ウイルス性急性発疹症

作成 たらお皮膚科

小児の水痘(みずぼうそう)
成人の水痘(みずぼうそう) 皮疹の拡大
小児の手足口病(手) 成人の手足口病(足) 成人の手足口病の皮疹の拡大(手)
小児の手足口病(舌の皮疹) 乳児の手足口病(肛門周囲) 小児の伝染性紅斑(りんご病)
伝染性紅斑の顔の皮疹の拡大 伝染性紅斑の上腕のまだらな紅斑 突発性発疹

水痘は水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染である。飛沫感染による。潜伏期は約2週間。発熱、せき、不機嫌、食欲不振、頭痛などのかぜ様の症状の後または同時に皮疹が現れ、安静と適切な治療をすれば約5日間で治癒する。時に脳炎、肺炎、腎炎を合併する。全部の皮疹が痂皮化するまで登園禁止。

手足口病はコクサッキーA16型(時にA4、10),エンテロ71、コクサッキーB(1,3)ウイルスなどによる。食物、手指などから経口感染する。夏に流行することが多い。潜伏期は3〜4日。手、足、臀部、ひざ、口腔内に小水疱ができ、多少痛みやかゆみがある場合がある。口腔内は痛みが強く食事がとりにくい場合もある。軽度の発熱などのかぜ(上気道、胃腸)様の症状を伴うことがある。約1週間で治癒する(ただし、皮疹が消失してもウイルスの排泄はしばらく続くと考えられています)。小児に多いのですが、成人も発病します。

伝染性紅斑はパルボウイルスB19による。潜伏期は10〜20日。発熱はないことが多く、突然両頬の紅斑、次いで四肢のレース網目状の紅斑が現れる。6〜10日間で消失することが多いが、運動などによって再発することがある。発疹がでる前が伝染力は強いが、皮疹出現後は伝染力はないと言われている。成人の場合は顔面の紅斑は目立たないことが多く、四肢に軽いもやもやとした紅斑と、むくみ(主に下肢や足関節周囲)や関節痛が問題となる場合が多い。時に、SLEとの鑑別が必要である。妊娠初期は胎児への影響が心配されます。


突発性発疹はHHV(human herpes virus)−6(または7)型によって発症すると考えられています。なおHHV-6にはA型とB型があります。 現在では、特にHHV-6のB型初感染によるのではないかと考えられています。 潜伏期は10〜15日。生後6ケ月〜2才未満に発病。38〜40度の発熱が3〜5日続いた後、下熱と前後して体幹にばら色小紅斑が現れ、少し遅れて軽度ではあるが四肢、顔に紅斑をみることがある。皮疹は1〜3日くらいであとを残さずに治る。頚部のリンパ腺が腫れることもある。予後は良好な疾患であるが、hypersensitivity syndrome との関係が示唆されている。hypersensitivity syndrome は比較的限られた薬剤、投与2〜6週間で発病、発熱、肝機能障害、紅皮症と言った特徴を持つ重症型薬疹であるが、近年、HHV(human herpes virus)−6の再活性化が関連があることが解ってきました。


“夏風邪”の原因
平成15年はエンテロ71による手足口病が流行しています。

エンテロウイルス感染症 ポリオ、コクサッキーA/B、エコー、エンテロ
ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎、手足口病、非特異的発疹症(CA9、エコー9)
アデノウイルス感染症 1,2,3,5,7は呼吸器系感染症。
3,8,19,37は結膜炎・角膜炎。
40,41は急性腸炎。
咽頭結膜熱(滲出性扁桃炎、プール熱、アデノ3)、滲出性扁桃炎