人の性格を見抜く方法シリーズ・その4      
                                                                                   

 (改定版2007/12/15)


  他人の言動を推察したがる人たち

     

1 下心はどちらにあるか 
                           
 K君が、駅の構内で見知らぬ美しい女性を目にしました。
その女性は運悪く、肩からバックがずり落ちて、中身を路上
に散乱させてしまいました。そこで、K君は単なる親切心で、
女性と一緒になって拾ったと言います。その時、同行してい
たK君の友人が、この一部始終を見ていました。友人は「お
まえ、下心があったんだろう」と、K君言ったそうです。

 K君は友人に言われたことが忘れられませんでした。「ど
うしてそんな目でしか見ないのだろう」と疑問に感じたそう
です。K君に言わせると、「美しい女性ではあったけれど下
心など全く無かったので心外だ」と思ったそうです。

 さて、この「下心があったのだろう」と解釈したのは、K
君の友人です。このような場合、K君よりも友人のほうが、
「下心があった」可能性が高いと考えられます。

 たまたまK君はタイプ6で、友人はタイプ3でした。これ
だけでは、タイプ3と判定しませんが、タイプ3の男性は、
女性に関心が高く、女にモテタイという欲求が強いと分析し
ています。従って、彼がタイプ3である可能性はありますが、
タイプ6もその他のタイプの可能性もあります。
 
                       
2 「チクル」を知らない人がいる!? 
                     
 小学二年の女児が、教室の掃除をさぼっている同級生を見
て、とても驚きました。「掃除しなきゃいけないのに‥先生
に報告しなくっちゃ‥」と仲良しの子に話していました。す
ると、傍にいて小耳に挟んだ男子が、「お前、先生にチクリ
に行くのか?」と詰め寄りました。

 さて、この女児はたまたまタイプ1です。この女児は「チ
クル」などという発想をしたことがないので、かなりショッ
クを受けました。そして、翌日から学校に行けなくなったよ
うです。これは、母親からの相談で分かった出来事です。
          
 さて、タイプ1の気質からすると、学校の規則を守るのは
当たり前のことです。先生に言われずとも、隅から隅までき
れいに掃除します。掃除をさぼるということはタイプ1にと
って考えられないことですから、さぼる人の気持ちや考え方
が全く理解できません。とても信じられない出来事なので、
そんな大変な事柄は、担任の先生に報告すべきだと考えたの
でしょう。
 
 タイプ1は、チクルという発想のない子どもですが、この
女児の気質を知らない人には通じることではありません。従
って、誤解も解けないままであることが多いのではないでし
ょうか。つまり、この女児に詰め寄ったクラスの子どもたち
は、タイプ1ではないと考えられます。また、タイプ1とよく
似ているのが、防御タイプ(714)です。タイプ7には少ないが
タイプ4にもよくあることです。

                                

3 自己満足したいのはどちら? 
                        
 Rさんは三十代の主婦で、小学校に通う息子が一人います。
近所の母親たちと、息子やその友だちについて、にぎやかし
くおしゃべりしていました。Rさんは自分の息子の成績が上
がり、うれしくて笑みを浮かべて話したそうです。

 数時間後のこと、その場にいた数人が、Rさんの様子をい
ろいろに噂しました。ある母親は「あの人、よく息子の自慢
をする人なのよ!」と言いました。それを聞いていた別の母
親が「Rさんは自分の教育の仕方が良かったので、成績が上
がったと言いたいんじゃない。たぶん、自己満足したいんだ
と思うわ」と言いました。 
                        
 Rさんは、それを人づてに聞いて、驚き呆れたと言います。
Rさんによれば、「私は単純に息子の成績が上がったことを
喜んでいただけですが、人は受け取り方がいろいろと違うん
ですね。息子を自慢していると取られて、ハッとしました。
そのように見られる可能性はありますね。もしかして、自分
でも自覚していなかったのですが、自慢したかったのかもし
れませんね」

 なお、Rさんは、別の母親から「自己満足したいんだと思
うわ」と受け取られたことに関しては、全く理解できず、ど
ういう意味なのか知りたいと言います。 
                    
 さて、Rさんはタイプ2です。そして、この「自己満足し
たいんだと思うわ」と、Rさんの言動を推察した母親はタイ
プ4でした。タイプ2は自己満足しやすい気質で、しかも、
子どもを気にかけることが多いタイプです。ですから、子ど
もの話題は必然的に多くなります。

 また、「自慢している」と受け取られた事に関しては、素
直に、その可能性があると受け入れました。つまり、他人に
言われて、強く反発したり怒るとしたら、それは当たってい
ると考えられます。しかし、そうではなく、素直に認めてい
ます。この場合、Rさんは自慢する気持ちは少なかったと、
考えることもできます。           
                      
 次に、Rさんは「自己満足〜」について、全く理解できな
かったのですから、これはRさん自身にない発想です。なお、
タイプ4は自己満足をしにくい性格です。完璧主義があり、
几帳面で真面目ですから、なかなか自分にOKを出すことが
出来ません。従って、相手の言動を推察する場合に、「自己
満足したいんだと思うわ」と言う可能性は高いと考えられま
す。
      

4 無視されたのは本当か?    
                    
