だからアワまでうまい」のキャッチフレーズであらためて麦芽100%を強調する広告宣伝が成果を上げた。発泡酒の「スーパーホップス」も1ー12月で2000万ケースを販売する勢い。ビールと発泡酒をあわせたビール事業の販売数量は今年度30%伸びる見込み。坂田敏ビール事業部部長弁「メーカー側がこれが良かれと押しつけるような商品は売れない。消費者の嗜好に合わせた商品開発に徹し、あとは競合商品にない価値観をどう付け加え、ブランドイメージをうまく確立できるかの勝負」。  宣伝上手で定評のあるサントリーだが、マーケティングの基本を忘れ、成果がでない時期があった。80年代初めに全盛を極めたウィスキー「オールド」神話から抜け出せなかったころだ。津田和明副社長は「消費者の嗜好はオールドから離れていたのに、総力を上げればテコ入れできると思い上がっていた」と反省する。今のサントリーに「オールド時代」のすごみはない。しかし、連結ベースの利益では、食品メーカーでキリンビールに次ぐ2番手の位置を占めそうだ。「寄りかかれる大黒柱の商品はなくない、群雄割拠の商品構成に変わったが、その一方で急に失速する心配も薄れた」(津田副社長)。・・・・確かに昨年までのサントリーとは少しかわったような気がします。

キリン、長野五輪のデザイン缶発売

1997-9-26日経。キリンビールは11月上旬から長野五輪を記念した販促活動を開始。公式スポンサーとして競技をあしらった特別デザインの缶ビールなどを発売。

キリン、マーケティング本部長死去

1997-9-30日経。キリンビールのマーケティング本部長浅川幸夫常務は24日出張のためでかけた東京駅で倒れ、25日に心不全で死去した。後任は中村和専務名古屋支社長(62)。中村専務は営業畑を中心に歩んできた。94年に名古屋支社長に就任する前はビール部門の営業部長を務め、販売業務に精通している。・・・あまりこういうニュースを伝えたくなかったのですが企業戦士として少し悲しいものを感じました。

サッポロ、ホップの調達ルート拡大

1997-8-21日経。サッポロビールはビールの主要原料であるホップの調達先を多様化する。現在は独、チェコ、米国などの北半球に依存しているが、南半球からも調達するためオーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンで試験栽培を始めた。オーストラリアなどの農家はホップを生産しているが、品種は普及タイプのビターホップが中心であり、サッポロが使用している高級タイプのアロマホップを委託栽培する。ホップはクワ科の植物でビールに苦みを与える役割を持つ。ホップは産地が限られているため作況による価格変動が激しい。50キログラム当たりの価格は通常25000円前後だが不作寺には3倍以上に跳ね上がり、品質の確保もむずかしくなるという。

サッポロ、独見本市に出展

1997-9-18日本工業新聞。サッポロビールは、独ミュンヘンで9/19から開かれる見本市「ドリンクテック/インターブラウ’97」に出展。簡易型のビールびんの表面塗布装置「ボトルコーティングシステム」、フロンガスを使わないビール充填器「ペルチエ素子ビールディスペンサー」、缶のふたと本体を着ける際に、抜き取りテスト用に商品の一部を解体する「缶巻き締め解体機」の3種類。日本からは他にキリンビールの子会社も出展。

アサヒ、中国で樽詰めビール

1997-9-14日経。アサヒビールは中国で樽詰めビールを販売する。傘下にある北京ビールで製造、北京市などの飲食店へ供給する。年内には取扱店を200店に広げる計画。製品は4月から北京ビールで生産を始めた「朝日ビール」。高級タイプのプレミアムビールとしてまず高級飲食店などで販売する。中国では瓶ビールが中心だが、都市圏の飲食店では樽詰めビールが広がり始めている。

キリンがローラー作戦

1997-9-13朝日。大阪キタ、ミナミの飲食店への営業にキリンビールが力を入れている。「攻撃チーム」の人員を4名から8名にお倍増する「ローラー作戦」に、脈のありそうな飲食店には榎本良夫大阪支社長が顔写真入りの名刺持参で回る。大阪はもともとアサヒビールの発祥の地であるため伝統的にアサヒが強いが、その牙城を崩すのが狙い。

