上級者理論                                     

(改定版2007/12/12)
       ぶりっ子という性格  


1 ぶりっ子とは? 

          
 
よい子の振りをする人を「ぶりっ子」と言い、巷ではよく使
われています。インターネットで「ぶりっ子」と入れて検索す
ると、「かわいい子ぶりっ子・知ったかぶりっ子・文化人ぶり
っ子」などがあり、使い方はさまざまです。
 歌手のモーニング娘のぶりっ子ぶりについてもランキングさ
れていました。ちなみに「なっち」という女性が1位だと書か
れていました。

 さて、よくある事例なのですが、電話での受け答えで、大変
に丁寧になり、礼儀正しくて、いつもの声と違う人がいます。
ところが、相手が変わっても、いつものように無愛想な受け答
えをしている人がいます。そんな人から見ると、相手によって
声色が変わる人を見ると、違和感を抱くかもしれません。

 私たちの中には、同じ人物を見ているのに、「ぶりっ子」し
ているように見えたり、そうは見えないと主張する人がいます。
どんな様子なら「ぶりっ子」と言えるのか、それは分からず、
全員一致になるようなものではありません。
 気質とか性格というものの多くは、あいまいなままに、あい
まいな切り口でしか語れず、それは宿命的なものなのかもしれ
ません。 

  
 さて、「良い子ぶりッ子」がよく見えるのは、2w1と9w1
の女性たちによく見られる現象です。また、男性にもありますが、
女性のほうが多いようです。
 〔なお、これについては、質問コーナーにあるNo.444の回答文
を読んでください。ここと関連しており詳しく説明しております〕

 この2つのタイプは、ともに1のウイングがあるのですから、
この現象の本家本元はタイプ1です。しかし、タイプ1の人たち
はあまり「ぶりっ子」には見えません。タイプ1は生来の優等生
気質です。一歩、家を出たなら恥ずかしくない言動を心掛けてお
り、いつも自戒しているタイプです。ほとんどの場面で「良い子」
であり、正真正銘の優等生的な行動パターンをしています。

 
当エニアグラム性格学では、「一枚岩の良い子」と呼ぶことも
あります。タイプ1にとって、よい子を演じるのは自然現象であ
り、人前では自然に優等生的になってしまい、それ以外は演じら
れません。従って、「ぶりっ子」ではなく、ただ「よい子」とい
うだけに過ぎないと考えられます。


       

 タイプ2w1は素早く良い子に入れ代わる
                     
 
詳しい説明をするなら、一見、よい子そうに見えるが、よい子
とは感じられない部分があり、演じているように見えるので、「
よい子ぶりっ子」と言われるのではないかと考えられます。

 タイプ2も真面目で正直とは言えますが、いつも人前で自戒し
ているとは言ません。ある時は自戒して、ある状況では自戒する
ことを忘れています。それは状況により相手にも拠り、瞬時に自
分で選択しています。「よい子」を演じる時もあれば、そうでな
い時もあり、それが他人からもよく見えたりします。
 

 一方、タイプ1は、いつも他人から見られる自分を過剰に意識
しています。友だちとおしゃべりして、その後で教師とおしゃべ
りしても、同じような接し方をします。ところが、タイプ2は、
友だちと興じている時は乱暴な口をきいたり、自分の地を出して
います。また、タイプ2だけでなく、攻撃タイプは他人から見ら
れる自分を意識するのが少ないタイプです。見られる自分を意識
しない時に、よく地のままの自分を出しているのです。

 しかし、そこに尊敬している教師や医師など、権威的な人物が
近づくと、とたんに優等生気質が表面に出て、礼儀正しい丁寧語
を使ったりします。笑顔をふりまいたり、とってつけたような優
等生ぶりを発揮します。その一部始終を見ていた友人たちは、そ
の違いを見てしまいます。教師の前だけは、よい子のふりをする
ので嫌な子に見えるのです。
             

 それに比べると、タイプ1は尊敬する人を目の前にすると緊張
してしまい、口がうまく回らず表情も硬くなってしまい、演じて
いるようには見えません。優等生でいるのは通常のことで、教師
の前では不器用な応対をしてしまうことさえあります。

