今月の話題2000年11月
掌蹠膿疱症
作成 たらお皮膚科

治療前 治療2週間後
通常は土踏まずに出来ることが多い(この例は反対) 落屑や赤褐色の膿疱が特徴


原因は、病巣感染、金属アレルギー等と言われています。病巣感染とは、身体のどこかに限局した慢性感染性病巣があり、それ自体は無症状か軽微な症状を呈するにすぎないが、原病巣から離れた諸臓器に反応性の器質的あるいは機能的障害(ニ次疾患)を起こすものと定義されています。原病巣となる臓器は扁桃、歯牙、歯根、副鼻腔、中耳、胆嚢など種々ですが、扁桃、歯牙、歯根が最も代表的なものです。

水疱、膿疱は無菌性で(人に伝染しません)、その新生は数週間の間隔でシューブ(再燃)をもって繰り返し発生し、慢性に経過します。一部の患者さんでは爪の変形や、下腿、肘頭、頭などに落屑性紅斑(これを掌蹠外皮疹という)を伴い、胸肋鎖骨過形成症による胸部痛を生じることがあります。

治療は、原因の除去とあわせて、内服が基本です。外用薬は一般にはステロイド外用薬が処方されていますが、ステロイドの場合は次第に効果が無くなったり、足白癬(水虫)や細菌感染症が発生し易くなることに気をつけましょう。また皮膚が薄くなって痛みが出る様になりますので、私は、ステロイドは使用してはいけないと考えます。私は「たらお皮膚科の外用薬」を勧めています。ステロイドの内服は行うべきではないと考えます(実際は即効性を求めて、皮膚科でも良く処方されていますが・・・)。

病巣感染除去療法の歯牙、歯根、扁桃腺の病巣除去は根治の可能性はあります。扁摘後の治療効果は1年後で約50%位、2年後で70〜80%といわれています。
ただし、手術ですので、稀に味覚障害などの重大な副作用がでる場合があることを覚悟しなければいけません。

時に胸鎖骨関節痛などの関節症状を伴う場合があり、骨関節炎(PAO、pustulotic arthroosteitis )とか、SAPHO syndrome(synovitis,acne,pustulosis,hyperostosis,osteitis)といわれています。