エニアグラム性格学の基本理論                       
                                        

   
        2つ目の理論
        性格は発達した脳機能に拠っています 

    
 エ
攻撃タイプ
調和タイプ
防御タイプ
 
行動タイプ          9     運動機能発達(辺縁系機能)
感情タイプ
              右脳機能発達
思考タイプ
              左脳機能発達
  私は世界の中心にいる(脳内の自我の座が
前部にある)
主体性がある
私は世界とともに在る(脳内の自我の座が中間部にある)
状況に惑わされやすい
私は世界の淵にいる(脳内の自我の座が後部にある)
客体的になる崖っぷち感
 
                   

 草原で突然、危険な動物と鉢合わせしたら、あなたは決死の思いで
戦いますか? それとも逃げ出しますか?     
 このような状況に置かれたら、多くの動物たちは、戦うのか逃げる
のかあらかじめ決まっており、行動プログラムとして、遺伝的に組み
込まれています。

 さて、人間にも本能的な行動プログラムが組み込まれています。す
なわち、敵を目前にすると、戦いの態勢に入る行動プログラムを持つ
人がいます。このような態勢にとっさに取る人を「攻撃タイプ」と言
います。つぎに、あらかじめ逃げる態勢を組む行動プログラムを持つ
人がいます。この人は「防御タイプ」と言います。

 しかし、人間はこれ以外の行動プログラムを持っています。なぜな
ら、人間はいつも群れを成して生き延びてきた動物であり、群れと行
動を同じくする習性があります。
 ですから、草原で、突然に危険な動物に出遭うとすると、群れと同
調した行動をとります。つまり、「衆にまぎれて自分を守る」ので「
調和タイプ」と言います。

 人間は持って生まれた気質というものがあり、その気質は一生変わ
らないものです。ですから、行動プログラムとして、セットされて生
まれた来たと考えられます。その気質を大まかに分けると3つあり、
それを「究極の3つのタイプ」と、呼んでいます。
 ・攻撃タイプ
   敵に背を向けられず、やられたら必ずやりかえす大胆な性格。
    
 ・調和タイプ
   大勢の総和に合わせていく常識的な性格。            
 
 ・防御タイプ
   あらかじめ少しの危険もキャッチする敏感で神経質な性格。 

        

なぜ、九つのタイプなのか?
                                        
 さて、あなたは、この三つに分けた行動プログラムのうちのど
こに該当するでしょうか? このように危機への対処の仕方とし
ては、三パターンがあり、九つの性格は三つに要約することもで
きます。性格は類型化できるものと考えるなら、それは3か、3
の倍数しか考えられず、例えば、4個とか10個という数はあり得
ないことになります。
 それゆえ、人間には自己防衛行動として、およそ三つの行動プ
ログラムがあり、それぞれが分かれ持っていると考えると、エニ
アグラムが示す九つのタイプを明確に、かつ鮮明に説明できます。 

      
  ウ・自己防衛本能としての行動プログラム                
    ・調和タイプ【3・6・9】         
       ・攻撃タイプ【8・2・5】         
    ・防御タイプ【7・1・4】  
調和タイプ【3・6・9】…私は世界とともにあると自己認識するタイプ 
1 基本防衛戦略は、仲間と調和することで自分を守る。
2 危険に遇うと、とっさに仲間集団と同じ行動をとる。
3 多勢の側につき、衆に埋もれて自分を守る 
4 仲間外れになるとストレスになり、仲間の言動に神経を使う。
5 自分より強い相手は避け、弱い相手を攻撃して、状況の中でう
  まく対応する。  

攻撃タイプ【8・2・5】…私は世界の中心にいると自己認識するタイプ

1 基本防衛戦略は、攻撃することで自分を守る。
2 危険に遇うと、とっさに攻撃的な行動にでる。
3 戦いの姿勢を示して、自分を守る。 
4 仲間の中で優位に立ちたがり、反撃できないとストレスになる。  
5 自分よりも強い相手にも攻撃をしかけるので、危険に出遭いやすい。

防御タイプ【7・1・4】…私は私の世界にいると自己認識するタイプ    

1 基本防衛戦略は、防御することで自分を守る。             
2 危険に遇うと、とっさに逃げる行動をとる。                
3 危険を敏感に察知したり、あらかじめ避けて、自分を守る。
4 拘束されたり逃げられないと、ストレスになる。                    
5 シールドを張って人と深く交流しないが、怒りが溜まると衝動的に攻
  撃的になり、破滅的になりやすい。 

