2006年まとめ



日経産業2006-1-18参考。 ビール大手5社が2005年のビール・発泡酒の出荷数量(課税ベース)を発表した。 ビール、発泡酒、第3のビールの合計は4億9750万ケースと前年比0.7%減と、2年連続前年割れとなった。酒類別ではビールが同2%減、発泡酒が10.4%減、第3のビールが21%増となった。構成比はビールが55.6%(前年は56.4%)、発泡酒が25.1%(同27.8%)、第3のビールが19.3%(同15.9%)だった。新聞等では低迷の原因を「夏場の天候不順や飲酒運転の取り締まり強化などが響いた」ともっともらしく外部要因にしているが、発泡酒、第3のビールに傾倒したビール会社の戦略が最大の要因である。発泡酒まではいいとして、このサイトで再三コメントしている通り第3のビールは、ビールではないのであり、ビール会社はビール生産のための「釜」を利用して、ビール以外のものを生産している実態の中で、ビール市場が伸びる訳がないのです。
第3のビールを含めた総出荷量のシェアはアサヒが昨年比1ポイント減の37.8%、次いでキリンは同1.9ポイント増で37.6%、サッポロは1.3ポイント減の12.9%、サントリーは0.3ポイント増の10.8%となった。
アサヒは数字作りために、発泡酒、ビールもどき(第3のビール)で相次いで新製品を出したが、それが本業のスーパードライにブレーキをかけた結果となった。かろうじて、首位はキープしたものの、勢いは完全にキリン側にある。ビールメーカーの場合、市場トレンドを読むことと市場を作ることが重要であるが、アサヒは追いかけてくる競合を振り返ることに終始してしまった感がある。
キリンは、発泡酒、ビールもどきでしっかり柱作りを行い、高級ビール志向、健康志向のトレンドに見合った製品の重点化や新規投入でしっかり伸ばしてきたと言える。
サッポロは、相変わらず後手に回る体質は変わっていない。せっかくの高級ビールの流れがあっても、既存のヱビスビールに安心してしまいトレンドに合う手が打てなかった。10月に慌てて「ヱビスブランド戦略部」を新設したが、とにかくやることが遅すぎる。
サントリーは、残念ながら06年もビール事業は赤字で、結局43年連続赤字となったもよう。ただ、6月に二年連続で国際食品コンクール「モンドセレクション」のビール部門で最高金賞を受賞したことが追い風となり、また06年1月に東京と大阪に設置したプレミアム営業部の地道な展開も奏功して、ビールは前年比8.3%の伸びとなっている。ビールもどきもアサヒに抜かれはしたもののしかり3位はキープしている。サントリーの課題は、「柱」となる製品作りと、コストを意識した改革ではないか。ビールは、今年プレミアムモルツを中心にすえ、発泡酒はマグナムドライの新製品を発売するが、これらが柱に成長することを期待したい。また、サントリーの販促費は膨大が額にのぼると推定されるが、これもコストである。また、あまりに多い品種の生産にも大きなコストがかかる。ここにメスを入れることもそろそろ必要な段階にきていると感じる。



恒例の銘柄別ベスト10を示した。何といってもキリンの台頭が目立っており、ベスト10に5銘柄が占めている。特に第3のビールの「のどごし<生>」や発泡酒の淡麗グリーンラベルは率を伸ばしてきている。アサヒは定番の「スーパードライ」は26.7%と圧倒的であることに変わりはないが、かつての勢いはなく年々減少していることがわかる。

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