仲間たちのつぶやきシリーズ                               

 
                       私の出会ったタイプ8                           
                     
by / 朧月夜


 
私は、3年程前から、「ママさんバレ−」を始めました。 子どもを通じて知り合った方から、「この地区で新しいチ−ムを作るから参加しませんか?」と誘われたのがきっかけです。私は、学生時代にバレ−部に所属していたので、ほんの軽い気持ちで練習を見に行きました。そこで、出会ったのが、8w7の彼女だったのです。ちなみに、私は9w1です。

☆第一印象

  彼女は、黒のジャ−ジの上下を着て、化粧気のない険しい表情でした。選手兼コ−チとして、練習のすべてを取り仕切っていたのです。冷たく厳しそうな人だなというのが第一印象です。

  休憩時間中も、代表者(2w1)とキャプテン(2w1)に、新しいチ−ムを
立ちあげるに当たって、やるべき事をいろいろ指示していました。
  そして、私たちは、彼女から、練習やコ−トを取る抽選会など、他チ−ムの人と出会う場所に、チャラチャラした格好で行かないように言い渡されました。「主婦らしい落ち着いた服装で行ってね。みんな、私がどんなチ−ムを作るか注目しているんだから」などと言うのです。あたかも、自分がチ−ムのオ−ナ−のような口振りで、かなり驚きました。

  彼女は、あまり家庭のことは話さない人です。しかし、ある日、「私が留守の時には、子どもの友だちを家に上げないように言ってあるんだ。物を盗まれたら嫌だから!」と言ったのには驚きました。子どもの友だちを、どうしてそんな目で見るのか、信じられない気持ちが起きました。

☆彼女の口癖

  「自分は実業団からスカウトされた人間だ!」「早く上のランクにあがりたい!」「自分に恥をかかせるな!」というのが口癖でした。
  彼女はセッタ−をやっていましたが、うまくトスが上がらないと、必ず、レシ
−バ−や周りにいる人のせいにするのです。絶対に自分のミスは認めませんでした。 彼女は、幾つかのチ−ムに属して、生活の殆どをバレ−に費やしています。高校の部活並みの筋肉トレ−ニングも厭わず行い、確かに、技術も知識も、チ−ムでは一番でした。

  しばらくすると、彼女は、あまりバレ−経験がなく戦力になりそうもない2人を辞めさせようとしました。その理由は、いわゆる素人がいると、強い人材が集まらないからということでした。そして、彼女と代表者とキャプテンの3人で、その2人の家を訪ね、何時間も粘って、退部を迫りました。

☆彼女に反抗すると

   こういった彼女の一連の行動を知ったエ−ス・アタッカ−(2w1)は、見るに見かねて、電話で抗議しました。すると、彼女は、そのエ−ス・アタッカ−をとてもかわいがっていたのに、人が変わったかのような物凄い剣幕で怒りました。電話で怒鳴り散らすと、一方的に切ってしまったそうです。これは、エ−ス・アタッカ−から聴いたことです。

  そして、試合の反省会と称して、チ−ム全員に招集をかけました。そして、全員の前で、それまでのエ−ス・アッタカ−の行動を、わがままで無責任だと罵り、無理矢理に謝らせたのです。

  この行動に、私は唖然となり、心の中では「たかがママさんバレ−で、ここまでやらなくてもいいのに・・・」と思いました。しかし、その場にいた人は、誰も彼女に反論できません。特に、代表者とキャプテンは、彼女の“忠実なしもべ”として行動していました。 私は、誰からの批判も許さない彼女の態度を見て、威圧感をひしひしと感じました。


☆チ−ム分裂

  その後も、彼女は私たちに、いろいろ注意をしました。練習中の私語や、コ−ト取りの抽選会に、ミニスカ−トをはいて行ったというようなことです。試合中に、彼女に指示をしたことで、「みんなが見ている前で、恥をかかせられた」とも言いました。
  また、練習前のミ−テイングでは、毎回のようにキャプテンや代表者が注意を促します。彼女は自分で手を下さずに、キャプテンと代表者を手足のように使って、チ−ムを管理しようとするのです。

