キリン、サントリー経営統合を考える(その1)〜ビール業界の世界再編の中で〜


日本国内食品最大手のキリンホールディングスと2位のサントリーホールディングスが経営統合の交渉を進めている。 統合規模では、食品関係でもビール関係でも2位以下を大きく引き離すことになるが、その統合の背景と効果を考えてみたい。
まずは、世界のビール会社の再編の状況である。
世界シェア1位のアンハイザー・ブッシュ・インベブ社は昨年2008年に、ベルギーのインベブ社が、アメリカのアンハイザー・ブッシュ社を 約520億ドルで買収、経営統合したものである。このインベブ社も2004年にベルギーのインターブリュー社がブラジルのアンベブ社を92億ユーロで買収しており、M&Aによって巨大なビールメーカーに成長してきた。ちなみにバドワイザーでおなじみのアンハイザー・ブッシュ社は米国で1852年に創業し、1860年にエバーハルト・ハンハイザー氏が買収、娘婿のアドルファス・ブッシュ氏と協同で事業を広げた会社でる。
世界2位のSABミラー社も、M&Aで巨大化してきた。2002年に、南アフリカのサウス・アフリカン・ブルワリーズが、米国フィリップ・モリスのビール事業を買収して社名変更。2005年には南米コロンビアのビール会社を買収している。
3位以下は、ハイネケン(オランダ)、カールスバーグ(デンマーク)、モルソン・クアーズ(カナダ、米)、グルボ・モデロ(メキシコ)となっている。グルボ・モデロは、「コロナ」でおなじみの会社。
こういった世界の再編の大波の中で、日本のビール会社は規模としては世界的に弱小であり、シェアは2%以下のレベルにある。キリンとサントリーを合わせても2%強のレベルと推定される。既に日本国内市場は成熟しておりこれ以上の成長が見込めない中で、その国内市場を固めた上で、中国や東南アジアといった新興市場に出て行くためには、今回の両社の統合が不可欠となったわけである。

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