好酸球性膿疱性毛包炎
eosinophilic pustular folliculitis(Ofuji)

作成 たらお皮膚科

顔面のやや硬い浸潤性紅斑と小膿疱、小丘疹、眼囲は正常皮膚 正常皮膚との境界明瞭、浸潤性紅斑と小膿疱、小丘疹、
辺縁隆起性、遠心性に拡大


好酸球性膿疱性毛包炎は原因不明の再燃を繰り返す、好酸球性小膿疱(外毛根鞘への好酸球浸潤)を特徴とする疾患です。20〜50才の男性に多い。毛嚢のない掌蹠にも皮疹がみられることから好酸球性膿疱性皮膚症という病名もあります。
全身症状はなく血液検査で好酸球が多いという所見がみられます。皮膚症状は次の3つに分けられます。
顔面は局面形成型と酒さ様皮膚炎型に分けられます。
体幹・四肢には毛孔一致性丘疹、小膿疱が淡褐色局面を作り遠心性に拡大します。遠心性に拡大、中心が治癒というのが大きな特徴です(しかし、この現象は白癬を始めとする多くの皮膚疾患にみられますので、特徴的というわけではありません)。色素沈着を残します。
掌蹠は掌蹠膿疱症様の皮疹がみられます。左右対称で大きめの膿疱、発赤、肥厚、落屑が目立ちます。

ステロイド外用剤は無効です。治療を中止すると再発しやすい疾患です。金属類パッチテストを行うと同じ皮疹が出来るといわれています。また、好酸球性膿疱性毛包炎は、後天性免疫不全症(HIV感染症)などを合併する場合もあると言われています。

鑑別すべき疾患
膿疱性乾癬 普通は発熱、倦怠感などの全身症状があるが、限局型は全身症状はなく、乾癬局面の中、あるいはその周囲に限局して膿疱がみられる。好中球の増加をみる。
酒さ様皮膚炎 浸潤は強くない。顔面以外に症状がない。ステロイド使用歴がある。膿疱は内服薬ですぐに改善する。好酸球の増加は著明でない。
掌蹠膿疱症 顔面に皮疹はみられないことが多い。好酸球の増加は著明でない。
アトピー性皮膚炎(リバウンド) リバウンドは境界が明瞭でない。浸潤が強くない。初期は滲出液が出ることが多い。短期間で症状が変化していく。遠心性に拡大しない。他の部位の症状から診断可能。好酸球はかなり多いことがある。
白癬にステロイドを誤使用した場合 ステロイド使用歴。抗真菌薬ですぐに改善する。
貨幣状湿疹 湿潤性で多彩な皮疹。簡単に改善する。下腿に初発することが多い。顔面に膿疱を形成することは稀。好酸球の増加は著明でない。

私見  この患者さんは四肢、頭、躯幹に尋常性乾癬に似た皮疹が合併しています。顔面は好酸球性膿疱性毛包炎の症状にほぼ一致するが、他の皮疹は乾癬様皮疹と好酸球性膿疱性毛包炎の皮疹が混在するので、好酸球性膿疱性毛包炎と尋常性乾癬の偶然の合併かも知れない。しかし、好酸球性膿疱性毛包炎と乾癬は何らかの関係があるかも知れない。