2002年上半期まとめ

日経産業2002-7-11参考。

ビール大手5社が今年上半期のビール・発泡酒の出荷数量(課税ベース)を発表した。 合計は前年同期比4.6%減となり、各社の値引き攻勢で発泡酒は伸びたが、ビールの低迷を補えなかった。 シェアはアサヒが39.2%でトップとなり、次いでキリン35.6%、サッポロ14.1%、サントリー10.4%と なった。全体に占める発泡酒の構成比は前年同期比6.7ポイント上昇し、38.9%まで高まった。
各社の状況を表にまとめてみた。今回は、発泡酒依存率(各社の発泡酒比率)に注目してみる。 サッポロを除いて3社とも2002年の当初計画に比べ、発泡酒比率が高くなっていることがわかる。 この点をみても既にかれらが予想を上回って発泡酒販売に力を入れざるを得ない状況に追い込まれたかがわかる。
アサヒは、みごとトップの座をキリンから奪取することができた。これは言うまでもなくビールはスーパードライ、 発泡酒は本生と品種を絞り込んで集中化したことが奏功している。もともとアサヒの発泡酒依存度は25%と唯一平均以下 であり、構成としてはもっとも健全かもしれない。
キリンの発泡酒依存度は当初計画が38.6%に対して、44.1%と大幅に増加した。「極生」に象徴されるような新しい販売 戦略の提案は結果的には自らの首をしめる形となった。残念だが、この際、極生は近い内に生産中止して、その手法を淡麗 グリーンラベルのコスト提言にまわした方がいいように感じる。
サッポロは4社中最も苦戦。発泡酒依存率は計画から4割を超えており、半期の実績もほぼ計画通りだとすれば問題ないように 思えるが、要はビールも発泡酒も今一つ伸びていないということ。商品構成はまさに「小キリン」状態で、戦略は不透明。 経営に甘さが見られる。下期も苦戦は必至。このまま発泡酒市場が4割キープとなれば、再びサントリーの影に迫られることになる。
サントリーは10%のシェアを回復。4社の中で発泡酒依存度は67.4%とダントツ。新発売のアド生は、たぶんこれで儲ける気は なさそうだが、新たなビジネスモデルの提案という意味では活力を感じる動き。発泡酒の低価格化が収益へダメージとなることは 必至だが、ビール事業黒字化は40年来の悲願であり、下期の戦略を注目したい。

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