特集シリーズ                                  
                                  


          目は口ほどにものを言う
 

  
エニアグラム性格学では、顔相を重視しており、タイプの特
長が現れ出ていると考えています。その中でも、とりわけ沢山の
情報が詰まっているのは視線や目つきです。

 


1 攻撃タイプ(8・2・5)の特長 

 視線をしっかりと相手に当てて、そこで、しっかりと自己主張
する人がいると、「攻撃タイプ」から探します。ケンカや争いと
なると、相手から一秒も視線を逸らさず、大きな声を張り上げる
でしょう。そのほうが効果が上がり、自分の主張が通ることを自
然に体得しているのです。
                             
 タイプ8
は敵を威嚇して、自分の強さを示して身を守る戦略を
持つタイプですから、眼光が鋭くなります。  
 映画「ザ・ビーチ」は、タイプ8の映画と予想しています。デ
ィカプリオが演じている主人公が、海中でサメに襲われそうにな
りました。ディカプリオは「サメと対峙する時に、視線をけっし
て外さなかった」と語ります。もしも、視線を外したなら、逃げ
腰の弱い奴と見られたり、「スキあり!」 となって、かえって
危険性は高まるからです。
 従って、「俺の目を見ろ!」と大きな声で怒鳴り、威嚇的にな
るのは、攻撃タイプに最もよくある傾向です。とくに、タイプ8
は真正面から凝視します。


 

 タイプ2
は他人によく説教をします。そんな時「Look at me!」
と言います。自分の話を相手は聴いているのか、その目を見て確認
するのです。叱られている子どもが怖がって視線を外したら、「何
か後ろめたいことがあるからに違いない!」と言って、さらに追及
します。
 また、相手が言い終わらないうちに、たたみ込むように強い口調
で言いつのります。タイプ8は相手の言うことをじっくりと聞いて
から、その主張の中にある矛盾点などを探しますから、戦いを急ぐ
ことはなく、冷静であることが強さの証明だと考えているかのよう
です。しかし、タイプ2は相手の話を聞かず、一方的に自分の正し
さだけを主張して、感情が激昂してしまうほうです。 


 タイプ5
は元々よく観察する人ですから、観察する対象をしっか
りとした視線で追います。瞬時に観察する時は、一瞥するだけです
が、相手が頭の悪い人だとなると、視点を向けることはなく、まさ
しく「無視!」します。
 タイプ5が教師であると、頭が良く論理性があるのは男子だと見
て、頭の悪い女子は「視野」になく、質問もせず、声かけさえもし
ないかもしれません。タイプ5にとって、おんな子どもは自分と対
等に語り合える存在ではないと考えているかのようです。
 また、争いの相手が頭の良い相手だと、冷静なタイプ5も、血わ
き肉躍るかもしれません。タイプ5にとって、賢い相手を論破しよ
うと、策を巡らす時ほど、充実感に浸れるものはありません。



2 防御タイプ(7・1・4)の特長  

 日頃から、視線を交じ合わせない人がいたら、それは防御タイプ
から探します。もちろん、「探します」というのですから、他のタ
イプにもあります。
 防御タイプは、危険が迫りつつあると感じたり、調子が悪い時な
どには、確実に視線を合わせない傾向が増えます。少しの異変でも
気づき、避けられるように、日頃から、周囲を素早く見回る習慣も
あります。従って、目の端で相手を見たり、周囲をうかがっていま
すから、顔を合わせる前に、相手より早く気づいています。    

 タイプ7
は瞬時に状況把握できる能力がある人が多く、よく観察
しています。ですから、相手を見なくても、大抵はどんな人間なの
か把握できる傾向があります。チラリチラリと視線を投げかけ、じ
っと見つめ続けることは少ないかもしれません。大勢の人がいると、
視線も落ち着き、二人っきりで対峙するのを怖がり、そんな場合は、
視線を合わせようとしないかもしれません。

