仲間たちのつぶやきシリーズ                             

   

     
我が家の次男(3w2)につい 
                                                                
                                                                    
by/ミセスぽち

  3年前のことです。我が家の次男が「幼稚園に行きたくない。世の中、何も面白いことがない!」と言って、毎日のように泣きました。私は、みんながやっていることなのに、なぜうちの子だけができないのかと思い悩みました。「わがままを許したら次男はもっとダメになってしまう……」、「我慢することを覚えさせなければいけない!」と考えていました。そして、次男を無理矢理に自転車の後座席に乗せて、幼稚園に連れて行きました。
 あの頃の次男は、「気持ち悪い…ゲロが出そう…」が口癖みたいになっていました。何とかしなければと焦りましたが、「お母さんの言うことは絶対にきかない!」と、次男は余計にかたくなな態度を取るようになりました。

 現在、次男は小学校の2年生です。エニアグラムに出会い、母親に優しくされたいという欲求があると分かり、私なりの努力をしてきました。その成果があったのか、今では次男とウイットに富んだ会話ができるようになり、溢れんばかりの笑顔で接してくれるようになりました。なお、私は2w1で、1のウイングの重いタイプです。

スタイルにこだわる

 朝、学校に出かける時、次男は玄関の上がり口にカッコつけて足をかけます。「靴をはかせろ!」と少し威張った調子で言います。そこで、私が丁寧にはかせてあげると、「行ってきまあす!」と元気一杯、大声あげて登校します。朝から、そうやって遊んでいるのですが、「これがぼくのスタイルだよ」と言わんばかりで、満足そうです。
 食事の時は、ナイフとフォークを使って、カッコつけて食べるのが好きです。買ってきたヨーグルトやブリンは、わざわざ容器から出して、別皿に取り分けます。そして、ストローでズズッと、勢いよく吸い込みます。そんなふうに食べるのが快感らしいです。
 学校から帰宅すると、すぐに冷蔵庫を開けます。大好物のレモンティーがあると、「お母さん 太っ腹だね!」と言います。おいしそうに飲んだ後は、「ああ、最高だなあ…」と言い、まるでビールのCMのようなシーンに見えます。
 散髪したばかりとか、髪に寝ぐせなどがあると気にして、他人から何か指摘されるのではないかと、かなり意識しています。自分の気に入った服しか着ようとしませんし、人前ではけっして泣きません。他人にカッコ悪いところは見せられないようです。余裕がないときほど人目を気にしますが、余裕が出てくると、自分なりのスタイルを決められるようです。
 
女性や母親に目が向く

 よく一緒にお風呂に入りますが、ある日、友だちのお母さん達のランキングについて、うれしそうに話しだしました。次男にとってランキングの高い人は、きれいで優しそうなお母さんで、厳しそうな人は下位でした。「お母さんは、○番目だよ。A君のお母さんの次だからね。目標にするのは、A君のお母さんだからね!」と言いました。私の目標まで作ってくれたようです。

 学校で、女の子に蹴られたことがあります。「あざができて痛い!」と訴えてきましたが、「ぼくが酸素足りてるって聞いただけで、けられた」と言い、その割にはうれしそうな表情です。
 夜、夫が「疲れた」と言うので、足をマッサージしていると、すぐに気づいて、次男がすりよってきます。自分にもマッサージをして欲しいとねだります。就寝前になると、耳そうじをして欲しいと綿棒を持ってきます。気持ちよさそうな顔をして、甘えている様子がわかります。しかし、ヒマをもてあましている時や機嫌の悪い時は、母親にしつこくからんできて、父親のほうには行きません。

 幼稚園に通う頃には、もう母親のみなりを気にしていました。母親参観の日に、「おかあさん、きれいなお姉さんの服を着て、来てね」と言いました。そこで若い頃の派手な服を着て行ったら、満足そうでした。母親がいつもと違う服を着ていたり、髪を切ったりすると、すぐに気づいて声をかけてきます。そして、私の顔のしわやスタイルを話題にして、からかって楽しんでいます。6歳年上の兄(9w1)がいますが、弟のように母親の変化に気づいてくれることはまずありません。
 また、友だちの家に行くと、その家のお母さんを意識しているようです。ノリのいいお母さんだと分かって、「おかま言葉」を使って、相手をしてもらったことがあるそうです。遊べたり相手にしてもらえる人かどうかよく見ているみたいです。

機転と細やかさ

 日常のお手伝いを次男に頼んでも、まずしてくれません。しかし、自分の得意分野で、活躍できる場が見つかると、張り切って手伝ってくれます。日曜大工やじゃがいもの芽摘みなどが、得意なのですが。
 私が家具の組み立てをしていた時には、図面を見ながら、組み立てやすいように部品を並べてくれました。作業をしている時には、「座ったほうが楽だよ」と言って、椅子を持ってきます。後片付けのために、ホウキとチリ取りの用意もしてくれて、その心使いには驚かされます。
 お茶碗がどうしたわけか、くっついて取れず、四苦八苦していたところ、次男は素早くゴムべらのようなものを使って、難なく取ってくれました。大人たちの様子を見ていて、機転のきく働きを率先してします。 

お金にシビア

 兄が、「お前はいいなあ、ぼく小さい頃はゲームボーイもテレビゲームも買ってもらえなかったんだよ」と言ったことがあります。すると、次男は「だけど、ぼくは自分のお金で墓を建てなくちゃいけないんだよ。お兄ちゃんはお父さんか作ってくれた墓があるからね」と言います。次男が、そんなに将来のことまで視野に入れて勘定しているとは知りませんでした。

