特集シリーズ

9つのタイプのシンボルカラー        
 
          
 色彩が心に影響することが、近年になってざまざまに調べられて
います。「色彩心理学」と言う分野もありますから、心と色には強
い繋がりがあるようです。
 エニアグラムは“神秘学”と因縁が深く、さまざまなところで繋
がりを見つけられます。歴史に埋もれていたエニアグラムを西欧に
最初に紹介したのは、“グルジエフ”という神秘学者であると言わ
れています。
 また日本でもっとも著名な神秘学者は“ルドルフ・シュタイナー”
で、「シュタイナー教育」という教育分野で知られている人です。
しかし、彼の教育学の基になっている「神秘学」は、一般にはあま
り知られていません。

 ところで、シュタイナー氏はその著書「色彩の本質」の中で、次
のように説いています。
「色彩の中には常になんらかの像がある。
色彩はどんな場合にも現実的なものでなく像なのです。それは時に
は生命の像になり、魂の像になり霊の像になり、そして死の像にな
ります」

 性格を考える時は、実在の人物を思い浮かべますが、「人物像」
としてみるならば、「色彩」を使って説明できるのではないでしょ
うか。そこで、ここではシュタイナーの色彩論を取り上げながら、
9つのタイプのシンボルカラーとして紹介します。

      

 

 タイプ9のシンボルカラーは陽色または黄色

 シュタイナーは黄色について
「黄色が面に塗られているところを心
に描いてみると、黄色は特定の広がりを持った面としては考えられま
せん。黄色は中心の部分が濃厚であり、周辺に向けて融け込み流れ去
ろうとし、ついには周辺でぼやけようとする、そういう本質を持つ」
と語っています。

 エニアグラムが解くタイプ9の性格は、自己主張が少なく、人々と
の間に境界を引かず、いつも自然体です。常に人々や外界に同調して
おり、自己表現をあまりしません。内面に確固とした核があるのでは
なく、周囲の人々や環境との関わりの中に、自分らしさが表現されて
います。
 ですから、この「周辺に向けて融け込む」と「周辺でぼやけようと
する」という表現は、タイプ9の意識の在り様をよく表わしています。

 また、タイプ9はエニアグラム図の真上で、はじまりの地点にいる
ため、光の初まりの色がふさわしいと言えます。そして、タイプ9の
成長していく方向はタイプ3なので、黄色の次にくるべき色は赤です。


タイプ3のシンボルカラーは赤色

 
光が放射していくとき、黄色の次に放射して、黄色をもっと鮮明に
色濃く表わして行くと、しだいに出て来る色は赤です。シュタイナー
「赤はどこまでも赤であり続け、制止した色として作用し、消え去
ろうとしない」
と語っています。

 確かに、ピンク色と比べてみると分かるように、ピンク色は自己主
張をしないので、うつろいやすい色です。しかし、赤は自分を主張し
続ける色、一番目立ち安定した色で、それ以上変わることのない色に
見えます。 
           
 タイプ3は、自己アッピールが強く積極的で、評価されたいという
主張を、鮮明に周囲に示し続ける性格です。また、赤は警戒色であり、
よく目立つので、タイプ3の目立ちたいという本質的な欲求をよく表
わしている色です。
 なお、古来から“情熱の赤”とされているように、感情的で積極性
のある色は、赤で表現されています。また、タイプ3の成長の方向が
タイプ6なので、赤色の次に来るべき色は青です。



  タイプ6のシンボルカラーは青色

 
なお、青は黄や赤とともに“物質の三原色”を形成しています。シ
ュタイナーは
「青色の内的な本質は黄色とは反対で、青色は周辺から
内に向かって放射することを求めるのです。青は周辺を最も濃く、内
側をもっとも淡くすることが必要です」
と語っています。

 タイプ6は、エニアグラム性格学では、“絆の人”と呼んでいます
から、絆を求めて奔走するところがあります。
 また、不安感が強く心配症なので、強い絆を築いて行かなければ安
定することができず、絆の無い関係、あるいは外界との境界を強固に
しています。
 また、言語能力が高く、シャープさとクールさがあり理知的です。
そして、いったん外なる輝きをキャッチして自分のものにしたなら、
それを内側に流し込んで行くことで、自ら輝く性格です。

 また、古来から“理性の青”と表現されているのは、周知の通り
で、青色はタイプ6の性格を象徴する色です。



 


