今月の話題 2004年10月

治療方針の転換


2004年8月末までは、ステロイドを使用されたことがある患者さまに対し、今後はうっかりステロイドを使用しないように充分な知識を持ち、患者さまの将来をも見据えた、真に患者さまのためになる診療をこころがけて来ました。

その理由は、全国各地から重症のアトピ性皮膚炎をはじめ、ステロイドを使用しなかったら、こんなことにはならなかったであろうと考えられる重症の皮膚疾患の患者さんが毎日受診されておられるからです。ステロイド皮膚症、酒さ様皮膚炎はその典型です。また、重症ではなくとも、ステロイドを使用した部位は、脆弱になるため、いろいろの薬にかぶれたり、ウイルスや真菌・細菌性疾患を誘発しやすかったり、どの病気もすっきりと治りにくい傾向があります。
また、皮膚科だけでなく、全科で充分な説明がなくステロイドが処方されたり、薬局で知らずに購入したり・・・いたるところにステロイドが氾濫しているからです。


ところが、このたび、患者さんに拙著を推薦すること、ホームページを推薦することは良くないとの指導を受けました。

私としては、あまり役に立たない薬を処方したり、検査をしたりするよりは、拙著やHPのほうがずっと有意義と考えていましたので、大変残念に思いますが、今後は患者さんのニーズに合う診療を行うことにしました。もちろんステロイドを処方するというわけではありません。おかげで、私も精神的にもとても楽になりました。


そして、はっきり解ったことは以下のことです。

1)医師や他人から「ステロイドは良くない」と指摘されて受診された方は上手くいかないこと

2)ステロイドの副作用は知識としてではなく、自分自身が実際に体験した後でないと理解できないこと

3)当然ながら「薬」だけで治そうという患者さんは上手くいかないこと

4)どうしても理解できない「壁」がある場合があること

5)医師、患者さんの相性のあること