       
調和タイプ  
                               
【タイプ3】は人々と調和していくためにイメージ力を使います。自分の
      価値が高いことをアピールして仲間の中で目立つ存在になり、
      警戒色を出して、自分を守ります。
      (世界と否定的に結びついているタイプ)
           
【タイプ6】は人々と調和していくために考えを巡らします。仲間を大切
      にして、自分の正体を掴まれないように、周囲を混乱させ策
      を練って自分を守ります。 
      (世界と肯定的に結びついているタイプ)
              
【タイプ9】は人々と調和していくために、目立たず同調して、仲間の誰
      をも受容して、誰をも敵に廻さぬようにして自分を守ります。
      (世界と両価的に結びついているタイプ)               

攻撃タイプ 
                               
【タイプ8】は攻撃されないように、あらかじめ日頃から自分の強さを示
      します。危険に遭いそうなときは、先に攻撃して手段を選ば
      ず、必ず勝てる戦法をとって、自分を守ります。
      (世界と否定的に結びついているタイプ)
         
【タイプ2】は自分から攻撃することは少ないが、攻撃されたら必ず反撃
      します。人々と助け合い、共存しながら、仲間全体を守るこ
      とで自分を守ります。     
      (世界と肯定的に結びついているタイプ)

【タイプ5】は攻撃を受けないように、回避したり静観することが多い。
      しかし、日頃からよく観察して、対処法をよく考え攻撃され
      たら、徹底的に抗戦して自分を守ります。
      (世界と両価的に結びついているタイプ)               

防御タイプ    
                             
「タイプ7】は危険を早めに察知しようと、記憶力が高く、敏感で、いつ
      も軽いフットワークで、次の行動を予測されないようにし
      て,素早く逃げて自分を守ります。
      (世界と否定的に結びついているタイプ)

【タイプ1】は危険に合わないように、細かいことまで気づき慎重で、あ
      らかじめ少しの異変でも、用心して避け、いつも通りの保守
      的な行動を取って、自分を守ります。 
      (世界と肯定的に結びついているタイプ)

【タイプ4】は危険を大きくイメージしたり、早めは早めに感知したり、
      直観力を使って、素早く身を隠すことで自分を守ります。 
      (世界と両価的に結びついている)
                          
                                        
・さて、突発的な激しい事件や不幸に出遭うと、とっさにどのよう
 な行動を取るか、それぞれの性格的な違いが出て来て、どのタイ
 プかを知るよい機会になります。なお、よく分かる日常的な例と
 しては、交通事故の処理で巻き起こる、争いや人間模様です。 
 それ以外にも不運が続いたり、利害の対立が激しくなると、この
 本来の性格が出てくることが多く体験しているは多いでしょう。
しかし、通常の状況下では、調和タイプや防御タイプの人でも、
 攻撃性を見せることがあり、攻撃タイプの人も、逃げたり避けた
 りしている、と考えるのは当然のことです。

・人間は状況に合わせながら行動を選択していくことができます。
 この三類型を知って、すべての行動をこれで説明したり、あては
 める人がいますが、それは短絡的な見方であり、大きな過ちです。

・私たちには、自分で自分の行動を選択できない場合があります。
 自分の不利になり、悪い方向に行くと予想できたり、そんなこと
 をしても、どうにもならないと理性では分かっています。しかし、
 それしかないと、思い詰めて行動してしまうのです。
 その場合に、この本質的な性格が、自分の行動を支配していると
 考えると、思い当たることがあると考えられます。   

・一般的に考えて見ても、分ることですが、同種同属の生物が、
 いっせいに同じ行動をとっては、種の存続は難しくなります。ひ
 いては個体も生き長らえることはできません。本能的に取られる
 行動パターンを幾つかに分けているなら、危険は分散されます。
 それゆえ、種の存続も保証されます。    

・また、個々それぞれの戦略が異なっているために、同種内での不
 必要なぶつかりあいを避けることができます。従って、種の存続
 にもつながると考えられます。

・生物には基本的な行動パターンが、遺伝的にプログラム化されて
 いますが、私たち人間も例外ではないことが、これらの分析や観
 察方法から発見できます。ところで、この基本の防衛戦略は、人の心の深いところに位置し
 ているものです。ですから、普段は分かりにくいと考えられます。
 しかし、上記したように生物的な危機にひんしているときや、何
 か不幸なことが起きたり、事故が起きて、とっさな対応をしなけ
 れば ならない時には、表面に出てきます。

