仲間たちのつぶやきシリーズ                             

 2004/12/20

   
我が家の優しい次男坊(タイプ9w1)

                           
BY 椎名あんず 

 次男はとても優しい子だと私は思っています。現在、次男は小学4年生で、普段はよく食べよく寝て、外で友だちと体を動かして遊ぶのが大好きな子です。ドッチボールをしている時は、とてもイキイキとしています。
 しかし、長男と三男がともにタイプ2w1で、きついところがあるためか、穏やかなでおとなしい次男は、よく心をかき乱されているようです。長男とは2歳違いで、三男とも2歳違いなので、仲良く遊ぶことがありますが、機嫌が悪くなることがよくあります。
 ところで、我が家は6人家族で、父親は9w1、父親の祖母6w7 そして母親の私は2w1という家族構成です。

   小さい頃の次男

 生まれたばかりの頃は、とにかくよく寝る子で、まとまった時間、寝続けてくれたので助かりました。お腹がすいて起きたら母乳をいっぱい飲んで、また寝てしまう子でした。長男のほうは夜泣きがひどくて寝かせてもらえなかったことが多かったので、次男はとても楽な子に感じました。赤ちゃん用のブランコに乗せるとご機嫌だったことが印象に残っています。

 2〜3歳頃から長男に付いて遊ぶようになり、長男がブロックで武器やロボットを作れば真似をして作ったり、人形で遊んだりするようになりました。

 幼稚園には、近所の友だちとバスに乗って行きました。初めは少し不安そうでしたが段々と慣れはしましたが、1年くらい経った頃、登園するのを嫌がるようになりました。朝、渋々バス停まで行くのですが、いざバスに乗り込む段になると、抵抗して泣き出します。仲の良い友だちが声をかけてもダメでした。理由を聞いてもハッキリせず、1ヶ月程休園したことがあります。年長クラスに入ってからは、ベテランの先生に代わり、次男のことを相談したせいなのか、なんとか通えるようになり、無事に卒園できました。

   次男の小学校での様子

 小学生になってからは、毎日楽しそうに学校に通っています。1年生の頃、 分団の班長である6年生と手をつないで登校するのを嫌がっていました。人と手を繋ぐのは気になってならないらしく、震えたり、歩いている間に足がビクッっとしたようです。また、学校で異学年交流の取り組みがあり、フォークダンスをしたようですが、とても嫌なことのようでした。どうも、人と肌が触れ合うのが嫌いらしく、距離を置きたいみたいです。

 母親には、時々学校で起きたことを話してくれます。友だちが優しい言葉をかけてくれたとか、ドッチボールで活躍できたなどです。給食は楽しみにしていて、クラスで1〜2番を争うくらいの食べっぷりのようです。しかし、おかわりをするのにも気を使っているらしく、目立たないように2番目に席を立っているという話を聞きました。そんなことまで気にする子なんだな、と思いました。

 また、落ち葉清掃では、熱心にゴミを拾い、皆のゴミも集めて袋に入れて、それをまとめて縛るところまで進んでやっているようです。家の中では面倒くさがりで動かない子ですが、学校ではテキパキとよく動くようです。

 新しい担任の先生のことを尋ねると、「まだよく見てないから分からない」と答えます。長男や三男は「よさそう!」とか「面白そう!」とか即座に答えますが、次男は即答しません。
 ところで、今年の担任の先生
(2w1)は、とてもキツイと評判で、恐すぎて失神した子もいたと聞いています。しかし、次男は「初めは恐かったけど段々慣れて来た」、「恐いけど、教え方がわかりやすい」といった評価です。それでも時々、「先生の言っていることが本当なのか、信じていいのか分からない時がある」と不安を感じることがあるようです。

 友だちとの関係を尋ねると、「○君といると何も遊びが始まらないから困る」と言い、遊びをリードしてくれる子を好むようです。また誰とも仲良くできるらしく、人気者らしいと聞いたこともあります。しかし、あまり好きになれない子もいるようです。ある子に「ここをやれば良いのか(先生に)聞いてきて!」と言われ、断れなくて何度も先生に尋ねに行ったことがあったようです。そういう子は苦手のタイプらしいのです。でも、「嫌な気持ちになったことはないよ」と付け足します。平穏な関係を望んでいるようです。

 次男は、遊びも勉強も必要なだけホドホドにします。何かに没頭する事はあまりなく、諦めも早い方です。習い事も友だちと一緒なら良いのですが、暫く続いたテニスも、その友だちの引越であっさりと止めてしまいました。
 そして、なぜか今年は半袖・半ズボンをいつまで続けられるかと、仲良しと競っていました。しかし、友だちが先に長袖を着て来た翌日には、勝利を喜んでいた次男も長袖になり、これもあっさりとジ・エンドになってしまいました。

   次男と父親との関係

 父親とは同じタイプのせいなのか、気軽に喋り、少しじゃれたりもできるようです。「何してるのー?」と父親に近寄ると、コチョコチョとくすぐられます。「やめてよー、その代わりガムちょうだい!」と言い、ガムを食べて、それだけで満足して去っていきます。父親にとっても、この程度のカラミが適当なようです。兄や弟に比べて、ごく自然に接しているように感じられます。 

