犬と動物のこともっと知ろうシリーズ
                         2010/09/26                   

愛犬の悩み相談室 

事例・5     

      女王様のような犬を躾ける方法


相談内容

 元々は弟が飼っていた犬ですが、僕のほうになつくようになりました。コーギーのメスです。

 正式には、「ウェルシュ・コーギー・ベンブローク」と言います。名前は「プリンセス」と言います。最近は短く「プリン」と呼ぶことが多くなりました。
たぶん3歳くらいで、大人の犬だと思いますが、わがままで、この家のプリンセスというよりも、「女王、クイーン」です。

 我が家は、病気がちの父親と僕と弟で、男所帯です。弟がペットショップで買ってきましたが、こんな家ですから面白いことも華やかなこともなく、犬を飼いたがる気持ちはよくわかります。

 しかし、その弟は、今年、銀行勤めが決まり、家にいませんし、僕は編集の仕事を自宅でしていますから、自然に犬の世話をするのは僕になってしまいました。

 プリンは散歩が三度の飯より好きらしく、リード()を口に加えて来て、「行こう!」と催促します。「仕事中だから、もう少し後にして!」と言っても聞いてくれません。しつこく吠えて催促するので仕方なくつきあってしまいます。

 食事も、ドッグフードよりも僕たちが食べているものを欲しがります。近くの公園に「ドッグラン」があり、そこでは仲良しの犬がいて、その犬たちと我が物顔で走り回って、おおはしゃぎします。

 一匹でいるときはおとなしいほうですが、三匹でいると気が大きくなるのか、他の犬にちょっかいを出すこともあります。二匹の犬がケンカしていると、仲裁みたいなことをすることもあります。

 しかし、本当は怖がりでバイクが通ると怖がって玄関から出られないことがあります。音にはとくに敏感で、夜更けのちょっとした物音でも聞きつけて、僕まで起こします。

 客が大好きで、傍に近づいたり舐めたり飛びつきますから、みんなからかわいがられています。

 それに、察しがよいと言うべきか、僕が座ろうかなあと近づくと、そのソファを占領します。僕が「どいて!」と言っても、どいてくれません。でも、夜になると僕のベッドに入り込んで一緒に寝たがります。甘えん坊です。そこがかわいくて手放せません。

 弟は躾けに厳しく、手荒い遊び方をします。食事なども絶対にドッグフードしか与えません。

 僕は甘いと言われています。そのせいもあり、僕のほうに来ては甘えたり、わがままを言います。僕が無視したりすると咬むこともあります。マウンティングされたときは驚きました。

 なんだか僕は女王さまのしもべみたいなもんです、外では良い子なのに…。この頃、散歩につきあうのが負担になってきましたが、わがまま放題にしたためだと思います。この犬をしつけ直すことはできるのでしょうか?

    エニアグラムで性格分析

 3歳のメス「プリンセス」の性格タイプを「タイプ7w6」と判定します。タイプ7は怖がりで神経質、物音に敏感なタイプです。

 そして、人間のタイプ7も外出好きですが、犬でも同様です。なお、外出したがる犬もいれば、外出したがらない犬もいて、それも気質が関係します。
 タイプ7はできるだけ楽しみたいという欲望が強く、他の犬たちと遊んだり戯れることでストレスを発散させたり、外出して気分転換させようとする気質です。

 また、飼い主などをよく観察しているので、自分の思い通りになりそうな人間なのかよく把握しています。

 女性を怖がるところがあるので、男性の飼い主にわがままになり、女性の飼い主には気遣ったり、迎合的になることもあります。

 なお、「w6」は「次女気質」といい、社交性があり、人気者になりたがる気質ゆえ、かわいがられやすいと考えられます。

 ついでながら、相談者のタイプを「タイプ4w3」と判定します。「末っ子気質」と言い、他人に命令したり指図することが不得意になる傾向があります。
 従って、飼い犬に対しても高圧的に接することができず、ノーと拒否することができにくいようです。

 なお、コーギーは、牧畜犬の仲間で少し咬むくせがあると紹介されているようです。


 アドバイス

 タイプ7は、基本的には目上の命令には従うまじめな気質です。しかし、飼い主がリーダーとして接するように心掛けないと、わがままになる恐れがあります。
 なぜならば、相手の足元を見るというべきか、自分より弱いものには、わがままになることがあります。

 したがって、犬から散歩したいという要求があった場合は、拒否して要求にはけっして従わないようにしてください。その場は無視をして、しばらくしたら、「散歩に連れて行ってあげよう」と言って、連れ出してください。

 ソファも「どいて!」と言って退かなかった場合は、しばらくは無視してください。再度同じことをしたら、その日は散歩に行かないようにしてください。

 それでもしつっこく要求したら、ゲージに入れておくかリードに繋いだほうがよいでしょう。落ち着いたら、あなたのほうから散歩に連れ出してください。

 いつも物事を決定するのは飼い主のほうだと知らしめてください。叱ったり、懲罰的な体罰などはけっしてしないようにしてください。そのようなやり方を取ると、攻撃性が出てきて噛むということも考えられます。また、無視するだけで効果を上げられるタイプです。

 なお、タイプ7は、いわば「となりの芝生がきれい」に感じるという気質らしく、自分の食べ物より他の人の食べているもののほうが旨そうに見えるようです。
 他の人がソファに座っていると、そこはとてもよいところに見えるというわけです。その気質をはっきりと意識し、よく理解できるようになれば、接し方も工夫できるでしょう。

 つまり、あまのじゃくなところがあるので、やらせたいことと反対のことをするとうまく行くことがあるということです。

 ところで、飼い犬をかわいがるあまり、喜んで「しもべ」のようになってしまう方もいるようです。しかし、それでは何かの折に指示に従わず、たとえば咬傷事件などを起こすかもしれません。

 仮にそんなことが起きたら殺処分されるかもしれず、犬を飼う場合は最悪の事態も想定してください。そうなっては、日頃かわいがっていても、それがなんになるというのでしょうか。

 できるだけ「やさしく接する」ようにして欲しいところですが、「甘く接する」とは違うはずです。

 タイプ4という気質の人たちは、とかく何か要求されると拒絶しにくいようです。マウンティングされた時も、キッパリとした調子で「ノー」といい、「ゲージに入りなさい」と命じてください。

 叱るべき時に素早く叱ることがポイントで大切なことです。叱らないままでいると、飼い主のことをみくびってしまうでしょう。

 実際、甘い顔をすると増長する人間がいるように、犬にもいます。また、ほとんどがそうだと思ったほうがよいくらいです。

 犬のような境遇の動物にとっては、飼い主の指導が的確でなければ、思わぬ事態を引き起こし、不幸を招くこともあると想定してください。

 タイプによっては、「親友になる」という方法がよい場合もありますが、目下扱いされても許すようでは、責任のある飼い方とは言えないのではないでしょうか。くれぐれも、それらを考慮していただきたいと願っています。