タイプ8のシンボルカラーは白と黒

“黄→赤→青”という物質の三原色を一様に運動させていくと、灰色
または無彩色になります。一方、光は白や黒とも関わりのある色です。
シュタイナーは
「白と黒は静止したあり方をせず、互いに働き合い移
行し合うように考えてください」
と説いています。

 現象的に見ると、白と黒は正反対の色ですが、本質的には同じもの
であり、互いなくしてはあり得ない色、つまり、働き合い移行し合う
色と言えます。また、灰色や無彩色と言われているものも、全て本質
的にはこれと同じものです。

 タイプ8は、冒険や刺激を求めたり激しい生き方を求めて、自分の
強さを示したがります。また、白黒をはっきりさせたがり、グレイの
ままではいられず、単純明快であり、敵味方という対立し合う世界に
身を投じやすい性格です。
 従って、この白と黒という対立している二つの色が、タイプ8の性
格をもっとも象徴する色です。 
   
 これまでの「9→3→6」は“内環の3タイプ”と呼びますが、残
りは“外環の6タイプ”と言い、「8→2→4→1→7→5」となり
ます。
 つまり、タイプ8は外環のスタート位置にいるため、スタートの色
である白色と、ラストにあたる黒色を同時に表わします。

 
      

タイプ1のシンボルカラーは橙色 

 ところで、初めに光があり、光の輝きの三色が中和されたところで、
元の光の色として白が表われ、光の終焉の色である黒が、タイプ8の
ところに配置されました。
 ここで、さまざまな色を生み出す根源的な装置が出揃ったことにな
ります。従って、ここからさまざまな色彩が生まれて多彩に移り変わ
っていき、終焉の黒にたどり着きます。
 つまり、外環の白(タイプ8)から始まり、その後は時計回りとな
るので、タイプ9を経由して、次はタイプ1となり、最後に黒(タイ
プ8)に行き着きます。

 従って、タイプ9の次にくるタイプ1は、黄色から少し赤みの増し
た色、すなわち、橙色となります。 
 タイプ1は世界と肯定的に結びついているので、人々や環境など周
辺に融け込みやすい性格です。タイプ1は自分の意見をしっかりと主
張するため、自己主張が強いように見えますが、争いをさけて、人と
ぶつかりにくく、安定して謙虚な人柄です。
 また、タイプ1が成長すると、タイプ7のように明るく快活となる
ため、橙色こそタイプ1を象徴する色です。


           
タイプ2のシンボルカラーは朱色またはオレンジ色

 
朱色は、橙色(タイプ1)から赤(タイプ3)への中間にあって、
橙色よりさらに赤みを増した色です。

 シュタイナーは
「オレンジ色は私たちの力を強めてくれるものであ
り、宇宙の中に参入することを私たちに可能にしてくれる」
と感じた
ようです。確かに朱色は赤のように制止した色ではなく、次への可能
性を感じさせる躍動感のある色です。

 タイプ2は、攻撃的で自己主張が強いので、その言動は目立つこと
になり、周囲の人々に警戒心を抱かせる傾向もあります。また、積極
的なので、次なる可能性を感じさせ大胆でエネルギッシュな性格です。
 そして、善い人間に思われたがり、傷ついた人や弱い人を助けたい
という欲求は本質的なものです。親切で暖かい人柄は、赤色というよ
りは、朱色やオレンジ色と言え、タイプ2の性格を象徴する色です。


    

タイプ4のシンボルカラーは紫色

 
赤(タイプ3)から青(タイプ6)の中間にあって、赤に青を少し
加えた色の紫が、タイプ4を表わす色です。

 シュタイナーは
「明るい紫は帰依の色」だと言います。確かに日本
の仏教では、紫は最高位の僧たちがまとう色であるため、仏への帰依
の色として使われているのかもしれません。また、紫は「癒しの色」
とも言われており、宗教は人々の悲しみを癒すのが目的と考えられま
す。
 なお、紫色は非常に微妙な色感のある色であり、紫色の本質は複雑
ではないかと感じさせます。