 なお、全てのタイプ2w1が「よい子ぶりっ子」をするのでは
ありません。毎回のように書かねばなりませんが、このグループ
の中にそのような傾向を持つ方が、他のグループよりも多いとい
うに過ぎません。 
       

                           
 タイプ9w1のぶりっ子ぶり   
             
 
タイプ9w1も「よい子ぶりっ子」していることが、タイプ2
ほど顕著ではありませんが、しばしば目にします。タイプ9は穏
やかに周囲のみんなと調和していたいタイプです。タイプ1ほど
には過剰に見られる自分を意識するのではなく、タイプ2よりは
ずっと見られる自分を意識しています。

 タイプ9は、人々に嫌われたくないので、相手に合わせたり気
を遣っています。しかし、尊敬する教師が近づくと緊張して硬く
もなり、口も滑らかに動きません。タイプ1とよく似ています。
しかし、それほどの緊張をしなくてもよい場で、しかも、少しば
かり緊張
する場では、当然に「よい子」ぶりを発揮します。

 たとえば、玄関に他人を迎えた時、目上の人と電話で応対する
時、ご近所の大人、かかりつけの医者の前、役所や学校などの少
しばかり構えてしまう場所などです。

 ただし、見知らぬ人や、初対面の人にも緊張しますが、それだ
けで良い子ぶることはありません。相手が自分と対等ではなく目
下でもなく、高い身分であるとか、明らかに目上と予想される時
に、なぜだか自然に少しへりくだってしまいます。そして、よそ
ゆきの笑顔で接したり、言葉遣いが丁寧となり、礼儀正しくもな
ってしまいます。 
      

 
タイプ2w1ほど、普段との違いに落差はありませんが、明ら
かによい子ぶりっ子していることが、他の人たちからは見えます。
人前だけではなく、写真を映す時とか、テレビに出る時、インタ
ビューを受ける時などもあります。クラスのみんなの前で朗読す
る時の声色も、普段遣いの声と違ったりします。



4 良い子の自分といつもの自分との落差は大きいか
                       
 
ところで、防御タイプ(1・4・7)は、優等生気質であると
当会では分析しています。それならば、防御タイプのウイングが
あれば、「よい子ぶりっ子」になるのではと推測することでしょ
う。
     
防御タイプのウイングを持つ人たち   
                             
・タイプ1→2w1 良い子ぶりっ子ぶりが顕著に見えるタイプ
     →9w1 顕著とは言えず、いろいろな人やさまざま
           な場で出しているタイプ
・タイプ4→3w4 ぶりっ子ぶりは見えるか?    

     →5w4          同上    
・タイプ7→6w7          同上 
     →8w7          同上 
                    

                 
  ウイング1を持つタイプが、良い子ぶりっ子を発揮しています
が、それならば、タイプ4や7のウイングを持っている人たちに
も、同じ傾向はあるのでしょうか。あるかも知れないと、最初は
感じており、そのつもりで調べて見ました。

 しかし、多くの人たちを観察していますが、とくに「ぶりっ子」
している様子は見られませんでした。細かく観察すれば、このタ
イプもよい子のフリをしているのですが、そうでない時との落差
がそれほど顕著ではありません。

 問題は、通常の様子と特別に演じているように見えるその落差
が大きいので、「ぶりっ子」ぶりが誰の目にもよく分かる場合な
のです。落差が少ないと、自然な感じに見えるので、ぶりっ子し
ているようには見えません。

 


5 全てのタイプが「ぶりっ子」している 
                    
 
しかし、落差が大きいタイプを「よい子ぶりっ子」というのな
らば、タイプ4も7も該当します。学校や職場では完璧に優等生
を演じている人がいたら、まず、このタイプから探します。他人
からの評判が良くて、家族の評判が悪く、家族からはそのよい子
ぶりを非難されています。むろん、家庭内でも「よい子」をして
いる人がいます。