 ビートたけし監督(こちらからはタイプ7w8らしく見えます)の
映画に、たけしさんが出演して相手をチラと見るシーンがあります。
タイプ7は、好きな女性に対しては意識し過ぎて、見つめられない
のです。
 また、頭の回転は早いので、視線もそれにつれて早く動きます。
タイプ7は人間だけでなく、近くも遠くも、また物音なども、全て
にわたって注意力が働いています。些細なことも覚えており、通り
すがりの看板さえも、一瞥しただけで、その内容を覚えているなど
もあるかもしれません。従って、視線も忙しく、くまなく見ている
ことが多いのです。


 タイプ1
は、初対面の人に対しては緊張して、目を伏せたり、た
まに頭を上げて視線を交わすだけで、目と目がガッチリと組み合わ
ない傾向があります。しかし、慣れ親しんだ人や女性、安心できる
相手ならば、視線を避けることはないでしょう。

 タイプ1は、落ち着きがあり、安定しているので、タイプ7のよう
なせわしない視線ではなく、じっと対象物を見つめています。しか
し、怖がりなので、いろいろなことで「正視」できません。犬が怖
いとなると、犬を見ないようにして大急ぎで通り過ぎようとします。
恥ずかしい行いをする人でも「正視できず」、見なかったことにし
ようとします。従って、タイプ1は周囲の人間たちの言動、振舞い
方などを見ていない傾向が顕著に見えます。

 しかし、視線を合わせないようにしていても、相手の視線が自分
に注がれているのかは、把握しています。上司、教師や父親など、
タイプ1にとっての権威者の視線が自分に注がれていると分かると、
とくに緊張します。欠点などミスなどを「見抜かれている」のでは
ないかと恐れるのです。仕事場ならば、しっかりと仕事しているの
かと、上司に「見張られている」ように感じるのです。

                         
 タイプ4
は遠くにいる人はしっかりと観察しますが、近くにいる
人は見ないようにする傾向があります。自分に関心を寄せてもらい
たくないので、相手と視線が合わないように注意しています。足音
も立てず、影のように動き、見つからないようにしているかもしれ
ません。対峙しなければならない時は、目の端っこで、チラッと相
手を観察します。しかし、自分を受け入れてくれる人、理解し合え
る人物だと、安心して視線を交わすでしょう。

 タイプ4にとって、自分が相手を意識すれば、相手からも意識さ
れますから、結局のところ、相手の顔も名前も、その存在すらも知
らず、覚えられないという特長もあります。そして、いつも自分の
ことばかり考える傾向があるので、その視線は自分に向けられて、
周囲のどこも見ていないかもしれません。無気力になっている時は、
目に力がなく、虚空を見ているように見えます。そして、表情が豊
かで、瞬時に変わり、眼球運動が早くなることもよくあります。 

       


 とはいえ、この3つのタイプに自信と余裕がある場合、視線を避
けることはなく、しっかりと向き合っています。ただし、不安感が
増してくると、確実に視線は合わせられず、挙動不審となり、キョ
ロキョロとした視線を周囲に向けます。また、「眼をつけられる」
と、不穏なことが起きるかもしれないと想像します。

 そして、自分と他人との間に垣根をめぐらし、ガードを固くしま
すから、目つきもきつくなり、人を拒絶するような冷たい視線を出
しているかもしれません。
 防御タイプの中には、蛇のように冷たくて、きつい目つきをする
人がいますから、攻撃タイプのきつい視線と混同されるやもしれま
せん。自分の世界にこもり、「簡単には自分の世界には入れないぞ
!」というオーラを周囲に放っているからではないでしょうか。あ
るいは怖がって緊張しているので、相手からも怖そうに見られてし
まうものと考えられます。

 また、相手と対峙する時には、自分の視線をどこに持っていくべ
きか迷い、相手の首を見たり、眉間を見ていようと考えたり、「視
線」というものを強く意識する傾向があります。それゆえ、「視線
恐怖症」に罹りやすいのは、この3つのタイプです。