・・・・ひとりごと  キリンの営業も変わってきたということか・・・

背水のキリンー中期3カ年計画

1997-9-4日経。キリンビールは98ー2000年の中期3カ年計画を発表。 (2000年12月期、カッコ内は1996年12月期) 3工場の閉鎖と1000人以上の人員削減が柱。収益とコスト構造を徹底的に見直し、アサヒビールに追いつめられた業界トップの座を質重視で死守する構え。  アサヒは8工場体制で96年の工場稼働率は108%、キリンは15工場体制が重荷になり稼働率は90%を割っている。このためキリンは工場の改造を進め、2000年までに一人当たりの生産性を1.5倍に高める計画。  マルチブランド戦略も今年から打ち出した。「ラガー」に固執した昨年までの方針を転換。発泡酒に参入するほか、「次世代の定番を目指して大型の新製品を開発していく」(佐藤安弘社長)。発泡酒参入はビールを食う懸念があるだけに、キリンの戦略は賭けともいえる。  財務面でキリンは企業の支払い能力を示す手元資金(短期保有有価証券の合計)が97年中間期ではアサヒを1050億円上回るなど、優位に立つ。金融収支でも96年12月期はキリンの50億円の黒字に対し、アサヒは206億円の赤字だ。

  キリンとアサヒの主要収益・財務指標(単位 億円)
キリンアサヒ
売上高13,3149,31296-12月期
営業利益49375696-12月期
経常利益52825796-12月期
金融収支50-20696-12月期
手元資金2,570152097-6月末
有利子負債5904,56297-6月末
 だが、アサヒも急速に財務体質を改善させている。有利子負債総額もピークの92年12月期から今期は4000億円以下に半減、金融収支の赤字も前期に比べ16億円減少する見通し。  守勢にたったキリンは2000年までにコストを300億円改善し、経常利益は96年12月期の2倍弱の950億円を目指す。この間、売上高はわずか2%増の1兆3600億円、シェアも2000年の目標が96年より低く、質重視を鮮明に打ち出している。

・・・・・・ひとりごと・・もっとも大事なことはキリンの殿様商売的な体質であり、これを未だにひきづっている上層部と現場の意識を変えることが第一だと思う。

サッポロの海外展開

1997-9-3日経。「欧州」英ギネス社のアイルランド工場に黒ラベルを熱処理した「プレミアムラガー」を委託生産しているが、昨年より10→15万ケースに増やし、英仏に加え、ロシア・ポーランド、スウェーデンへ輸出。 「中国」昨年末に設立した江蘇大富豪ビール公司が初年度より黒字の見通し。現地ブランド「大富豪ビール」に加え、来年初から黒ラベルをベースとしたサッポロブランド製品の生産も始める。  サッポロの海外でのビール販売は「米国」が最も多く昨年約85万ケースを輸出したが市場は成熟化し、今後大きな伸びは期待できない。 一方で「台湾」への輸出が急増し今年は倍増の100万ケースに増える見通し。

サッポロのアグリ事業部長に「優秀外商投資家」の称号

1997-9-3日経。北京から西へ2000キロ。中国の新疆ウィグル自治区政府は8月8日、サッポロビールのアグリ事業部長 梅田勝彦氏(56)に「優秀外商投資家」の称号を送った。同社は87年、ウルムチ郊外にビールのホップ工場を建設。梅田部長は東京とウルムチを66回も往復するなど、建設準備から今日まで一貫して合弁事業に携わってきた。

輸入ビール市場縮小、拡販へ新手法

1997-8-26日経。輸入ビールは94年の2560万ケースをピークに消費者離れが進み、今年は1100万ケースに落ち込む見通し。専門商社の日本ビール(東京 目黒 内田茂社長)は、メキシコのセルベッセリア・モデロ社から「コロナ・エクストラビール」を輸入、10月から販売。アルコール分4.6%で、アメリカで2900万ケース(1ケース24缶)売れている有力商品。業界で初めて特約制度を導入、最低販売量を決める代わりに販促に協力する。  大手ディスカウンターのサリは、カナダのパシフィック・ウェスタン・ブルーイングと提携、有機栽培原料を使った「オーガニックモルト2001」を輸入する。アルコール分5%。また、オーガニック発泡酒も発売する。同社は約250万ケースのビールを扱い、内1割が輸入ビール。

中華レストランで「霧島高原ビール」販売

1997-8-15日経。グリーンハウスグループの中華レストラン、謝朋殿(東京・渋谷、佐野竜雄社長)は、東京JR新宿駅にある新宿店で「霧島高原ビール」を販売。「ボヘミアン・ブロンド」(300ml 650円)、「ボヘミアン・ガーネット」(300ml 700円)、「ボヘミアン・ハーフ&ハーフ」(300ml 700円)。製造元の霧島高原ビール(鹿児島県溝辺町、山元正博社長)から、宅配便を使って毎日仕入れており、一日平均80杯の販売を見込んでいる。

