ようこそ地域科学部へ!

I. なぜ、「地域科学部」なのか?

<永続可能な社会>

人類が求めるのは、「永続する/できる社会」であることに異存をはさむ者はあるまい。21世紀のみならず、30世紀も40世紀も、いや、太陽系の残された寿命のあと50億年間この地球で生命が継続するために、人類の果たさなければならない責務は限りなく重い。

<障害となる現状>

この方向づけをする21世紀は、地球史的転換点と言えよう。環境の破壊が結局は「人類によってもたらされる人類の大絶滅」であることを知る者は多い。社会・経済のグローバル化は、一部の金持ちと圧倒的多数の地球人の貧困をもたらすことを皆が見抜いている。今の先進国といわれる国々と同じ経済活動を地球人全てが行うとするなら、地球は何十個あっても足りない。そして、マネーを幾ら貯めても人が幸せになれないことも、人間が豊かな人格と高い徳を持ちたいと願っている存在であることも、私達は承知している。

<地域社会が解決のキー>

これらの人類史的矛盾は、「地域」をキーワードにすることでしか解決できないように思われる。地球に負の遺産を残さない食料・エネルギーの調達と廃棄物の完全なリサイクル、自然環境の攪乱・破壊を伴わない利用は地域社会の前提・制限条件となる。すべての人類の活動が ”ecosystem-based” (生態系を基盤とした)ものにならざるをえません。森林、農作、河川、海の管理はもとより、都市づくり、文化、教育もそうである。顔の見える範囲で地産地消の経済、生きがいと人格を伴った仕事など、社会経済の仕組みと価値観・倫理の再構築が求められる。これらが世界同時や、国家すべてで可能とは思われない。完結した地域社会の創造こそがまず追求され、こうした地域同士の連携や融合がさらに大きな単位を形成する。こんな展望が見えてくるのが「地域科学部」である。

II. 粕谷研究室の紹介

<環境ホルモン>

  1. 河川の調査
  2. 木曽三川を中心に、女性ホルモンの働きを助長したり抑えたりする可能性のある物質を検出している。

  3. 動物実験
  4. 女性ホルモン作用の強い化学物質が、免疫を弱めて感染症にかかりやすくしたり、アレルギーになりやすくしているかどうか実験している。

  5. 基礎生物学

生体の中でこうした化学物質が働くとアポトーシス(細胞の自殺:人のエラや水かきが消える現象)が引き起こされる。癌やエイズとも深く関係。

<種の多様性>

  1. ユスリカ
  2. 淡水(一部汽水)に必ず存在する水棲昆虫(羽化して交尾)水の指標生物として有名。河川などでの分布を調査。

  3. 花粉
  4. 飛散花粉の調査と気象条件による予測を行っている。

  5. 寄生虫(アニサキス、横川吸虫、肺吸虫)
  6. アニサキス(海産魚介類に寄生し、感染すると腹部の激痛を起こす)が減少している。オゾン層の破壊が直接の原因か? 長良川の鮎に寄生する横川吸虫が減少している。河口堰の影響か?

  7. シラミ

ヒトとシラミの共進化の研究がヒトのミッシング・リンクを解明する手段を提供するか?

<講義等>

学部

学部2年(申し込みは1年後半)から専門セミナーが始まり、「人間と環境」に属し、3年前期から、各教員へ分属になる。

自然環境論、衛生環境論 担当

大学院(修士)

2002年2月2日二次募集試験日

衛生環境特論 担当