                       
3 調和タイプ(3・6・9)の特長 
                      
 この3つのタイプは、視線や目つきについて、特長的なことが少
ない傾向があります。攻撃タイプのようにきついとは言えず、防御
タイプのように拒絶的になりにくいため、適度でしょう。威圧的で
怖い相手には、少し引き下がり、目を伏せるかもしれませんが、年
下とか立場が下で、弱い相手ならば、少し威圧的にもなり、きつい
視線を出しているかもしれません。 
                 
 タイプ3
は周囲の人たちをよく観察していますが、結構のんびり
屋なので、目つきや視線などで、特長的なものが少なく、分かりに
くいでしょう。ライバルには近づかず、「無視」して、顔を合わせ
ようとはしません。しかし、近づきたい相手には穏やかに接して、
気持ちの良い視線を出していることでしょう。
 自分より目立つ人、美しい人に接する時は、表情はなく、事務的
に接しますから、すぐにそれと分かります。目端が効いて、慎重で
すから、大きな間違いも少なく、人と争うような関係にもなりにく
い気質です。つまり、ライバルや嫌いな人、争いに巻き込まれそう
な人物を、早い段階から避けています。

                  
 タイプ6
は積極性があり、絆を築いて、誰とも仲良く暮らしたい
のですから、自分から愛想よく近づきます。しかし、挨拶をするだ
けの相手か、深入りできる相手なのか、よく観察しています。従っ
て、誠実な目つきの人が多く、頼れる大人、大好きな人にはパチク
リと、かわいらしい目つきです。
 また、怖い体験をしているならば、警戒心が強くなり、しばし相
手の人柄をじっと観察するでしょう。従って、警戒するような視線
を出している人も少なくありません。しかし、信頼できると分かる
と安堵して打ち解け出して、やさしい視線で相手を見ていることで
しょう。もちろん、不安感が高まっている時は、目つきに最もよく
出ます。また、頭の回転が早い人も少なくないので、視線はあちこ
ちとよくさまよい、周囲をしっかりと見ています。


 
タイプ9は人に同調しやすく、敵を作らないようにしていますか
ら、温和で穏やかな視線を出しています。ストレスに晒され、精神
的に追い詰められると、頭の回転が遅くなりますから、視線が弱く
なり、周囲を見ているようで見ていない状態になります。物事を識
別できなくなり、間違いや失敗が多くなります。ボウッとすること
が多くなると、まるで濃霧の中に入ってしまったような状態になり、
何も見えなくなるでしょう。
      
 しかし、余裕や自信のある状態ならば、クリアに見え、その言動
もイキイキとして、気ある視線を出しているかもしれません。眠そ
うな目つきや、オドオドした視線を出していると、精神状態も良く
ないと考えられます。 
 なお、タイプ9は平和主義者と呼んでいるほどですから、ケンカ
腰になっている時でさえ、視線は相手に行かず、声も相手に届かな
いよう見えます。とくに9w1は、後ろに向かって怒鳴っているか
のようで、また、空に怒鳴っているかのようにさえ見えます。まさ
に、ケンカの仕方が分からないらしく、結果的に、敵を作らずに、
平和に暮らせる性格です。


 この3つのタイプも、自分の視線を意識して、相手に失礼になら
ないようにしています。あまり見つめては失礼かもしれず、見返さ
ないと、それも悪いかもしれないと気遣います。調和タイプは、周
囲にいる皆んなに嫌われたくありません。たとえ、自分が嫌ってい
る人であっても、その人に嫌われるのは、とても辛く、拒絶できに
くい気質です。嫌いな人に誘われても、ノーが言えないことがあり、
人間関係でのストレスに常時晒されています。従って、視線も目つ
きも、とても大切なもので、適度で適切であり、特長的なことが少
ないのが特長です。
       

 「目は口ほどにものを言う」と言われていますが、視線や目つき
は、性格タイプまで推察できます。いつも威嚇的な目つきの人もい
れば、視線を合わせないようにする人がいること衆知のことです。
しかし、
それが、どこから来たのか知らなかったのではないでしょ
うか。そして、やっと納得できるものと出会えたことと思いますが、
当エニアグラム性格学はまさしく「智恵の宝庫」だと気づいたこと
でしょう。