おむつの隣でビールが売れる

1997-8-30日経。米国の流通業界に「スーパーで紙おむつの隣に缶ビールを置くとよく売れる」という定説がある。紙おむつも缶ビールも若い父親が主な購買層だからだとか。こういう売り上げデータなどの膨大な情報の中からこうした意外な規則性を発見するのがデータマイニング技術である。 [データマイニング]マイニング(採掘)という名の通りコンピューターに蓄えた山のようなデータを独自のノウハウで分析、ビジネスに生かせる情報をみつける技術。

スーパードライ出荷1億ケース突破

1997-8-9日経。アサヒのスーパードライが8日、年初からの累計出荷数量が1億ケースを突破した。昨年より40日早く、今年に入って前年比17%増のペースで販売を伸ばしている。このため8月いっぱいは全工場で缶と樽ラインの2交代操業を継続する。ドライの出荷は7月の販売は7%増にとどまったが、8月になって勢いを回復。例年8月中旬を過ぎると生産ペースを落として定時操業に入り始めるが、今年は月末まで2交代の生産体制を維持して供給量を確保する。

キリン、ビールの仕込みかす再資源化加速

1997-8-8日経。キリンは滋賀工場にビールの仕込みかすを(1)穀皮が多い部分、(2)保水性の高い部分、(3)蛋白質を多く含む部分の3種類に仕分けするパイロットプラントを設置。仕込みかすは麦芽と醸造用水からできた「もろみ」を搾ったもの。1日10tを処理。これまで仕込みかすは飼料や肥料にリサイクルしていたが、この分別によりパルプ代替品やキノコ栽培用の材料へ用途を広げることができる。プラントの建設費は約4億円。10月より本格稼働。国内ビール工場でこうした分別プラントを設置するのははじめて。キリンは全15工場のうち7工場で廃棄物を100%リサイクルしている。今後は他工場でも完全リサイクル化を進めるほか、廃棄物の高付加価値化にも取り組む計画。

キリンの缶ビール、飲み口1.4倍に

1997-8-2日経。国産ビールで初めて飲み口ワイド缶を導入。まず、8月中旬からビール工場とLA2.5に採用。順次ラガーなどにも広げる。飲み口を1.4倍にすることで飲みやすくなる。

サッポロ、キリンの巻き返しなるか

1997-7-27日経。サッポロは、秋口に大型新製品を投入する。通年商品の発売は95年春の「生粋」以来2年半ぶり。キリンは、長野五輪の公式スポンサーになっており販促活動にマークなどを使用できる。7月末からラガーの缶にロゴなどを入れて拡販を狙う。さらに秋に五輪デザインを全面的に採用したパッケージを導入し、店頭でも陳列活動を展開する。季節限定商品も昨冬以来3シーズンぶりに復活させる。

サッポロ、ビール計画を下方修正

1997-7-24日経。97年のビール事業の計画を下方修正する。年初は出荷数量で前年比5%増を見込んでいたが、伸び率を約2%増に引き下げる。主力の黒ラベルの味を飲みやすいタイプに変えるとともに、製法、物流など様々な面での鮮度向上を強調し、アサヒ追撃をめざしたが、上半期の出荷量は前年同期比0.3%減にとどまった。

サントリー、発泡酒の販売数量1000万ケース突破

1997-7-20日経。サントリーの発泡酒「スーパーホップス」の販売数量が1000万ケースを突破。昨年の年間実績である1011万ケースに早くも並んだ。7月は4日間の休日稼働も含めて過去最大の増産体制。同社の主力ビールである「モルツ」とほぼ同じ販売量になる見通し。1000万ケース突破はビールの定番5銘柄に次ぐ。

ブッシュ日本市場を本格開拓

1997-7-7日経。米ビールメーカー。アンハイザー・ブッシュは日本市場開拓を本格化する。今夏から日米間の輸送に低温コンテナを導入、温度管理を徹底してビールの鮮度を保つ。国内では98年までに日本法人が全国で販売する体制を構築する。ブッシュは世界最大のビールメーカーだが、日本でのシェアは1.3%にとどまっている。マーケティング活動を強化することで10年以内にシェア5%を狙う。