  私たちは、練習後、ファミレスなどで食事をして帰っていました。彼女はお金に細かく、外食を殆どしないのですが、時々、一緒に来ることがありました。後日、キャプテンから聞いたのですが、彼女は、私たちと親交を深めようとして来たのではなかったのです。自分に対して批判や反発心を持っていないか、私たちをチェックしに来ていたそうなんです。

  こういった彼女の態度に反感を覚えながらも、キャプテンは我慢を重ねていたようです。 しかし、次第に、身体の不調を訴えるようになりました。ある日、キャプテンは、練習前のミ−テイングで、「もう、これ以上キャプテンとして、やっていけないので、チ−ムを辞めさせて下さい!」と言いました。すると彼女は、「あんたがそんな無責任な性格だから、チ−ムがまとまらなくて弱いのよ!」と罵倒しました。キャプテンは、「わかっています。でももう耐えられません!」と、泣きながら土下座して、退部を懇願しました。

  自分のしもべだと思っていたキャプテンの突然の退部で、彼女は危機感を感じたのか、早速に手を打ちました。チ−ム規則と、それを守れないなら退部を迫るという内容の手紙を、代表者の名前で作りました。そして、その手紙を、メンバ−一軒一軒のポストに投函したのです。

  私たちは、彼女の態度ややり方に、もうそれ以上は耐えられなかったので、代表者以外の全員が退部を決意して、それをミ−テイングの折に発表しました。
  私たちの退部の表明を聞くと、彼女は憮然とした様子で、「じゃあ、ユニフォ−ム、ボ−ル、ボ−ルカゴ、全部! 置いて行ってね」と言い放ちました。それは、全てメンバ−全員の部費で買った物なのに・・・。
  結局、自分たちのユニフォ−ムだけはどうにか取り返し、ボ−ル等は、またお金を出し合って買い揃え、私たちは新しいチ−ムを発足させました。


☆一匹狼

  その後、彼女はメンバ−を9人集めて、また試合に出られるように頑張っていたようです。しかし、結局、代表者も彼女のもとを去りました。せっかく集めた新メンバ−も、私たちと同じような理由で、退部しました。

  たった1人になっても、彼女は懲りずに、地域情報誌でメンバ−募集をしながら、まだ、自分だけの最強のドリ−ムチ−ムを作ることを夢見ています。でも、そんな時も極力、自分の名前や電話番号が表に出ないような手段をとっているのです。ほんとうに、他人を信用しない用心深い性格です。
  また、彼女はいろんなチ−ムを転々としているので、時々顔を合わせるのですが、そんな時は、“猫なで声”で近づいて来て、「いつでも、今のチ−ムが嫌になったらおいでね。」と言うのです。

  彼女は、同じ間違いを繰り返しても、決して、反省したり落ち込んだり弱音を吐くことがありません。私は、そんな彼女がとても不思議でした。なぜあんなに自信満々で、一人ぼっちになっても強気でいられるのかと思いました。私とは違う、私の人生でそれまで出会ったことのないタイプでした。


☆タイプ8と知ってから

  私は、エニアグラムに出会っていなかったら、彼女のことをもっと恐れ、憎んだかもしれません。 でも、彼女がタイプ8だと判った時、なぜ彼女があんな行動を取ったのか、少し冷静に考えることができました。彼女と対等の立場で意見したり、和気あいあいとした友だち付き合いをしようなんて考えること自体が、無意味なんです。彼女にとってのバレ−ボ−ルは、勝利のみが目的で、楽しむ気持ちなど全く無いのですから。

  このレポ−トを読むと、彼女の悪いところばかりが印象に残ってしまうかもしれません。しかし、バレ−に対するひたむきさと真剣さ、努力の度合いは、私など足元にも及びません。勝利を目指し、そのことだけに傾けるエネルギ−は、物凄いものがあります。
  また、私たちが彼女のバレ−知識を褒め称えると、とても機嫌が良くなって、親切にいろいろと教えてくれました。そんな時は、すごく頼りがいのあるいい人に思えたものです。

  そもそも、彼女はチ−ムプレ−に向いていないのではないでしょうか。あれほど熱意と根性と勝利への執着心があるのだから、何か他のことで、その能力を惜しみなく発揮して欲しいなあと思います。彼女とは、まだこれからもいろんな場所で会うと思いますが、興味深く、ちょっと楽しみながら観察して行きたいと思います。