 また、「罰金表」を作って、家族がよく見えるところに張りました。そして、「お兄ちゃん、テレビの○番組をビデオに撮っておいてね。忘れたら罰金500円だからね」と、勝手に罰金ゲームをやりだします。兄は仕方ないかあと言う感じで応じているようです。
 祖母に対しても、驚くことを言います。「おばあちゃん、もし、あまったお金があったら、全部、ぼくにちょうだいね」 私にも「ぼくは将来、おかあさんの年金で生活するからね」と言ったことがあります。
 家族に対しては、お金にシビアな面を見せます。兄が失敗して自分がそれで損をしたと感じると、お金か物を要求します。自分の権利は必ず要求してシビアですが、外ではそういうところは見せません。
 

心配性のところ

 
担任の先生から、「一年間の思い出を教えてね」と言われたことがあるようです。半泣き状態で帰宅して、やにわに「お母さん日記付けてるよね。○月○日にどういうことかあったのか、全部、書き出してね」と言います。そこで、全部書き出す必要はないはずだと言っても、けっして聴き入れようとはしませんでした。思い出話を先生に言えなかったことが、とてもショックだったのではないでしょうか。
 友だちの家に遊びに行った時のことです。その友だちのお母さんが、英会話の体験教室に行こうと誘ってくれたようです。みんなで車に乗って出かける段になって、次男はいきなり走り去ってしまったと、後日聞いています。「危ない危ない! 連れていかれるところだった!」と言い、何を危険に感じたのか、いまだに分かりませんが、気が小さいところがあるようです。
 
 次男のクラスに障害児がいて、おしっこをもらしたり、勉強や運動があまりできないのを見て、「ボクだったら自殺するよ」と言います。また、「地震が来たらどうなるの? 地割れして吸い込まれるの? 家はどうなるの?」と、私にはよく尋ねます。長男からそんなことを尋ねられたことはないので、次男のほうが怖がりで心配性に見えます。

 また、次男は匂いに敏感で、食べられるものは限られています。幼稚園で給食を食べなさいと言われるのが恐怖だったようです。その頃、鼻血が止まらなくなっており、精神的なショックが重なっていたようです。それで幼稚園を嫌うようになり、行きたがらなくなりました。

                                                            
 
競争心について

 犬を飼いはじめたばかりのことです。家族全員で犬を連れて散歩に出ました。何か気に障ることがあるのか、次男はなかなか歩こうとしません。そこで、私が「ポチはあんなに遠くまで行ったよ」と言いました。すると、急に思いっきり走り出して、犬を追い越します。「ポチとぼくとどっちが偉い? どのくらい偉い?」と尋ねます。仕方なく、指で少しの差があると示すと、また必死に走り出しました。差をつけてから、「これでどう?」と聞きます。今度は、思いっきり大きく手を広げて差を示すと、満足そうにして、その後も幾度も繰り返しました。
 ある日、次男は勇気を出して、一人で犬を散歩に連れ出しました。そんなことができたのがうれしいかったのか、後から「○ちゃんのお母さんに、ぼくがこんなことができたんだよって、電話しといてね!」

 普段、あまり犬をかわいがっていないのですが、友だちが来ると、「犬が自分の言うことをきくんだ!」とアッピールしています。自分をアッピールしたい気持ちがあるようで、テスト用紙に名前を書くと、その下に「天才イエーイ!」などと書くようです。そして、先生からの反応を待っているみたいです。

 リレーやドッジボールなどの勝負事が好きで、勝ち負けにこだわります。勝つと必ず報告してくれます。庭で私とドッジボールの練習やキャッチボールをやります。父親や兄にうまいところを見せようとハリキリます。でも、「友だちに練習しているところを見られるのはカッコ悪い」と言います。
 また、調子がいいときは、家では結構、羽目を外します。風呂から上がると裸踊りをして、みんなを楽しませてくれます。しかし、たぶん、外で羽目を外すことはないと思います。

次男と付きあってみて

 次男にとってのマイブームがあります。言葉を略して使うことです。「行ってきます」を「行って!」とだけ言うのです。帰宅すると「ただ!」(ただいま)で、「あり!」(ありがとう)となります。こんな時はとても元気で、踊るリズムも軽快で、笑顔が溢れています。
 次男は家の外に出ると、精一杯にアンテナを張り巡らせて、神経を使っているようです。それで疲れて帰ってくるみたいで、そんな時に母親にやつあたりします。私はそんなこととは知らず、わがままだと捉えて、キチンと躾しなければと考えたり、「お友だちと仲良くしなさい」と注意していたのではないでしょうか。子どもはただ疲れていたのだから、優しく受け止めてあげればよかったのだと思います。

 エニアグラムを学んで、そんなことが分かるようになり、別の目で見るようになったら、「かわいく感じられる次男」が、そこにいたのです。
 お手伝いを頼みもしないのに、やってくれることがあります。私はひそかに邪魔だなと思っていたりしました。しかし、思いがけずに大活躍してくれるのです。また、お金の心配をよくしますが、将来のことまで見越さないと不安なのでしょう。彼なりに懸命に生きているのだなあと、愛しく感じます。

 本当に、次男のことが全く分かりませんでした。受講してから、自分とは全く違う人間だと分かるようなり、人を理解するのは本当に大変なことだと気づきました。これからは謙虚になって、相手を観察して、理解できるようになりたいと思います。