仲間たちのつぶやき                           

 
 タイプ7の子どもたちの学校内での様子
                       月見 朗
  私は現在、小学校4年生の担任をしています。学校ではよく「そ
の子の個性を生かすと言われますが、教師の皆さんは個性を生か
した指導をしていますか。そもそも、その子の性格を把握できてい
るでしょうか。
  私は【エニアグラム性格学】を学んで初めて、この学問が人間の
性格の本質を捉えていることに気づきました。性格の本質を理解す
れば個性を把握することに役立ちます。
 エニアグラム性格学では人の本質を9つのタイプに分類しています。
従って、タイプを正しく判定することが最も大切です。
  ここで紹介するのは、その本質が【タイプ7】と呼ばれている子ど
もたちです。彼らの学校での様子をそのまま箇条書きします。
●4月、担任が決まって教室に入った後、手品を行うことにしている。
この1年間何か楽しいことが起きそうだという期待感を持たせるため
である。すると、翌日手紙を持ってきて「また手品をやってね」とか、
「私の名前は、○○です」とプリクラを貼り付けて、自己PRする女
の子たちがいる。彼女らはほとんどがタイプ7の子どもたちである。
ただ、彼女たちはどの教師にも手紙 を出すわけではない。その教師が
面白そうだ! 自分を受け入れてくれていると感じていると、手紙を
届けるのである。
●朝、教室に入ると、子どもたちの多くは、まずランドセルの片付け
と1時間目の授業の用意をして、外に遊びに行く。ところが、その片
付けと用意を毎日ほとんどやらない子どもたちがいる。おしゃべりし
たり、好きな本を読みふけったりしている。彼らがタイプ7の子ども
である。ひどいときは靴箱に外靴が入っておらず、土間に脱ぎ捨てら
れていることがある。そして、1時間目が始まって注意されてから、
しぶしぶ片付け始めるのである。

●タイプ7の子どもたちが片付け始めても、机の奥の方には、前日の
プリントや、返されたテスト、給食の食べ残しパンなどが押し込まれ
ていることがある。そこでまた、一騒動が持ち上がる。 彼らは笑って
「いいの。いいの」と再び押し戻そうとする。すると、床に物が落ち
てしまう。タイプ7の子どもの机の周りには、常に給食のナフキン入
れや、ハンカチ、鉛筆などが散乱している。

●タイプ7の子どもたちは、黒板に書いた文字をノートに書き写すこ
とを嫌う。板書の文字が多いときは 特に嫌がり、指示すると「面倒
くさい」と言い出す。その間、好きな絵を描いたり、一人でしゃべり
続けたりしている。
●授業が終わって、黙っていたらその時間の教科書やノート・筆箱が
開きっぱなしのままということは普通である。床にノートが落ちてい
ても、遊びに行く方が最優先である。
●タイプ7の子どもは、学習用具を粗末に扱う一方で、物をほしがる
ことが多い。例えば、希望者に 練習用のプリントを渡していると、
必ず受け取りに来るのに、やり遂げて提出することはほとんどない。

●タイプ7の子どもたちはおしゃべりが多い。国語の授業で漢字の書
き取り練習をしている最中に、その字の読み方が面白いといって、次
々と連想してしゃべり出す。しかも、シモネタが受けることをよく知
っている。例えば「血(ち)」という漢字は、「ケツ」とも読めるの
で、「おけつ」「けつのあな」「けっこん」などというように、次々
と連鎖反応を起こす。

●テストのような静かなときが苦手で、「先生、トイレ!」と叫んで
受けをねらう。

●集団行動が苦手で、我慢できない。整列していても、すぐに周りの
子どもたちに話しかけたり、ちょっかいを出したりして、騒動を起こす。

●思いついたことをすぐに口に出してしまうのも、タイプ7の子どもた
ちの共通項である。例えば、少し太っている子を見るとすぐに「オマエ、
デブだな」と言ったり、髪の毛の薄い教師を見ると「あの 先生、ハゲ」
と言う。

●テレビを見ていて、性的な場面がでてくると、やたら意識して「エッ
チ、エッチ。」と言い続け、手で顔を 隠しつつ、指の間から画面を見
ている。

●怖がりなので、授業中など静かなときに一人でトイレに行くことがで
きにくく友だちを誘ったり教師にトイレの戸口で待ってもらったりする
ことがある。

●映画で怖い場面が現れると、後ろを向いてしゃべりかけたり、机の下
に隠れたりしてしまう。しかし、興味があるので、チラチラのぞき見し
ている。

●休み時間中、猫じゃらしのように、教師の体にすり寄り、おぶさり甘
えてくるのも、タイプ7が先頭をきってやることである。怒りそうにな
い優しい教師だと値踏みしているようである。

