アトピー性皮膚炎の漢方治療例

日本医師会雑誌臨時増刊 VOL・108 NO5  山口 全一先生

薬剤 注意
十味敗毒湯 便秘の際用いると、皮膚病変が悪化することがある。
温清飲 食欲低下、胃痛、腹痛などを起こすことがある。
消風散 食欲低下、胃痛、腹痛などを起こすことがある。
治頭瘡一方 腹痛、下痢などを起こすことがある。
防風通聖散 腹痛、下痢などを起こすことがある。
柴胡清肝湯 食欲低下、胃痛、腹痛などを起こすことがある。
桂枝加黄耆湯


私見

この処方は絶対的なものではなく、個人差が大きいので、使用してみて有効であれば使用しても良いと考えます。
これ以外の漢方薬も体質、皮膚炎の状態に合わせて使用すると有効なことがあります。リバウンドの際は、免疫能が低下しているので、免疫能を高める漢方薬を使用して経過が良いことがしばしばあります。ただし、全員共通に効果がある漢方薬はないと思います。

漢方薬が体質に合わないと皮膚炎が悪化する場合があります(悪化した際、好転反応と呼んで、薬を続けると言う考え方は疑問に思います)。

漢方薬の大部分(甘草を含有するもの)は、低カリウム血症(脱力感、四肢けいれん、麻痺などのミオパチー)、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重の増加などの偽アルドステロン症が現れることがあるので注意が必要です。利尿剤との併用にも注意が必要です。

また、保険診療では充分な処方ができない場合があります。