仲間たちのつぶやきシリーズ                                                

 2004/10/20

        
タイプ3の長男のこと 
                              
                              
BY 桃太郎の母                             
 
 
我が家の小学6年生の長男(3w2)は、甘えん坊です。小さい時から現在に至るまで、家の中ではかなりの甘えん坊になります。けれど、外では明るく朗らかで、手のかかることは無い子です。唯一、手こずったことは、幼稚園初登園の日だけだったように思います。玄関先から幼稚園のバスに乗るのを拒み、ステップのドアにしがみついて大泣きをしました。
 彼にとって、母親から離れる初めての経験だったので、不安だったのでしょう。それ以降は、涙をこぼすことはあっても、声を張り上げて泣くようなことは、知っている限りでは皆無です。  

 家族は、父親(9w8)、母親(私2w2)、姉(9w8)、本人の4人です。父親の転勤が多くて、引越しの多い家庭です。そのために長男にとっては、幼稚園の年長に上がる前、小2に上がる前、小6に上がる前の計3回、ガラリと環境が変わりました。でも、毎回のように新しい担任から言われることが似ています。「転入生ということを忘れてしまいます」とか「心配をよそにーーーー」というような言葉です。早く順応してくれているようで、助かりました。
 後から分かったのですが、転入生はみんなから注目されます。早く順応するように見えたのは、人気者になりたがるタイプ3の長男にとっては、うれしい体験になったからではないでしょうか。   

  
友だちと学校

 長男は、無口とは言えませんが、自分から学校で起きたことを話すことはありません。私がしつこく質問すると、やっと聞き出せるくらいです。多くは、他から聞こえてくる情報が頼りでした。それでも、いつ見かけても友だちと楽しそうにしていることが多く、家にも大勢遊びに来てくれていたので、心配はしませんでした。
  
 ところで、仲良しであっても、小さなトラブルを起こしたり、羽目を外して先生に叱られることがあると思います。しかし、そういう時に限って、彼の姿は掻き消えているようです。知り合いの母親たちから「そういう時に、メンバーにいないのはなぜ?」とよく不思議がられていました。低学年の時、担任から「彼にはアンテナがある」と言われたことがあります。トラブル回避の感度の良いアンテナを内蔵しているのでしょうか。  

 授業中の発言では、良いタイミングで面白いことを言っては、先生やクラスの子たちを笑わせていたようです。どうやら、授業の雰囲気によって許される時もあれば、注意される時もあるらしく、「手を挙げながらつぶやく」という技を使うことがあるようです。それゆえか、先生方も苦笑いする場面があったと聞いております。
 母親の気持ちをよくわかってくれる子だと思うのですが、授業では、「何を感じるか」とか「どう思うか」などという心の中を表現することがとても苦手のようです。苦手の授業ではおとなしくしているようで、音楽も嫌いで、合唱会ではいつも「口パク」でした。

    
長男は、話の通じる子!   

 バレンタインデーにはよくチョコをもらって帰宅しました。私が「すごいねー!」と冷かすと、「僕より、H君はすごいよ!」と、いつも何かのキングになる子の名前を引き合いに出します。それに較べたら自分はそれほどでもないと強調します。「5個のうち3個は友チョコで、M君もT君も同じチョコを貰っているんだ。N子ちゃんは皆に配ってるし!」などと言います。普段、学校の様子について言葉少ない子が、珍しく詳細に語ってくれるのでした。
 クラスの女の子の母親から話を聞くと、「優しくて、乱暴なところがなく、話の通じる男の子の一人」なのだそうです。
  
 ある時、クラスの男子の一人が、ちょっとした誤解で、先生から厳しい罰を受けました。その子の仲良しや女子の一部が弁護したようですが、厳格で頑ななことで有名な先生です。結局、処分は覆りませんでした。クラスでは一時大きな事件だったそうですが、私はだいぶ後になって、母親たちの噂話で知りました。 
 長男は、その男子とは大の仲良しだと思っていたので、その件に関して彼に尋ねると「うん。そうらしい!」とそっけない返事をします。それ以上の詳しいことや、長男がどう思っていたのかも、何も聞き出せませんでした。特に深い関心を持っていない様子に見えました。  

 また、長男と一緒に外出中、彼は名前を呼びかけられることがあります。すると、「オウ!」と親しげに返事をします。ときに、楽しそうに会話をする場面も見ます。その直後、「あの子、誰?」と尋ねると、「名前は忘れた!」と答えることが幾度もありました。そんな時、この子は誰とでも仲良くできるけど、こちらが思うほど関係は深くないのかなあと感じます。
   

   
塾に行きたがる!