アサヒ、瓶ビールを増産

1997-7-7日経。需要がピークになる7月前年比で3ー4%増の生産体制を組む。ビール市場は缶、樽への容器シフトが進み、瓶の需要が減少しているが、スーパードライの好調で飲食店からの瓶ビールの需要が伸びているため。7月は8工場全ての瓶ラインを稼働させ、1工場で2交代を実施する。6月はなかった休日生産も延べ3日間行う。増産に合わせ、今年は約15億円を投じて6年ぶりに大瓶用のビールケースも新規投入し、7月までに計180万ケースを追加する。

ガリバー企業勝ち負け鮮明に

1997-7-8日経。キリンは昨年主力のラガーを生ビールに切り替えテコ入れに乗り出したが、アサヒの躍進を止められなかった。ディスカウントやコンビニエンスストアなどにアサヒが猛烈な勢いで食い込んでいる。キリンは従来の一般酒販店ルートが主体で拡販力で大きな差がついた。

トップ企業がシェアを落とした品目
品目企業名シェア
香水資生堂24.0(-4.4)
プレハブ住宅積水ハウス20.8(-2.5)
ビール・発泡酒キリンビール44.4(-2.2)
国際通話国際電信電話66.0(-1.9)
フィルム富士写真フイルム67.1(-1.1)

トップ企業がシェアをさらに伸ばした品目
品目企業名シェア
携帯・自動車電話NTT移動通信網52.5(+4.1)
ウィスキーサントリー62.1(+3.6)
光ファイバー住友電気工業35.0(+3.0)
病院給食受託日清医療食品34.7(+2.5)
宅配便ヤマト運輸46.3(+1.0)

キリン、物流情報システムを全面更新

1997-7-8日経。キリンは約15億円をかけて来年1月より物流情報システムを全面更新する。事務処理の負担軽減で年間3億円のコストを削減するとともに、オンライン処理の拡大で、ビールの鮮度管理を徹底する。

発泡酒販売量88%増

1997-7-4日経。サントリーとサッポロがまとめた上半期の発泡酒の販売数量は1445万ケースとなり、前年同期比88%増えた。6月に参入したオリオンビールも出足は好調。

吉乃川、地ビール用酵母生産

1997-7月日経産業。吉乃川(新潟県長岡市、川上真司社長)は100%出資の子会社 中越酵母工業で、地ビール用酵母を生産する。元の酵母菌はドイツから輸入した。全国の地ビール工場やレストランに売り込む。

アサヒ、パレット52万枚投入

1997-7月日経産業。アサヒビールは今年1年間にビール配送用のパレットを計52万枚投入する。昨年より7割強多い水準で約25億円の投資。また今年は大瓶用のビールケースも約15億円を投じて6年ぶりに新規投入し、計180万ケースを流通段階に供給する計画。

キリン、ビール職人を横浜で生産

1997-6-27日経。ビール職人は熟成期間を通常の1.5倍の2ヶ月とした麦芽100%ビール、岡山工場と栃木工場で生産中。4月に発売し、好調な販売が続いており、販売計画を当初の2倍の年内400万ケースに引き上げたため、生産体制を見直した。栃木工場は年産16万4千キロリットルとキリンの15工場の中でも規模が小さいため、40万キロリットルの能力を持つ横浜で生産を始めた。5月下旬から仕込みに入っており、出荷が始まれば栃木の生産分も横浜に切り替える。

キリン、樽詰めビールの低温輸送網構築

1997-6-23日経。キリンビールは樽詰めビールの低温配送網を構築する。輸送用トラックにクーラーや断熱材を導入、夏場でも一定の温度を維持する。対象は10t積みクラスの大型トラックで、サイドが開くウィング車。7社の物流会社が約60台保有。全国にある15工場と30物流拠点間の輸送にう活用する。

発泡酒型地ビール普及へ

1997-6-23日経。地ビールを醸造する60の法人・個人で組織する日本マイクロブルーワーズ協会(東京、山中貞博会長 03-3423-0404)は発泡酒タイプの節税地ビールの普及に乗り出した。酒税が通常の半分以下で年間の最低生産量も10分の1で済む。この地ビールはまだ芽の出ていない大麦に酵素を加えて、原料の濃縮麦汁を作る。麦芽の使用量が少ないため、税法上は発泡酒扱いになるほか、年間6キロリットル以上を製造すれば事業を始めることができる。通常の地ビールは1リットルあたり220円の酒税がかかるが、このタイプは105円で済む。このためコップ一杯(250ミリリットル)の小売り価格は220円と大手ビールメーカーの発泡酒を多少上回る水準に設定できる。

