口腔アレルギー症候群(OAS)とラテックスアレルギー |
作成 たらお皮膚科
口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome)は通常白樺を中心とした花粉症患者において、新鮮な果物、野菜、ナッツ類などの摂取に伴って生じる主としてかゆみや腫れなどの口腔咽頭の粘膜症状を指し、この特異な食物アレルギーは花粉アレルゲンと植物性食物アレルゲンに共通する抗原分子によると考えられている。白樺花粉症の患者がリンゴを食べると、口がかゆくなるというのはその代表例である。
原因となる食物を食べて約15分以内にそれが触れた、口腔、口唇、咽頭部に刺激感、かゆみ、ひりひり感、突っ張り感などが現れる。鼻や眼の花粉症様の症状や、じんましんや血管浮腫、腹痛、嘔吐、下痢、喉頭閉塞感、喘息、アナフィラキシーなどを伴うこともある。セロリは重篤な例もあるので注意が必要である。
花粉との関連があるとされる食物 | |
ブナ目・カバノキ科・シラカンバ属の白樺 | リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ(以上バラ科果物) ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、アーモンド、クルミ、ニンジン、セロリ、馬鈴薯、キウイ、ファンネル |
スギ・ヒノキ科のスギ・ヒノキ | トマト |
イネ科のカモガヤ・マグサ・オオアワガエリ | トマト、メロン、スイカ、馬鈴薯、オレンジ、セロリ、バナナ、ラテックス |
キク科・ブタクサ属のブタクサ | メロン、スイカ、カンタローブ、ズッキーニ、キュウリ、バナナ |
キク科・ヨモギ属のヨモギ | ニンジン、セロリ、リンゴ、ピーナッツ、キウイ |
参考文献;皮膚病診療VOL・22 NO・10 2000 oral allergy syndrome
横浜市立大学医学部皮膚科 池澤 善郎先生(教授) 大砂 博之先生
ラテックスアレルギー |
ラテックスは工業用のゴム原料として栽培されているヘベア樹から得られた樹液で、ゴムそのものではなく、天然ゴムの中に含まれるラテックス蛋白である。
ラテックスアレルギーは、医療用のゴム手袋や静注用製品、手術関連用品、カテーテル、看護用品などが原因になることが多く、アトピー性皮膚炎の患者に合併しやすい。多くは接触蕁麻疹の症状であるが、時に重大なアナフィラキシーショックを起こす。(30分以内)
参考文献;皮膚病診療VOL・22 NO・6 2000第63回日本皮膚科学会東京支部学術大会から
皮膚病診療VOL・22・NO・12 2000 ラテックスアレルギー 松永佳代子先生