  小2の3学期、姉の中学受験が終わりました。その頃、突然のように、「僕も塾に行きたい!」と言い出しました。夫も私も、まだ時期が早いと思い、「4年生からにしなさい!」と説得しました。しかし、珍しく強い意志を表わしたので、それならと入塾を決めました。塾に行きたがる理由を聞いてみると、1・電車で通うこと。 2・携帯電話を使えること。3・夕食の献立をリクエストできることのようでした。
 どうやら、姉をよく観察していたようで、姉と同様なことができると思ったようです。しかし、私は、本心は違うのではと予想していました。彼は、一番乗りが目的ではなかったかと想像します。たとえ図星でも、絶対にとぼけるので、確かめようがありませんが。  

 塾に通っている同級生はまだ殆どいないのに、案の定、一人でも通塾は楽しそうでした。決まりのカバンを背負って、電車の乗り方や切符の種類にも詳しくなりました。駅前のたこ焼き屋さんと馴染みになったりして、その後、だんだん塾に通う同級生たちが増えて、いろいろ教えて行き帰りを楽しんでいたようです。  
 私は、彼の性格ならば、人より早くスタートした分のリードを、懸命に維持するのではないかと想像していました。途中そういう時期も実際ありました。しかし、転校などがあり、一生懸命追いかけているようですが、なかなか成果が表れないことが辛そうです。

   
   
お金が好き!

 彼は、お金を数えることが大好きで、枕元を貯金箱で囲んでいました。時々寝る前に数えます。祖母から貰った大きなお金は必ず、時間を置かずに郵便局に預けてしまい、手元には大量の小銭だけが残ります。気まぐれに小遣い帳をつけたりもします。収入の欄に、「発見」と記載されているのを見つけ、びっくりして聞いたことがあります。すると、「洗濯機の中でよく発見するから」ということでした。思いあたるので信じました。  
  
 通塾時はもちろん大人と外出する時にも、首からお財布をぶら下げて出掛けるのが好きです。私が買い物の支払いをする時など、傍らに立って、何時でもお金を出せる体勢を取っています。「払ってくれるの?」と聞くと、否定します。「足りるかしら?」と私が不安な素振りをすると、すかさず「いくら足りないの? 立て替えようか?」と心配します。役に立ちたい気持ちがあるのかもしれません。 

  貯めるだけではなく、金払いはいい方です。特に自分のためには思い切った使い方をします。縁日が大好きで、ギャンブル性の高い店に惹かれるよう で、いつも持ちきれない程の景品を満足そうに持って帰って来ます。ギャンブル好きなのは、お金を増やしたい気持ちが強いためなのでしょうか。それとも賭け事の興奮が好きなのでしょうか、私には分かりませんが。


   
年上の女性を意識?

 或る日のこと。関西で有名な豚まん屋の前で、私は財布の中の小銭を探していました。彼はその間、ズーッと女性の売り子さんの手元を見ていて「包むの、すごく速いね〜!」と感心して褒めました。売り子さんは「ありがとうございまーす!」と笑って答えていました。 

 定期的に矯正歯科に通っていますが、そこでは必ず治療後に親が説明を受けることになっており、待合室にいると呼ばれます。それまで診察室の様子は全くわからないのですが、いつもドアを開けたとたん、若い女性の衛生士さんたちの笑い声が聞こえます。本人は絶対にとぼけ、話の内容を教えてくれたことはありません。決まって会計時に「おもしろい子ですねー!」「楽しい子ですねー!」と言われていました。
  
 スイミングスクールに通っておりますが、順調に進級していたにも関わらず、彼は、気分に大きな波がありました。調子が乗らない時は、涙を浮かべて「やめたい!」と言います。父親は心配をして、「それはスランプといって誰でもあるんだよ!」と、励ましたり褒めたりしていました。間もなく不調の原因は判りました。進級毎に変わるコーチの性別が原因なのではないかと。もちろん本人は否定していますが。 
  
