特集シリーズ                                      

    
      
9タイプの根源的な恐怖  
 
  
                     

1 事実は小説より奇なり                      
 
 
人間なら、誰もが怖がるものと言えば、それは「死」です。自然
災害、交通事故、病気、大怪我なども、怖いものです。がしかし、
それ以外にも、怖いものは一杯にあります。
                   

 ある人は怖がっているのに、他の人にとっては怖くないことが
あります。同じ人間なのに、なんと「恐怖」と感じるものが違うの
です。

 私たちは気質(性格)が違うと、さまざまなところで違いがある
とわかっているのですが、まさか恐怖に感じるものが違うとは予想
だにしなかったことでしょう。「事実は小説よりも奇なり」とは、
よく言われることです。まさに「奇なこと」は、いろいろな場面で
見られます。
            

 エニアグラムは、9つのタイプがそれぞれに恐怖と感じるものが
違うことを教えています。自分が恐れているは、ごくごく自然で当
たり前のことです。しかし、他人の恐れていることは不可解なこと
で、なかなか理解できません。それが、これから紹介するもので、
「9タイプの根源的な恐怖」と呼んでいます。
 


2 根源的な恐怖
                              

                            
          
9つのタイプの根源的な恐怖 

タイプ8
自分の力強さを疑
われて、人々をリ
ードできないこと
 
タイプ3
自分が目立たず、
人々から忘れ去ら
れること
タイプ7 
自分が快活になれ
ず、人々を楽しま
せられず、人々か
ら無視されること
タイプ2
自分の善い価値を
疑われて、人々か
ら必要とされない
こと 
タイプ6
自分に愛らしさや
取り柄がなく、人
々から見捨てられ
ること 
タイプ1
自分が失敗や過ち
を侵して、人々か
ら非難されること
タイプ5
自分の知的な価値
を疑われて、人々
から指示を求めら
れないこと 
タイプ9
自分が不調和な行
動を起こして混乱
させ、人々に受け
入れられないこと
タイプ4
自分を見失ない、
自暴自棄に陥ると
、人々から拒絶さ
れること。



タイプ8にとって、少しでも自分の力強さを疑われると、付け
込まれて、打ち負かされる恐れがあります。それゆえ、他者に
弱みを見せないように、リードしたり指図して、自分の優位性を
示していこうとします。             


タイプ2にとって、少しでも自分の善人性を疑われると、人
は自分を求めない恐れがあります。それゆえ、人を助けたり親
切となり、人の必要を満たすために、積極的に善い行いをしよ
うとします。 


タイプ5にとって、少しでも自分の知的価値を疑われると、人
々は自分の指示を仰がず、信頼されない恐れがあります。それ
ゆえ、事実をより多く知り、知恵を蓄えていこうとします。 


タイプ3にとって、少しでも自分が目立ち、注目を浴びないと、
人々から無視されて、忘れ去られる恐れがあります。それゆえ、
あらゆる工夫をして目立ちたがり、自分を磨いてアピールします。


タイプ6にとって、少しでも自分に愛らしさや取り柄がないと、
人々は自分を求めず、見捨てられる恐れがあります。それゆえ、
人を気遣い、やさしい声をかけて、気に入られるようにします。


タイプ9にとって、少しでも自分が不調和な行動を起こして、
平穏が乱されて混乱に陥いると、人々から受け入れられなくな
る恐れがあります。それゆえ、周囲に同調したり、目立たないよ
うに行動しようとします。

             
タイプ7にとって、少しでも自分が快活になれず、面白い物
を持てず、人々を楽しませられないと、人々から無視される恐
れがあります。それゆえ、楽しくて幸せになれる何かを得よう
とします。  
                         

                                    
タイプ1にとって、少しでも自分が失敗したり間違いを侵して、
指示通りにできないと、人々から非難される恐れがあります。
それゆえ、指示通りの正しい堅実な行動をしようとし
ます。   

タイプ4にとって、少しでも自分を見失い、自暴自棄に陥ると、
人々が自分を受け入れず、拒絶される恐れがあります。それゆ
ゆえ、自分を見失わないように自分を確立して、自分らしい世界
を作ろうとします。


3 タイプが違うと、誤解が多い               

                     

 
さて、自分のタイプの恐怖は、ごくごく自然なことですが、他の
タイプの恐怖は、思わず知らず「なんのこっちゃ!」と言いたくな
りませんか? 身近な人たちを観察していれば、確かに、そのタイ
プは何かを恐れているとしか思えないことがあります。


 例えば、タイプ8と暮らしたことがある人なら、タイプ8とは対
等な関係になりにくいことを思い知らされます。どうしても、優位
に立っていないと我慢できないかのようです。

 タイプ8の口調は命令調で、いつも他人を仕切り、人は自分の言
いつけ通りに動くものだと思っています。ですから、命令に従ない
人を「反抗的な奴!」と感じます。一方、自分は他人のために動く
ことはなく、他人は全て自分の使用人だと心得ているかのようです。