●毎日、決まってやる掃除当番や給食当番などの仕事は、注意されない
とせずに遊んでいることが多い。

●女の子を意識することが多く、タイプ7の女子は、男子にはひどい口
の利き方で反論しても、女子から の指摘は素直に受けとめることが多
い。また、男子なら気に入った女子の仕事を進んで手伝うことがある。

 以上の例から、教師なら「あの子だ!あの子も!」と思い浮かぶ子ど
もたちが何人かいるでしょう。また、保護者の皆さんの中には「これ、
うちの子だ」と思われた方もいられるかもしれません。ちなみに我がク
ラスには、7人います。

 自分勝手な行動をとりやすいタイプ7に対して、教師たちの多くは叱
って指導していることが多いのではないでしょうか。そして、指導の効
果があまりないことを嘆いていませんか。なぜ彼らがそんな行動をとる
のかと考えたことがありますか。

 その言動の原因や、どんな点に気を付けて指導していけばよいのかと
いう具体的なことは、 「究極のエニアグラム」と「母と子のエニアグ
ラム」「子どもの心エニアグラム」を読めばよくわかるでしょう。 
        

  月見 朗さんのレポートの補足として  
                   
                      りゅうとうまりこ

 月見さんの【タイプ7】についてのレポートは、具体的なので、様子
がまざまざと浮かびます。しかし、これはタイプ7の子どもたちの全て
が、書かれているまんまであると言っているのではありません。典型的
な分かりやすいタイプ7の子どもたちであり、特長が著しい子どもだけ
を上げています。 

 ですから、特長が著しくない子どもがいます。ほんの少し似ているだ
けとか、一部似ている子とか、全く該当しないように見える子どももい
ます。  
           
 タイプ7の子どもは怖がりですが、どの子も同じ程度に怖がりではあ
りません。少しくらいの怖さなら、耐えられる子どももいれば、超がつ
くほどに、異常に怖がりな子もいます。また、母親や教師にベッタリと
くっついて離れない子どもが多いのですが、それほどではなく、淡々そ
うに見え、母親とあっさりと付き合っているように見える子どももいま
す。よく散らかし、たびたび教師に叱られている子もいれば、キチンと
片づけられて整理のできている子どももいます。人見知りの激しい子も
いれば、それほど強くない子もいます。物を欲しがり、それがあまりに
も多くて困ると言われる子もいれば、物欲は普通程度で、とくに強いと
は言えない子もいます。

 母親に粘着的なのが、タイプ7の子どもの特長ですが、母親に充分に
愛され、構われて、十二分な世話を受けているなら、母親への粘着性は
少なくなります。つまり、そうでないなら、母親から離れられず、父親
にもなつかず、他人への警戒心が強くなります。

 タイプ7の子どもにとって、母親の存在は大きく、母と子の相互関係
によって、その子どもの精 神状態が決まっていきます。ですから、タイ
プ7の子が全て母親と同じように接しているなどは、考えられないこと
です。それは、母親の子への接し方が違うからです。

 タイプ7の子どもに、母親の存在の大きさが、どれほど大きいものか
は、日頃の様子だけでは分かりません。じっくりと観察しなければなら
ず、母親に異変が起きると、タイプ7の子どもの様子もおかしくなるた
め、その時に初めて子どもの性格が分かってきます。

 従って、母親が病気にでもなると、あまりにも意識しすぎて、怖がり
でもあるため、側にも近寄れず、遠巻きにして、心の中では不安で一杯
になっていると考えられます。また、そんな時ほどゲームしたり、騒ぐ
ので、母親を気にしているとは、全くわからないでしょう。 つまり、タ
イプ7は、不安な時ほど騒ぐとか、楽しみを追い求めて いきます。心配
があると、大声で歌を歌ったり、友だちを呼んで騒ぎます。
 月見さんのレポートを読んで、自分の子どもと比べて、当たっている
ところと、当たっていないところがあるため、タイプが分からないと考
えている人もいるでしょう。
 全部が当たるなどは、あり得ず、それぞれに個性があり、環境の違い
があるため、 同じタイプには見えないことがしばしばあります。どうか
ステレオタイプ的に捉えないでください。