今月の話題 2002年6月 作成 たらお皮膚科

ステロイドは時限爆弾だ!

四肢の結節性痒疹の治療のため、ステロイド内服(プレドニン)およびステロイド外用薬を約2週間使用した後に突然出現した手掌〜指の水疱 四肢の結節性痒疹の治療のため、ステロイド内服(プレドニン)およびステロイド外用薬を約2週間使用した後に突然出現した手背〜指の水疱(左と同じ患者様)


ジベルばら色粃糠疹にステロイド内服薬(プレドニン)およびステロイド外用薬を約2週間使用した後に出たやや浸潤を伴う紅斑、落屑、痂皮。まだジベルの皮疹の特徴(皮疹の形、配列)が残っている皮疹ではあるが、本来のジベルの皮疹より紅斑、浸潤、かゆみが強い。 ジベルばら色粃糠疹にステロイド内服薬(プレドニン)およびステロイド外用薬を約2週間使用した後に生じた両前腕のかゆみが強い水疱。通常のジベルではこのような水疱はみられない。 ジベルばら色粃糠疹にステロイド内服薬(プレドニン)およびステロイド外用薬を約2週間使用し、中止して約1週間経って生じた背部の激しいかゆみを伴う浸潤、滲出液を伴う紅斑、丘疹。貨幣状湿疹ようである。これと同時にほぼ全身に同じような皮疹が拡大して行った。貨幣状湿疹型のアトピー性皮膚炎に移行していったと言える。


結節性痒疹ジベルばら色粃糠疹に、ステロイド内服薬(重症例のみ)やステロイド外用薬は適応があると記載されていますが、これを鵜呑みにして、うっかりステロイドを使用してしまうと、後で大変酷い皮疹、激しいかゆみが出てきます。薬の能書(添付文書)は医師が薬を処方する際の法的な根拠でもあるのですが、実際その通り使用してしまうと大変な事態に陥ることもあります。ステロイドがその典型です。アトピー性皮膚炎に対しても、重症の際に限るという制約はあるものの、実際にはセレスタミン(ステロイド含有)などが安易に使用されています。ステロイドの能書にはリバウンド現象ステロイド皮膚症などの重大な副作用の記載はありません。ステロイドの効能、効果、副作用について根本的に見直す必要があると痛感します。