2008年フォローと2009年展望



日経産業、日経2009-1-10参考。 上表は、各社の2008年当初の販売計画と実績値、2009年の販売計画をまとめたものである。
2008年の各社の販売計画に対する実績をみると、サントリーのみ当初計画量を達成で、あとの3社は未達成に終わった。 2009年は各社ともビール系飲料の総需要を 1-3%減と予想しているなか、各社とも第3のビール拡大を目指す計画となっている。

アサヒビール

2008年は販売計画に対し、昨年3月に新発売した第3のビール「クリアアサヒ」の予想外(?)のヒットで、 販売量の7割を占めるスーパードライの落ち込みをカバーした形となった。その結果販売総量はわずかに未達成となった。 2009年は昨年比増の強気の計画を掲げた。4社の中でアサヒだけは、これまで非ビール比率が3割を切っていたが、今年は 第3のビールを昨年実績比23.4%増やす計画で、非ビール比率は3割を超えることになる。ビールは同4.2%減、発泡酒は同 13.7%減の計画。

キリンビール

2008年は販売計画比約3%未達成となった。発泡酒や第3のビールは好調だったが、ビールの落ち込みが大きかった。 キリンは昨年2月に他社に先駆けて値上げを行ったことから、その影響を受けたといえるが、一昨年に鳴り物入りで発売した キリン・ザ・ゴールドがブレーキになった。 2009年は同0.4%減を目標とした。ビール大手は年初計画では販売増を目指すのが慣例であるが、キリンは2年連続のマイナス計画で、 現実的な目標を掲げることになる。キリンは、ビール35%、発泡酒35%、第3のビール30%と3つの カテゴリーをバランスよく配分しており、今年もこれを継続する。発泡酒は麒麟淡麗、第3のビールはのどごし生とそれぞれの柱を のばす。ビールは一番搾りの麦芽100%化リニューアルがてこ入れとなるかどうかが勝負。

サントリー

サントリーは2008年はビールはプレミアムビールを強化し、第3のビールをしっかり伸ばすという計画に対して、ビールはザ・プレミアム・モルツが同20.8%の伸びとなり、また第3のビールでは金麦が同2.3倍の伸びとなったことから、計画量を大きく上回った。昨年9月まで価格を据え置いたことも効果があったが、しっかりとした商品戦略とマーケティング戦略がかみ合った結果といえる。このため、営業利益は約30億円となり、黒字化は1963年のビール事業参入以来初めて。 2009年は前年に引き続きビールと第3のビールを伸ばして、トータルで同5.0%増の計画。計画通りとなれば第3のビール比率は50%、非ビール比率は66%にまで上がることとなる。サントリーは自社の事業の強みをしっかりとらえて、それを更に強くする戦略である。

サッポロビール

サッポロの2008年計画はビールはヱビスを伸ばして、発泡酒も微増、第3のビールはドラフトワンに絞り込むというものだったが、ヱビスが同9.7%減、発泡酒は26.5%減、ドラフトワンは17.4%減とことごとく目標を大きく下回った。目標の未達成は他の3社と大きな差となっている。ドラフトワンに絞り込むといっていて、慌てて麦とホップを出してきているわけである。目標を達成できるわけがない また2009年の計画をみても相変わらず非現実的な数字で、何をしたいのかさっぱり見えてこない内容である。 サッポロは、第3のビール比率が27%、非ビール比率が37%と、ちょうどアサヒとサントリーを足して2で割ったような構成である。 では、アサヒとサントリーの中間の位置づけで、両者のいいところを戦略に盛り込んでいるかをいうと全くそれが無いとしかいえない。 今年はこんな目標より、外資による買収を防ぐことが一番の目標かもしれません。


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