 ある男子高校生が、隣のクラスの女子に尋ねたいことがあ
り、通りすがりに声をかけました。自分の声は、その女子に
聞こえていたはずなので、「完璧に無視された!」と感じま
した。この男子は腹が立ち、相当に傷ついてしまい、その後、
一週間以上も、気持ちが沈み、周囲に当たり散らしていまし
た。
 
 ところで、この女子によれば、よそ事を考えていたようで
、男子が何を言っているのか分からなかったようです。「聞
き返そうと思っていたけれど、恥ずかしくて何も言えず困惑
していた」と話してくれました。 
    
 さて、この男子はタイプ7で、「無視されることが恐怖」
になりやすい気質です。すると、タイプ7が相手の行動を推
察する場合、「無視された」と取りやすいでしょう。

 高校生という年齢からすれば、女子とは気軽に会話できに
くい年代です。気持ちの上で構えており、緊張しやすいでし
ょう。そして、緊張している時は、相手の様子をしっかりと
見ていない場合が多いのです。 
    
 この女子はタイプ9であり、少し恥ずかしがりやです。ま
た、この年代であれば、男子に声をかけられると、男子同様
に緊張しやすいのです。恥ずかしくて、聞き返せなかったと
いうのは、よくあることです。
 従って、この女子からすれば、「無視した」と取られたの
は誤解です。しかし、誤解されていたとは、思いもよらぬこ
とだったに違いありません。そして、事実を知ったら、この
男子も傷つくことはなかったはずです。
                          
                               
5 態度決定できない人たち 

 ある会計士をしているタイプ5の女性は、事務所にパート
として雇っている二十代女性のMさんから、「仕事を辞めた
いのですが……」と告げられました。会計士は、それ以外に
も、Mさんが何か言いたそうだなと思いました。しかし、しば
し待っても、Mさんが何も言い出さないので、辞める決意は
固いなと見て、「あ、そうなの。分かりました。早速、手配
しておきます」と言いました。

 さて、その夜、Mさんは困った顔つきで、友人に相談しま
した。「わたし、辞めたいという気持ちもあったのですが、
なかなか決められなくて、相談に乗っていただこうと思って
ました。そしたら、引き止められないどころか、すぐに辞め
て欲しいようなことを言われました。もう辞めるしかありま
せん。どうしましょう‥」

 このMさんの友人は、タイプ5の会計士と知り合いでした
ので、早速、Mさんの気持ちを伝えました。すると会計士は
「エッ! 辞めたいのではなかったの? はっきりしてよ!
 そんな子どもじみたこと言ってどうするの! 私に引き止
められたかったの? 信じられません。そういうことは自分
で決めることです。人に引き止められたら止めないんですか
! 働く意志のない人に仕事を続けてもらいたくありません
!」  
       
 そこで、Mさんは泣く泣く、その会計事務所を辞めました。
Mさんはタイプ9ですが、優柔不断であり、人間関係を大切
にして、居心地のよい働き場に勤めたがります。仕事の内容
や条件よりも、むしろ、職場の人間関係のほうが気にかかり
ます。 

 一方、タイプ5は決断力があり、人間関係はあまり気にな
らない気質です。自分のことは全て自分一人で決定し、迷い
や悩みがあっても、それは自分一人の胸に収めています。そ
して、最終結論だけしか他人に語らない傾向の強い人です。

 このように、大抵の人たちは、自分を基準にして相手を見
ますから、Mさんは最終結論を言ったのであろうと推察しま
す。また、自分が相手の説得にのらない性格ですから、相手
も説得できないと推察するのです。

 実は、この事務所では、人手が足りずに困っていたのです
から、会計士にとって、Mさんは辞めて欲しい人ではありま
せんでした。しかし、タイプ5にとって、説得されることを
期待したり、態度を決定しないままに他人に相談をかける人
間がいるとは考えられません。自身は決断力があり、Mさんの
ような性格を理解できませんから、働く意志のない人だとみ
てしまったのでした。


        

 このように、自分の予想や推察は、同じタイプにだけ通じ
ることです。ですから、他のタイプには全く通じず、誤解さ
れたり、歪曲されたりなど正確に理解されません。

 私たちは、相手の言動をいろいろに推察することが多いの
ですが、自分が考えつかないことを相手のほうでは考えてい
ます。そして、自分の動機、自分の発想の仕方を、相手にあ
てはめてしまいます。相手の言動を自分流に解釈していると
も言えます。

 そんな経緯から、人間関係が破壊され、もっと悪くなると
不幸な事件に発展します。
 そして、あなたが他の誰かの行為をいろいろに解釈するな
ら、そこにはあなた自身の気質が表れているのです。あなた
の予想の中に、あなたの推察の中に、あなたの解釈の仕方の
中に、あなたの気質が、かいま見えます。