・それゆえ、余裕がない人や、自信のない人ほど、この基本の戦略
 を丸出しにしていると考えられます。反対に余裕があり、自信を
 つけている人ほど、この基本の防衛戦略を持ち出すことが少ない
 でしょう。従って、自分を主張しながらも人々と真によく調和す
 ることができるでしょう。

・なお、生物は環境に調和できたものだけが、生き長らえることが
 出来たのですから、私たち人間の本来の性質は、調和タイプとも
 言えます。しかし、ある状況に置かれると、人によって行動パタ
 ーンが異なってきます。従って、ある危険の多い状況下では、攻
 撃タイプは攻撃性を出し、調和タイプは人々により一層合わせよ
 うと、唯々諾々となります。そして、防御タイプは自分を人々か
 ら切り離して、確実に距離を置いて行きます。

・ですから、危機的な行動パターンが日常的にむきだしになってい
 る人は、子どもとか、余裕や自信のない人、あるいは人間的に成
 長していない人などが該当ます。

・しかし、経験や訓練や実績などから力をつけ、自信に満ちた態度
 で、人々に接することができるのはどのタイプにもあり、誰でも
 可能性としてあります。そうなれば、本質的にある危機的な行動
 パターンを、持ち出すことが少なくなると考えられます。

・事実として、どのタイプか分かりにくい、周囲から尊敬されてい
 る人格者がいます。それは奥深くにある、持って生まれた気質が、
 表面から見えないので、基本タイプを見つけにくくなっているの
 です。

                                                                                         
 
エ.あなたの発達した脳機能は?       
                                        
 さて、性格=本能であるならば心の座と言われている脳の中に、
性格を顕すものが機能していると考えていくことができます。

 脳機能をおおまかに見ると、基底部分にある大脳辺縁系と大脳
新皮質の左右脳があります。ですから大きく三つの機能に分けて
見ていくことができます。

 また、人間の性格が型に分けられると理解でき納得し出すと九
つの性格は一種の片寄りなのではないかと、気づき始めます。そ
れゆえ、性格を脳機能の中から捜し出していくと発達して行くべ
き機能に片寄りがあり、それが性格の違いになって表われている
と考えられます。

 このような観点から発達した機能によって三グループに分けて
見ます。従って、脳機能と対比しながら性格を特定しています。
 なお、発達した機能であるため得意な機能とも言えますが日常
用語での「癖がある」、または「よく使う機能」とも表現してい
ます。

 なお、当会では性格とは気質であり遺伝的に継承されたもので
す。詳しく言うならば受精卵になったときに決定づけられるとい
う考え方です。従って、これらの機能も受精卵になった時に決定
づけられます。そして、その受精卵にある設計図(DNA)通りに発達
するという考え方になります。生育する過程で発達していくとい
う考え方ではありません。
   発達した脳機能によって分ける                
     ・行動タイプ【8・9・1】
     ・感情タイプ【2・3・4】
     ・思考タイプ【5・6・7】 
《行動タイプ》本能的な行動力が発達しているタイプ【8・9・1】
1 危険を避けられる本能的行動力が高い。            
2 本能的な行動をコントロールできにくい。           
3 行動の取り方にくせがある                  
4 感じ方や考え方にくせがない。                
5 運動能力が高い。                      
6 基底脳機能が発達している(または、よく使う)  
 

行動タイプ  
                              
【タイプ8】は、危険に出遭うと、立ち向かい歯向かって行く行動を取
     ることが多い。思わず知らずに、行動を起こしてしまう癖が
     あります。

【タイプ9】は、危険に出遭うと、立ち止まってしまう傾向があります。
     立ち止まり何もしないことで、自分を守る方法を取る癖があり、
     行動タイプには見えません。また、大勢の仲間と同じ行動を
     取る癖もあります。

【タイプ1】は、危険に出会わないように、あからじめ、小さな異変も
     見逃さず、避けて行きます。思わず知らずに、避けたり逃げ
     たりする行動を取る癖があります。 


