仲間たちのつぶやきシリーズ                                           

  2006/08/20
                                 タイプ7の母  
                                                 
by Mrs.ダビンチ

 私の母はタイプ7です。私自身はタイプ9w8です。しかし、母親のウィングについては、実はまだ正確に判っていません。私にとって、母は身近すぎて、かえってわかりにくいように思います。結婚してから少し距離を持って見られるようになったものの、まだまだカスミのように捉えがたい存在だからです。今回は、その中でも、記憶に残っている出来事や会話を綴ってみます。

☆母の着眼点

 私は小学2年生からエレクトーンを習い出し、週一回バスに乗って教室に通っていました。同級生も同じ教室に通っていましたが、母親と妹と連れ立って教室に通っていました。私は、「○○ちゃんは、お母さんと妹と一緒に来るよ!」と母に伝えました。「あそこのお母さんは子供にいつもお揃いのワンピース着せて、オシャレさせて一緒に出歩くね!」と返ってきました。私としては、「お母さんは一緒に来ないの?」と聞いたつもりだったのですが、あそこのお母さんは派手好きという事で、話が終わってしまいました。


☆ハレの日のお弁当には気合が入る

 小学5年生の運動会の日です。私の通っていた学校では、お弁当は教室でとることになっていました。母は「後から教室に持っていくから…」と言って、朝お弁当を持たせてくれませんでした。ところが、時間になっても母は来ません。私は自分だけお弁当が無いのがいたたまれなくて、教室から抜け出して、入り口の下駄箱辺りのところで母を待っていました。しかし、なかなか来ないので、あきらめて教室に戻ったら、何故かお弁当が届いていました。

 ホッとしながらも、お弁当をあけてみましたが、ビックリして「キャー!」と大声を出してしまいました。なんというべきか、豪華なお弁当でした。お弁当箱ではなくガラスの大きな容器に、フルーツやら花などをあしらって、まるでパーティーセットのようでした。声を聞きつけて、先生やら近くに座っていた友人たちが、覗き込みに来ます。先生は何を思ったのかクラス全員に、「今日、お母さんにお弁当について注文を出した人は手をあげて〜」と言ったのです。

 
それ以来、「お弁当は簡単でいいからね」と、母に言い続けました。そして、高校になり、毎日お弁当が要るようになると、母親は毎朝のように私に尋ねます。「これでいい?」 私は「充分、充分、美味しそう!」と言い続けていました。私は本当にそれで充分でしたが、それでやっと普通のお弁当になりました。
 ある日 母が友人に「うちの子ったら、すごい手抜きのお弁当を作るのに、それを、これでいい。美味しそうって言うのよ。まあ、楽できて助かるわ」と話しているのを聞いて、またビックリ。母の友人からは「偉いわねえ」と誉められて、私は苦笑いしていました。


☆子どもへの小遣いが気になる

 大学に入る前の頃、母は「大学行ったらバイトしなさい。自分の小遣いは自分で稼ぎなさい」と言いました。それを横で聞いていた父(2w1)は、「駄目だ。門限は7時だ!」と怒鳴りました。しかし、母は譲らず、私も7時なんて冗談じゃない!と思いました。そこで母に加勢して、「バイトする」と主張しました。すると、ますます父は怒り出すので、二人がかりで説得したことがあります。
 それまでは、母が父に逆らう場面に出会ったことがありません。母にとって、「小遣いを渡す・渡さない」ということは重要な事らしいと感じつつも、私自身は少し疑問に感じました。しかし、何も言わないまま、変に納得していたように思います。

☆娘の帰宅時間は厳守させたがる

 大学時代のこと。「(娘が)年頃になったら、一緒に買い物や食事に出歩くのを楽しみにしていたのに、○○ちゃんや○○くんとばっかり遊んで、全然家に居ない!」と言い、母は不満に思っていたようです。また、私の友人に嫉妬しているようにも見えました。
 一方、兄(2w1)が一週間くらい家に帰ってこないと、「そろそろ帰ってこないと、いくら男でも問題だよね」と冷静に話します。兄が帰宅すると、「一週間は長すぎるから、3日に一度は帰ってらっしゃい」と、静かに言っているのに、娘の私に対しては感情的になります。出かけようとすると、「何時に帰るの?」としつこく聞きます。「分からない」と、答えても、「だいたいでいいから」と言いつのります。「じゃあ、9時くらいまでには帰れるかな…」と、うっかり答えてしまうと大変です。9時5分には、既に鬼の形相になっています。「ただいま!」と声を掛けても、「なにがただいまなのぉ、約束が違う!」と怒鳴り始めます。約束なんてしてないのに……。