 また、単に議論を楽しんでいるだけなのに、いつのまにか勝負事
にスリ変わります。他のタイプは、目の前の人物が議論で打ち負か
そうとしていることを、やがて知ります。そして、なぜ議論で楽し
めず、勝ち負けの問題になるのかと不思議な思いにとらわれるでし
ょう。


 タイプ5と暮らしたことがある人なら、この人は居ても居なくて
も、家族にとって、どちらでも同じことだと知っています。いつも
頭は使っているらしく、本や新聞を丹念に読み、周囲を観察してい
るようだと分かります。家族は要らない人のようで、寂しいという
感情がなく、情のない人と感じているかもしれません。

 また、冗談で「思慮が足りないね」などと言おうものなら、真っ
直ぐに凝視されて、「思慮が足りないのは、どの点か?」と強い口
調で詰問されるでしょう。普段は静かで無口、おとなしいぐらいに
見えます。が、いざ、頭の善し悪しに関することになると、絶対に
引かず攻撃的になります。その時になって、きつい人だなと、初め
て気づくのかもしれません。           

                       
 タイプ7と暮らしたことがある人なら、いつも自分に関心を向け
けて、「自分を生活の中心に据えろ!」と言っていることがわかる
でしょう。いつも頭を使っており、使わないのは寝た時だけで、忙
しくせわしない人だと知っています。また、身も心も軽く、外出し
たり散歩したり、買い物したりと、常時、動いています。
 従って、一緒にいると気を休めることができず、のんびりとでき
ません。楽しむために人生はあり、遊ぶために働くのであり、苦し
い時ほど快楽を求めたり買い物をしたがります。タイプ7にとって、
人生は大急ぎで過ぎていくものですから、いつも「急げ!急げ!」
が、毎秒のように脳裏を横切っている人のように見えます。


4 理解不能な相手
               

 
                                 
 
例として、3つのタイプだけを説明しましたが、この三つのタイ
プにとって、これは当然のことで、誰もが自分と同じであるはずと
思っています。しかし、他のタイプには、不可解なことで、全く理
解できません。
                        

 例えば、タイプ5にとって、勝ち負けにこだわるタイプ8は不可
解です。力技の勝負なら関心がなく、頭の良さで勝負するものなら
ば、タイプ8以上に執念を燃やすかもしれませんが。 
                        

 タイプ8にとって、勝つことが最も価値あることですから、「肉
を切らせて骨を絶つ」という考え方をします。しかし、タイプ7に
とっては、肉も切られたくないのです。少しも傷つくことなく勝て
るならば、勝負に挑みますが、手強い相手なら「逃げるが勝ち」で
す。従って、深手を負ってまで、勝ちたいと執着するタイプ8を理
解できません。

                 
 次ぎに、タイプ7にとって、人生は楽しむためにあり、書斎に一
日こもって勉強ばかりするタイプ5は、理解に苦しむ人間です。タ
イプ7の夫が、タイプ5の妻に、女らしい物を買い与えても少しも
喜びません。妻に気づかっているのに、妻に自分を気づかわず、一
人でいたがります。楽しい会話で誘おうとしても、にべもない反応
があるだけかもしれません。


 
一方、タイプ5にとって、しっかりとした話し合いや議論はした
いのに、タイプ7は向き合ってくれる相手ではありません。難しい
話、深刻な話、面倒な話となると、タイプ7は用事を作って早々と
外に出掛けたのか姿が見えません。

 タイプ7は面倒なこと、苦しいことは気配で分かる人のようです。
ですから、タイプ5は自分とテンポの違う相手なので、長く一緒に
いると苦痛になるかもしれません。が、タイプ7にとっても、腰の
重いタイプ5は付き合いにくい相手かもしれません。 


5 根源にある恐怖が日常的に出る
                    

 
このように、深いところに恐怖があり、そこに動機づけられてい
るため、それが日常的な行動の仕方にも反映します。従って、危機
的な状況になると、さらに、その傾向が強く出ます。

 逆に、精神的な成長を果たし、余裕や自信がつくと、この恐怖に
対して、客観的になり、適度に付き合えるようになると考えられま
す。  

 タイプ8は成長すると、相手に勝ちを譲れるようになり、タイプ
5も成長すると、無知な人間をさげずむことはないでしょう。タイ
プ7が成長すると、楽しみを追うのではなく楽しみを作り出します。 

「恐怖」ほど、やっかいなものはありません。一見、強そうに見え
るタイプ8でも、他人に負けること、人を指図できなくなることは
恐怖なのです。だからこそ、負けたくないと闘志を燃やし、自分を
鍛え上げるのです。タイプ8という気質の人が、なぜそのようにな
っているのか、そこに鍵があり、それを理解することが、他人を理
解することです。 
                  

 さて、あなたの根源にある恐怖は何か、探し出せましたでしょう
か?