《感情タイプ》右脳機能が発達しているタイプ【2・3・4】
1 感情が豊か。                        
2 感情的で感情をコントロールできにくい。           
3 感じ方にくせがある(行動の取り方もくせがある)       
4 考え方にくせがない。                    
5 イメージ力や立体感覚や物の形の認識力が高い。        
6 右脳機能が発達している(またはよく使う) 

感情タイプ 
          
【タイプ2】は、感情を外に出していくので、感情的であることが、よ
    く分かります。イメージ力があり、「好き」という感情が特に
    はっきりしています。(行動の癖もあり、危険に出会うと立ち
    向かい歯向かって行きます)

【タイプ3】は、感情を外に出し、内にもこめていき、揺れ動くので、
    ウジウジすることがよくあります。イメージ力があり、自分の
    感情の揺れを、ごく親しい人以外には見せないので、感情タイ
    プには見えません。
      (行動の癖もあり、大勢の仲間と同じ行動を取ります)

【タイプ4】は、感情を内側に押し込めていくので、屈折して繊細で、
    複雑な様子を見せます。イメージ力があり、「嫌い」という感
    情が特にはっきりしています。(行動の癖もあり、危険に出会
    わないように早めに避けたり隠れます)   
《思考タイプ》左脳機能が発達しているタイプ【5・6・7】 
1 思考能力が高い。
2 考えすぎて、思考をコントロールできにくい。         
3 考え方にくせがある(行動の取り方もくせがある)。      
4 感じ方にくせがない。                    
5 記憶力、洞察力、物事を順序立てて理解する能力が高い。  
6 左脳機能が発達している(またはよく使う) 
                                                                                                              
思考タイプ

【タイプ5】は、物事を突き詰めて執拗に考える癖があります。一度
      築かれた考え方は変えにくく、改めにくい傾向があり、
      頑固になりがちです。(行動の癖もあり危険に出会うと、
      立ち向かい歯向かって行きます)

【タイプ6】は深く考えることができ、また、考え方を広くいろいろ
      に変えられるので、考え方の癖が少なく思考タイプには
      見えません。
      (行動の癖もあり、大勢の仲間と同じ行動を取ります)

【タイプ7】は物事を広く知ろうとする癖があります。そのため深く
      突き詰めないので、浅い理解となって、次々と考え方
      を変えていく傾向があります。(行動の癖もあり危険に
      出会わないように早めに避け逃げます。)


 さて、あなたは或る人を見て「感情的な人だなあ!」と思ったこ
とがありますか?あるいは「理知的な人だなあ!」と、頭の良さに
感心したことがありますか?
 しかし、ここで紹介していることから、「あの人は感情的だから、
感情タイプだ!」と簡単には見抜けませんよ。

 なぜなら、誰もが感情を持っています。例えば、怒りをあらわに
している人を見ると、感情的だと見ることがあります。この感情的
になって怒っている人を、当会では、感情タイプとは呼んでいませ
ん。そんな人まで、感情タイプだと見たら、全ての人が感情タイプ
になってしまいます。
 「生まれてから一度も怒ったことがない」と言える人など一人も
いないのです。ですから、ここで言っていることは、そのこととは、
全く別の観点から見ています。

 ここでは長いスタンスで人間の性格を見ています。長い期間、
観察していくとはっきりと「感情的になる程度の高い傾向の人」が
います。しかし、「それほど顕著に、しばしば感情的になっている
とは言えない人」の、二つに分けられます。                      
                                
 次に、知性的なタイプは全タイプにいます。従って、思考タイプ
【5・6・7】の中には、典型的に理知的に見える人がいます。し
かし、頭の悪い人がいるので、思考タイプでありながら、理知的に
は全く見えない人もいるのです。感情タイプや行動タイプの中に知
性的に見える人が一杯います。ですから、表面的に薄っぺらに見て
いると、この三つタイプを見分けることはできません。   
 行動タイプ【8・9・1】についても、同じことが言えます。誰も
が何かの行動を毎日取っているのです。ですから、全タイプを行動
タイプだと言ってもよいのです。従って、何をもって行動タイプと
言っているのか、それをよく理解しないと、性格学は一歩も理解が
進みません。

 このように、見分け方として、いろいろな説明ができますが、こ
こではこれぐらいに止めておきます。詳しいことは、順次、上級者
用理論のコーナーで、紹介して行きますから、そちらをお読みくだ
さいますようお願いいたします。