 そうなると、調和タイプ(3・6・9)も同様です。近所の評
判がよく、職場でも「あんなに誠実な人はいない!」と評価が高
い人たちです。総じて内弁慶なのですから、外では相手に合わせ
ており、自分を露骨に出さないようにコントロールしています。
そして、調和タイプは、家族に対して、よい子ぶりっ子をするこ
とはあまりありません。そこが防御タイプと調和タイプと大きく
違います。
 

 
こうなると、残りのタイプは、2w3・5・8・9w8となり
ます。しかし、2w3は少し気取ったり、クールな人間に見られ
たがるので、さしずめ「クールぶりッ子」と言えるでしょう。し
かし、その内面は熱い人たちなのです。
 タイプ5は、「知ったかぶり」をするように見えますが、それは
タイプ7によく見られるものです。意外に感じられるかもしれま
せんが、情熱的だとか、人情に篤い人間に見られたがります。そ
うなると、「人情家ぶりッ子」と言えるかもしれません。

 タイプ8は強い人間でなければならず、怖がっている時も怖そ
うな顔はしません。「偉そぶるタイプ」と言えるかもしれません
が、これは、8w7によく見られるものです。
 そして、9w8は「大物ぶる」傾向があり、「偉そぶる」とも
言え、ウイング8の成せる技です。小物だとか、怠惰だと見られ
ることを嫌がります。

 ついでながら、タイプ1は正真正銘の優等生気質だと先のとこ
ろで述べています。しかし、家の中ではリラックスして、母親の
前ではわがままになるのであり、地の自分を他人に出せないなら
ば、やはり演じていると言わざるを得ません。ただ、よい子でい
る場合が他のタイプよりずっと長く、他人の目に触れないだけで
はないでしょうか。 
  

 
また、「かわいい子ぶる」のが多いのは2w1です。男子の前
でかわいい娘を演じるかもしれません。攻撃的なきつい性格が基
本にあり、か弱い女、かわいくて甘えん坊の女に見られたがるタ
イプ2の女性を、しばしば見かけます。この場合は、「落差が大
きい」ので、そのぶりッ子ぶりはよく目立ちます。

 また、他の攻撃タイプの女性も、この「かわいい子ぶりッ子」
を出しており、2w1ほどではありませんが、結構、よく見かけ
ています。タイプ4w5や6w5は、賢い人間に思われたいので
すから、理論武装して、理屈で応酬しますが、さながら「学者ぶ
りっ子」と呼べるかもしれません。


       
6 自分のぶりっ子ぶりは気がつかない! 
                    
 
全タイプを鑑みるに、なにがしかの「ぶりっ子」をしています。
自分にとっての「見られたい自分」を演じているのです。しかし、
自分が演じていることを気付かず、他人から指摘されて、初めて
気づく人たちがいます。

 ところで、イジメに遭う原因として「ぶりっ子」があるそうです。
ぶりっ子はイジメに遭いやすいと、インターネット上で批判されて
いました。その他、ぶりっ子でムカついている人は多そうで、本音
を言わない人は大嫌いだと罵倒されてもいます。「自分でぶりっ子
していると気がついているならいいが、ワザとしている子は嫌だ!
」と載せているサイトもありました。「ぶりっ子撲滅同盟」なるホ
ームページもあります。ぶりっ子の友だちを更生させる目的のサイ
トだと書いてあります。

 しかし、気がついても気がつかなくても、実は全ての人たちが何
らかのぶりっ子をしているのです。どうも自分のぶりっ子ぶりは気
づいていないので、そんなことが言えるのでしょう。 

                      
 さて、私たちは、自分のぶりっ子ぶりに気がついても、それを止
めることができません。気がつかない人では止められないのですか
ら、どちらにしても同じことです。何故、「ぶりっ子」をする人が
いるのか、不思議に感じていた方は多いと思います。しかし、性格
(気質)は本能的な様式であり、自分でも制御できない行動パター
ンです。
 「性格=気質=本能的な行動」ですから、「ぶりっ子」なるのも
本能的な行動であり、自分の意志では統御できないものです。それ
を認識して、他人を非難する道具やイジメの道具に使わないように
ししたいですね。