☆プレゼントへの期待が大きい

 結婚してからは、「母の日」には何かしらプレゼントをしていました。最初の年は、ブラウスと花、次の年は、スカーフと花、何年か続けた後、プレゼントを考えるのも面倒くさくなり、花だけ贈ると、口を尖らせながら少しすねた様子を見せます。「続けていることを止めるのは縁起がよくないのよぉ」とか、控えめに不満を言います。花を貰って嬉しいけど、「それだけじゃ嫌!」というのがよく判る拗ね方でした。私としては笑えるやら、バカバカしいやら、「ちょっと可愛いかも」とか思ったりしました。  


☆孫も女の子がいいらしい

 現在、兄には大学生と高校生の息子がいます。兄の長男が生まれた時は、母は、さすがに初孫であったためか喜びました。しかし、次男が生まれた時は、兄嫁に「女じゃなくて残念だったわね」と同情します。男の子のほうを好む義姉(2w1)が、「同姓の兄弟も、いいですよ」と言っても、まるで構わず、同情していました。我が家の長男の時は、「また男、向こうのおばあちゃんはいいわよ。女の孫がいるから、私は全員男の孫よ」と嘆きます。  
 私には現在中2の長男と小6の長女がいますが、長女が生まれた時はといえば、誰かに「男の子、女の子?」と訊ねられると、必ずニコニコ顔で、「どっちだと思う〜♪」と訊ねます。そして、みんなに「女!」と当てられて得意そうにしていました。

☆冷蔵庫内をよく把握している

 母は、料理が大好きです。突然に夕飯を食べさせてと訪ねても、「何にもないわよ」と言いつつ、冷蔵庫内を探し出します。「あっ!これがあった! あれがあった!」と言い、次から次へと調理して出します。「もう充分、これ以上食べられない」と、こちらが言うまで出し続けます。私たちが食べたお皿を見て、「気持ちいい食べっぷりねぇ」と喜びます。そして、いつも「良かった。冷蔵庫が片付いたわ!」と言います。
 冷蔵庫を2つ使っていますが、いつでもどちらも満タンです。ある日、私が「何でもあるね!」と言うと、「今日は何にも無いわよ」と言います。何が足りないのか聞くと即座に、「これと、これと、これと……」と言い始めるのです。その日は本当に母にとっては「何も無い」状態の冷蔵庫だったみたいです。不思議なのは、それらの材料をしっかり使い切ることです。腐らせて捨てるということがほとんどありません。よく把握しています。

☆買い物好き

 小6の娘(2w1)と母は、よく一緒に買い物に行きます。娘は、おばあちゃんのことをこのように言います。「今日は何にも買わないわよって言っておいて、“これ買って”って言うと絶対に、“いいわよ〜♪”って、買ってくれるんだよね。3歩あるくと忘れちゃうみたい」 
 最近は、二人でメール交換して遊んでいます。精神年齢が同じくらいかもしれません。 
 

☆ウイングは8なのか?

 つい先日のことです。祖母の葬儀を終えた頃、母は、友人から何か注意を受けたみたいです。「葬式の参列者に議員さんが来た場合は、焼香の順番を先にするもの」だと言われたようです。母は、「来てくれた人はみんな同じよねえ。議員だから特別なんてありえない」といった後で、「人に媚びたりおだてたりするのって大嫌いなの。誰かに媚へつらって、優遇してもらうなら、その人の家から盗んだほうがまし! といつも思うのよね」と言いました。「盗むってそんな極端な話にしなくても」と、私は感じました。
 母は、他人をおだてるのが下手なので、おべっかを使う人を見ると、怒りを感じるのではないでしょうか。私のほうでは、人をおだてるなど、思いつくこともありませんから、他人がそうしても怒りを感じることはありません。

☆最後に

 母は、身なりや物言いや立ち振る舞いを上品にしようと心がけています。そして、それを娘や孫にも要求します。ただし女子のみで、男子には無関心に見えます。
 金銭的なことは、親が援助して当たり前と思っているようです。「家の子たちは、お金の援助を要求してこないから私って恵まれている」と、いつも言います。「子どもが困った時は親が助けるのが当たり前」とも言います。そのくせ、母は親からの援助はいっさい受けません。

 母は子どものような感性で物事を楽しむ人です。一緒に出かければ、ピクニックのようなノリになり、周りが疲れているのか楽しんでいるのか、よく知っていて敏感です。いつも一番楽しそうに見える人の傍にくっついています。また、人のことは結構冷静に分析できるのに、自分については、いい事しか話しません。しかし、本当はコンプレックスが一杯あるように見えます。口には出しませんが表情でわかります。たとえは、「この話題は知識がないな」とか、「何か引け目を感じているな」というのは直ぐわかります。また、人から聞いたり本を読んで得た有益な情報はけっして忘れません。たぶん、気が小さいからだと思います。とても神経質ですが、そのわりに自分の言ったことは直ぐ忘れてしまいますが。

 母のことを「変った人」だと以前はよく感じていましたが、口下手なところや、子どものような振舞い方を見ると、たまに愛しくなります。