 ある時、耳鼻科で吸入器を使う事になりました。薬品の入った蒸気を鼻から吸い込なまいといけないのですが、彼は苦しそうに目を白黒させ、大げさに吸い込みました。若い女性の看護士さんが、「そんなに無理して吸わなくてもいいのよ!」と心配して声をかけてくれました。すると、「いいえ。料金分吸わないとお母さんに叱られますので!」と答え、周りの大爆笑を受けていました。
 私はその場で弁解もできずに笑うしかありませんでした。 実はその直前に、塾のテスト結果について話しており、あまりにひどい成績に怒り、「高い授業料払ってるんだから、元とってよー!」と感情的な叱り方をしていました。彼は、周りにウケルことを確信しながら、私への仕返しを成功させました。

   
   
細やかな心使い

  時々ですが長男は、我家で教えた覚えのないことをします。たとえば、ある時期彼は、トイレットペーパーの先端を三角に折っていました。よその家で見て、感心して帰って来たのだと思います。気付いて「何処で覚えたの?」と質問すると、必ずとぼけてまともな返事をしません。

 また、夫は夕方頃にいつも「帰るコール」をして来ますが、帰宅するのに1時間位かかります。いつの頃からか、彼はその電話を受けると、グラスを湿らせて冷凍庫に入れます。夫はそのグラスでビールを飲むのを大変に喜び、それが習慣になりました。残念ながら、私が電話を受けると、その習慣を忘れてしまいます。

 最近では、ごはんを炊いてもらったり、簡単な炊事を手伝わせると、喜んで引き受けてくれるようになりました。先日、枝豆を茹でるよう頼んだところ、やけに時間がかかったようです。茹で上がった枝豆は、すべてサヤの先端が斜めにカットされていました。そんな上品なこと、母親のほうはしたことがありません。どこで覚えてくるのでしょうか。

  夏休みの昼食は、そうめんをよく食べます。彼は必ずそうめんを束ねてある帯の色を確認しています。「赤は安物で、黒は何年も寝かせた高級品」なのだそうです。たいていはスーパーで買ってくる赤い帯なので、「やっぱりね!」という態度をとります。しかし、祖母から贈答品のお下がりで、木箱入りを貰いましたが、それは黒帯のそうめんでした。長男はとても満足そうに食べ、その違いを嬉しそうに語っていました。

   
   
身なりへのこだわり   

 まだ流行には無関心のようです。しかし、好きなスタイルがあるらしく、それを変える時には大変に苦労をします。たとえば、季節の変わり目に、寒いからもう一枚羽織らせようものなら、押し問答の挙げ句、玄関に脱ぎすてて行きます。また、小さなほころび、名札の安全ピンであいた穴にも、神経質にこだわります。「そんな小さな穴など全然見えない!」と言うと、指で広げて、これでもかと抵抗します。
  
 朝の洗面は短時間で済ませますが、食後でないと嫌みたいです。また、必ず登校直前に身だしなみを総点検します。合宿や林間学校のスケジュールで、朝食前に洗面が組み込まれていると、不満を言います。帰宅後も、手洗いのついでに鏡を見るようで、「暑い!汗かいた!」と宣言しながら、頭のてっぺんをツンツン立ちあげます。とぼける事はわかっているので、気が付かない振りをしていますが、とても楽しく可笑しく観察しています。姉(9w8)は中学生の時でさえ、寝ぐせはもちろん、朝食べた卵を口の横に付けて登校し、そのまま帰宅して「あ、本当だ!」と言うような子でした。

     
最後に   
  
 私がエニアグラムと出会った頃の彼は、まだ幼稚園児で、単に「姉より少々要領がいい、2番目の甘えん坊」だと思っていました。 でも早々にタイプが判り、助かったと思っています。おもしろいことを沢山しゃべるわりには、本心を明かさず、理解できないことが 沢山ありました。しかし、タイプ3ということで推理してみると、観察も意外に楽しいものに感じられました。
 今はまだ子供なので、想像の範囲で対応しているつもりですが、これから成長するに従い、今以上に本心が読めなくなるでしょう。 その時が、私の子離れのタイミングなのかなと覚悟しています。