 タイプ4は、悲しみ苦しみ恐れなどの感情機能が発達しています。
微妙で複雑な感情を識別するタイプ4は、従って、自分の感情を人に
説明することは非常に難しいと感じています。
 また、悲しみや不幸な人への共感能力がありますが、楽しみを享受
することがへたであり、うつ的になりやすい傾向があります。自身が
うつ的になりやすいので、癒されたいという思いが強く、成長したタ
イプ4は、人々を癒す仕事をしたがる傾向があります。また、タイプ
4は激情的になることがあり、危機的な状況のときにはコントロール
が効きにくい気質です。
 従って、赤という情熱の色と悲しみの色でもある青が混じり合って
いるのが紫なので、タイプ4の全体像を見るなら、紫色こそタイプ4
を象徴する色です。


                                        

タイプ5のシンボルカラーは藍色またはすみれ色

 紫(タイプ4)の次の段階として、もっと青色の増した色は藍です。
タイプ6のところで述べたように、青は周辺にいる色ですが、藍は青
よりももっと濃いため、長く周辺に漂う色と考えられます。従って、
長く周辺に漂った分だけ、境界の周辺から内の方向に、うまく流れる
ことができにくい色です。                      

 タイプ5は、物事に固執する性質が強く、粘着的です。また、事実
だけをより広く深く知りたがり、行動力の足りないところがあります。
 また、思考力が発達していて、思考の淀みから抜け出すことが不得
意とも言えるでしょう。しかし、留まった時間が多い方が、濃淡の差
が大きくなり、周辺の濃さと、中心の淡さに開きがあって、輝き方は
異彩を放つことでしょう。
 従って、冷静で理知的であるタイプ5は、理性の色である青系に属
しており、青のもっとも濃い色である藍色は、その性格を象徴する色
です。 

                                 

 タイプ7のシンボルカラーは緑色

 
緑は、青(タイプ6)から黒(タイプ8)にいたるまでの中間にあ
る色ですが、青(タイプ6)と、黄(タイプ9)の間に位置する色と
も言えます。

 シュタイナーは
「緑はまさに植物本来のものであり、植物はすべて
の存在の中でも、最も本質的な生命存在である」と書いています。ま
た、「色彩の世界は、自然そのものの中でさえも像なのです。また、
死の像は黒で、生の像は緑です」

 確かに、緑こそ“生命を象徴する色”で、生の対局にある死が、黒
色であることは感覚的にはうなずけます。ただ、タイプ7は緑色を本
質的に好む傾向があり、他方で恐怖心が強く、死や暗闇や暗黒などと
いうものを、意識していることが多いのも事実です。

 タイプ7が成長したあかつきは、表面的には無価値としか見えない
ものからも、その物の本来ある価値を見いだす“生命の讃歌者”とな
ります。また、いつも事実だけを簡潔に語り、ドライで無責任にもな
りがちですが、新しいもの好きで、好奇心に溢れたフレッシュマンで
す。

 従って、そのような性格は、緑のような生命感のある色こそ、象徴
する色です。なお、タイプ7が後退すると、暗くて陰気となり、閉じ
こもるので、段々と黒みが増します。緑は予想以上に黒に近い色であ
り、隣のタイプ8の色でもああります。
 
 

                    
補足として

 
ところで、ウイングについて付け加えるなら、隣り合わせた色がそ
れぞれ混じり合っていると考えます。
 例を上げると、タイプ4w3の人は赤紫色になり、タイプ4w5の
人は青紫色になると見て行きます。また、成長の方向の色を身につけ
ると精神的な安定を得られるかもしれません。 
 
 
       

 
さて、色彩が人の気持ちに与える影響を調べたところによると、色
の違いが心理的緊張感と関係があり、緊張をゆるめてリラックスでき
る色として、肌色やパステルなどの淡い色が、効果があると言います。

 そして、黄色や緑や青などになると、少しずつ緊張が高まり、赤に
なると興奮状態に近づくことが測定されています。また、赤や黄色な
どの暖色系は、心のエネルギーが外に向かっていく感じであり、青な
どの寒色系は心が内側に向かっていて、自分の内面世界を守る気持ち
が働くと言います。(末永蒼生著“色彩楽”より抜粋)  

 以下は、“色彩楽”より転載したものです。


 
 
        「色で表現される心」
 赤色   意欲的、活動的な自分になりたいとき                
 黄色   希望や願望などの自己欲求が外に向けられるとき  
 紫色   悲しみや不安などの気力低下とそれからの回復を望むとき
 緑色   生命の再生力を表現するとき               
 黒と白色  自分の強い意志を表したり、心の戸締りをしたいとき