 三男のほうは、父親にやっとの思いで近づいているみたいです。父親にカードを見せて「この人とこの人はどんな関係でしょうか?」と質問します。「そんなのパパに聞かれたって解らない…」。三男「お父さんと子どもだよ」、父親「あ〜映画見てないからわからないよ〜」。三男「カザハナソウセツって言う人で……」と長い説明を始めるのですが、そうなると父親は興味も無く、気もそぞろになります。でも、三男は父親がもっと興味を示して、突っ込んだ会話を求めているのですが。大抵は、それでお終いになってしまうようです。

 3人兄弟がもう少し小さい頃は、父親と肩車をしたり、腕を持って振り回したり、ドンドン激しい遊びをしました。しかし、父親は疲れるのか、2〜3回すると「ちょっと休憩ね」と言いつつ終わらせてしまいます。長男と
三男は不服そうですが、次男はその程度で満足できるようです。

 また、長男のほうはテストで良い点を取ったことを、父親に聞いてもらいたいのですが、直接話しかけず、遠くから大きな声で父親に聞こえるように告げます。三男も父親にクイズを出したいのですが、取り合えず近くにいる母親に話しかけます。私が「ママは忙しいからパパに聞いてみて!」と言うと、じゃあという感じで父親のところへたどり着きます。なんだか遠回しです。

 タイプ2
の長男と三男は、父親には少し構えてしまうところがあります。「父親コンプレックス」に該たるものなのかもしれません。次男は父親に何のためらいもなく、用がなくても話しかけていけるみたいです。そんな様子を見ていると、私は安心できます。


   4
 次男と母親との関係

 母親の私に対しては、愛想笑いをしたり、学校での出来事をたまに話してくれたりします。手のかからない子ですが、面倒くさがりで、動きたくない時は私を使ったりもします。また、さり気なく、母親について何事か指摘します。たとえば、「ママって、どこでも服を脱ぐんだね」と言ってカーテンを閉めます。また、公園では、「僕はもう4年生なんだから外で〇〇〇(愛称)って呼ぶのはチョット」と、辺りを見回しながら恥ずかしそうに告げます。それを聞いて、私のほうが周りの目を気にしていない性格なんだなと気づかされます。

 「ママ〜!」の問いかけに、「ん?」と言うと、「なあにって!答えてほしいんだよなあ!」と甘えたような、また少しがっかりした様子を示します。特に何か要求しているのではなく、ただそれだけなんです。
 また、「ママ、肩凝った?」と言ってマッサージしてくれます。私が「ママって恥ずかしいことも平気でするし、変なお母さんかな?」と尋ねると、「友だちのお母さんたちのなかに変わってる人いるよ。〇〇のお母さんは自分の子どもだけ楽しければいいって感じだし、〇〇のお母さんは怒ったら凄く怖くて裏表があるみたいだし、〇〇のお母さんはキモイ!」

 「じゃあママはどこが変?」と、しつっこく4回くらい尋ねたら、しぶしぶと「他のお母さんよりホクロが多い」と遠慮がちに答えました。核心に触れていないのでは……?

 「大きくなったら何になりたい?」という問いには、「普通の人」という返答です。良くも悪くも目立つことを嫌い、人目を気にしながら暮らしているように見えます。また、母親の料理がまずくても、まずいとは言わずに、「これはちょっと僕の口には合わない」と言ったりして、気遣った言い方をします。

 二人っきりの時は、静かで穏やかな時が流れます。私も心がなごみ、次男にしなだれかかりたい気分になります。そして、次男も、他の子がいないと、少し甘えて私の膝に頭を乗せて来たりして、可愛いところがあります。
 なお、エニアグラムを学んでからは、私が次男にどうしたらいいのか判らない時、夫に相談します。そして、夫の助言通りに対処すればスンナリと治まり、助かっています。


   5
 次男にとっての兄

 テレビゲームやカードゲームで仲良く遊ぶこともあります。長男は次男の顔色を見ることはなく、気にいらないことがあると「おまえアホじゃないの? ハイ俺の勝ちね! 話にならん! やめろ!」と容赦なくきつい言葉で攻めています。
 長男は、弟の箸の持ち方や、食べる時のクチャクチャいう音がウルサイだの、細かなことに気づき世話を焼きます。次男は、兄を避けたいのか、勉強机を離していますが、すぐに兄は近寄って行きます。「おまえの机の上、汚いな。ちゃんときれいにしろ」とお節介。次男が買ったばかりの漫画を幾度も貸せとせがんだり、大切にしているオモチャに触ったりするので、次男はとても嫌がっています。
 しかし、次男は、そんな兄に対して、ささやかな仕返しをすることがあります。祖母と出掛けてお菓子を買ってもらった折に、「兄の分も選んであげて…」と頼まれた時、わざと人気の無いお菓子を選んで、しめしめという顔つきを見せたことがありました。
 ところで、担任の先生がクラスの子どもたちの詩集をさる新聞社に応募したところ、次男の詩が選ばれて、コラムに掲載されたことがあり、ここにも紹介したいと思います。                

