今月の話題2000年10月
尋常性乾癬
作成 たらお皮膚科

治療前(下腿) 治療後2週間(下腿) 背部に広範囲に拡大
治療前 治療後2週間 背部



乾癬の初期(3ミリ位の鱗屑を付けた紅斑) 乾癬の初期(軽い紅斑と鱗屑) 脂漏性皮膚炎と類似
背部の鱗屑を付けた浸潤性紅斑 耳介の鱗屑と紅斑 項部から頭皮の中に連続性皮疹
鱗屑(かさぶた)が厚い乾癬 鱗屑(かさぶた)が薄い乾癬 爪の乾癬
乾癬性紅皮症(乾癬にきわめて強いステロイド外用薬を20年間使用して、脱ステロイド開始約2週間後(背部)
写真撮影・掲載に際し、患者様の同意を得ています

尋常性乾癬は上の写真の様にいろいろの症状がみられますが、一見全くちがう様にみえても、皮膚科専門医がみれば、診た瞬間すぐに診断がつきます。通常、頭のフケ、かさぶたの症状で始まります。この時点では、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎と区別ができない場合があります。何年か経つと四肢、背部などに広がってきます。

原因ははっきり解っていませんが、ある程度の遺伝的な要素(ただし、両親、兄弟にはみられない場合も多い)、ストレス、食事、気候風土などが関係あるといわれています。絶対人に伝染しません。また、梅毒などの感染症や、降圧剤などの薬剤によって乾癬様皮疹が出ることがあります。

治療法はいろいろありますが、個人差が大きいので自分に合う治療法が良いと思います。私は、アトピー性皮膚炎と同じく、短期で完治させようと考えずに、体質と考え、現状に合った、また将来薬の副作用が出ない治療法を勧めています。強力なステロイドを使用されておられた方ほど他の治療法の効果が少ないといわれています。
平成13年8月からは根治をめざした外用療法を始めています。まれにかぶれる方もありますが、今までよりずっと有効性が高いという印象を受けています。「たらお皮膚科の外用薬」はこちらです。
ステロイドを中止した際ある程度のリバウンドがでることもあります.

乾癬の分類
尋常性乾癬 最も一般的な病型。皮疹は乾燥し、水疱や膿疱はない。
膿疱性乾癬 紅斑上に無菌性の小膿疱の多発をみる。全身型と限局型があり、全身型は発熱、倦怠感などがあり重症。
乾癬性紅皮症 乾癬が汎発化し紅皮症となったものだが、外用薬、温泉、入浴剤、光線などに対する過敏反応のことが多く、一部に典型的な乾癬の皮疹があり、健康な皮膚も残っている。比較的改善しやすい。
これに対し、いろいろの型の乾癬にステロイドの全身投与を生じてできた乾癬性紅皮症は難治性である
関節症性乾癬 多くの場合乾癬性紅皮症に合併して指趾・手足・肘膝関節などに腫れ、痛みがある。
滴状乾癬 連鎖球菌による上気道感染(感冒)の後にみられる場合が多く、1〜2cmまで位の乾癬病巣が多発する。