97-6月中間 キリン、サッポロ減益、アサヒひとり勝ち

1997-6-13日経。97年6月中間期はキリン、サッポロとも減益の見通し。キリンの経常利益は260億円と前年同期比6%減、3期連続減益。サッポロは21%減の75億円。サッポロは発泡酒の好調などで12月期通期では増益を確保できる見通し。

1997-7-19日経。キリンの中間期の売上高は8%減の5630億円、経常利益は9%減の250億円の見込み。主力のラガーの出荷減が大きく、ビール販売量が前年同期比で10%近く減ったのが響いた。サッポロの中間期の売上高は前年同期比6%減の2710億円、そのうちビール部門は、好調な発泡酒を加えても4%減の2360億円に落ち込んだ。経常利益は49%減の48億円の見込み。今年1月に清涼飲料の販売窓口を子会社に移したことも80億円程度の減収要因。一方、アサヒの経常利益は44%増の180億円。

1997-7-30日経。 アサヒは営業利益が320億円と前年同期比1%増加しキリンとの差が開いた。シェアは3.4ポイント上昇し、32.1%になった。主力の「スーパードライ」のシェアは28.6%とキリン「ラガー」の24.0%を抜いた。瀬戸雄三社長は「鮮度の重視が消費者に受け入れられた」と分析する。売上高は4358億円と3%減ったが、前年中間期に清涼飲料部門を子会社に移した結果、売上高が540億円、営業利益が50億円目減りした。従業員1人当たりの出荷量はアサヒが291キロリットルとキリンを77%も上回った。ただ、アサヒはキリンに比べ財務体質が劣るため経常利益ではキリンに劣っている。アサヒの経常利益は45%増えて182億円だが、キリンの251億円には届かなかった。借入金、社債など有利子負債が4562億円とキリンの7.7倍もあるうえ、特定金銭信託の解約に伴う損失もあり、営業外損益の赤字を139億円計上したのが響いた。アサヒは期末にスーパードライ発売10周年記念配当を1円付ける。

 キリンはラガーの出荷が12%落ち込み、シェアは41.1%と4.7ポイント低下。売り上げは8%減の5662億円、営業利益は10%減の224億円にとどまった。  サッポロは黒ラベルが前年同期比並にとどまった上、季節限定商品の販売を中止したため売上高は2711億円と6%減った。営業利益は20%減の120億円、経常利益は48億円と半減した。

アサヒ 「ドライ」をフル生産

1997-6-9日経。総額約280億円を投じた5工場の設備増強工事が5月末で完了し、今月より休日稼働や3交代体制を導入して過去最大規模のフル生産体制を組む。

三菱重工 ビール製造タンクをサッポロから初受注

1997-6-7日経。三菱重工業はサッポロビールから初めてビール製造用の大型タンク10基を受注。現在、アサヒビールから大量受注した88基を横浜製作所で製造中で今回の受注を機に同製作所の生産体制も強化する。さらに、サッポロが2000年の稼働をめざしている九州新工場(大分県日田市)向けのタンクの一括受注をめざす。 ・・・解説:三菱重工はこれまで同じ三菱系のキリン向けのみであったが、住友系のアサヒに続いて今回三井系のサッポロからも受注したことになる。系列の垣根が取り払われてきたか?

サッポロ、小集団で採算管理

1997-6-4日経。サッポロビールは5ー10人の小集団で採算を管理する制度を導入。グループごとに売上高や経費、利益を明確にし、生産や販売活動の改善に結びつける。係長クラスの若手にグループの経営を任せ、将来の経営幹部を育成していく。例えば工場の場合、工程ごとの売り渡し価格を本社が決める。各工程を担当するグループは前工程からの購入価格に人件費や加工費、償却費などを乗せて後工程に販売する。販売価格は決まっているため、各工程でコスト削減ができれば利益が増えるしくみ。

アサヒ、豪フォスターズ株売却

1997-6-6日経。アサヒビールは資本参加しているオーストラリア最大のビール会社フォスターズ・ブルーイングの保有株式のほとんどを売却する。ファスターズがやく2億5450万株を1株あたり2.4豪ドル、総額約550億円で買い戻す。売却によりアサヒの持ち株比率は13.8%から0.8%に下がり、派遣している2人の役員も引き上げる。アサヒは90年に国際事業のノウハウやネットワークを活用できるとみてファスターズ株を800億円強で取得したが、その後フォスターズの経営が悪化、アサヒ自体も米ミラー社、英バス社と提携、中国のビール会社に資本参加するなど独自の海外戦略を構築してきたことから、株式を保有する必要が薄れていた。