【兄ちゃん】

兄ちゃん
いつもいつもけんか
アホードジーマヌケンタロウ
家に帰ったらつかれる
きのうもよくけんかしたなぁ
またけんか
つかれる
たまには休みたい

 「学校で嫌な子がいたら離れればいいけど、家では兄ちゃんから逃げられないから辛い!」と、私に語ったことがあります。そんな時期に授業のなかで作った詩のようです。周りの人は可愛らしい詩だと言ってくれますが、次男は困っているようです。詩を読んだ兄は、「俺のおかげで新聞に載せてもらえたんだから感謝しろ!」と言い、それを聞いて次男は「半分はそうかもしれない…」とつぶやいたりしてしまうのです。長男のペースにいつも巻き込まれているようで、かわいそうに感じることがあります。

  
 次男にとっての弟

 次男と比べると、三男も長男と同じくらいに要領がよくて、美味しいお菓子も見つけた瞬間に食べてしまいます。テレビ画面が見やすいポジションを素早く占拠します。食事も一番に量が多い皿を、めざとく選んで確保してしまいます。服を着替えるのも、宿題に取り掛かるのも、飛び跳ねるように速いのが三男です。動き出すのが遅い次男は、いつも弟に先をこされます。

 その上、ケンカをすると、三男はたとえ兄でも平然と楯突いて、納得いくまで泣きわめいて喰らい付きます。そうなると次男は、「話にならない!」というような様子を示して不満げです。その後は誰とも話しません。黙々と寝る準備をして、やがて先に寝てしまいます。翌朝、何となく兄弟に対して冷たい態度を取っていますが、学校で気分転換が出来るのか、帰宅する頃には忘れてしまうのか、長く引きずることはありません。

  
7 最後に

 冬になると、兄弟3人はコタツの中に足を入れて、テレビを一緒に見ます。次男は、足をどこにいれるべきかと皆の邪魔にならないように気遣います。しかし、長男と三男は全く気遣うふうもなく、足をコソコソ動かしたり、一杯に伸ばしたり。
 「どうして兄ちゃんは靴下も履いてない冷たい足でスリスリしてくるの? その足の入れ方はなに! 僕はジャマにならないように入れてるのに蹴ってくるし! 一体どうすればいいの?!」と言いつつ、泣き出したことがあります。

「嫌だったらおまえが移動すればいいじゃん!」と長男は相手にもしません。三男のほうは、そんなことどうでもいい、自分には関係ないというような顔をして取り合いません。次男は「もういい!」と涙を拭っています。しばらくは機嫌が治らず、私がとりなしても受け付けません。怒りを飲み込んで蓄積させ、無言の抵抗をしているように見えます。

夫の解説に拠ると、次男の気持ちは次のようなのです。「(次男は)家ではそうとうガマンしているだろう。どう考えても相手(兄弟)が悪いと思うから言っているの、それを認めないんだから腹が立つんだ。本当は正面から謝って欲しいはず。きつい言い方をする人間でも、自分がいけなかったとちゃんと認められる人とは付き合える。しかし、相手は、兄だから一人になりたくても、それができない状況だから、辛いだろうと思う。物凄く怒った時は、外界と自分を切り離して全てをシャットアウトするんだ!」 

 次男の日常的なストレスがどれ程のものか分かりませんが、アトピー性皮膚炎がなかなか治らないので、影響があるのかもしれません。兄弟たちが、次男を理解することはまだ難しいのでしょうが、なるべく次男の良いところを伝えるようにしています。
 長男に、思いやりのある子になって欲しいのです。私がよくそんなことを言うせいか、長男は「究極のエニアグラム」を学校にも持って行き、熱心に読むようになりました。序でながら、自分の友だちがタイプ2なのかタイプ4かなどと考えたりしているようです。

 次男は、学校では楽しく過ごしているようですが、家庭内でもなるべく気分良くすごせるよう、私自身は兄弟間のやりとりには目をひからせています。次男が強いダメージを受けている様子だったら、お互いの感じ方の違いや気をつけるべき点を話し合うようにさせています。なるべくなら口を挟まず、子ども同士で気づいてくれれば一番良いと思うのですが…。


 そんな私も自然と悪いくせが出て、家庭を自分の理想通りにしようとしていることに気づくことがあります。長い目で見て、どうすべきかと悩み自問自答している昨今です。エニアグラムに出会うまでは、バッサバッサと自分のやりたいようにさばいて満足をしていたんですが……。家族も多少なりと、暮しやすくなったのではないかと思っています。

 次男は、私にとって心安らぐ存在です。周りでバタバタしていても動じることなく落ち着いていて、様子をうかがっては「どうしたの? 何か手伝おうか?」と一言、声をかけてくれます。私はふと我に返り、ホッとします。次男の気遣いに心を癒されます。
 そんな次男のこれからの人生を考えてしまいます。大波小波が打ち寄せることでしょうが、何とか乗り越えて、変わらぬ笑顔を見せて欲しいと心から願っています。