この記事は2009年に初記載したものを、2019年に内容を見直し改定したものです。
 
栽培のポイント
 栽培は、ポイントを守れば、そんなに難しいものではありません。環境さえあれば、腰水をしておけばいいので、管理の手間はほとんどかかりません。

環境・管理(灌水・温度・日光)
  • 根の乾燥は致命傷になるので、いかなる場合でも、根を乾燥させないようにします。栽培においては、腰水をします。冬季においても同じです。砂漠植物とか多肉植物ではなく、半抽水性植物(半湿地の水生植物)と考えたほうがうまく行きます。
  • 1年中十分な日光を与えます。若い植物の場合、日光が十分に当たると2枚の葉が開いて気持ちよさそうです。
  • 葉の付け根に成長点があるため、葉を付け根で折ってしまったり、付け根付近を傷付けたりすると、致命傷を与えます。つまり物理的衝撃に弱いので、株の移動、輸送には注意が必要です。
  • 30~40℃程度の気温を好みます。このため盛夏が最成長期になります。猛暑であればあるほどご機嫌です。冬季の最低温度は10℃程度で、最低気温が20℃以上に安定して加温できれば成長が持続します。
  • 実生ができてもその後枯れるといったことをよく聞きますが、その原因をいろいろ検討した結果、そのほとんどは、最低温度が安定しないことだと思っています。最低温度が10℃であったり5℃になったり不安定だとするとその時点では影響がなくてもしばらくして枯れます。安定して加温ができる設備がない場合は、いずれ枯れるので栽培はやめた方がいいでしょう
  • 腰水の水には、老廃物が蓄積されるようで、2か月に1度程度換水します。
 ちなみに、以下は、葉の伸長をグラフ化したもので、最も気温の高い6月~9月に著しく成長することが分かります。


移植・用土
  • 根は、ゴボウのような直根と海綿状の細根、何本かの硬い支根からなります。移植はできないことはありませんが、根が傷つくことを嫌うので、これ以上ないくらいにていねいに扱う必要があります。必ず、高温の成長期に移植します。
  • 根鉢は崩さないようにし、移植後すぐに30℃程度のぬるま湯で灌水し、根を乾燥させないことが必要です。
  • 移植すれば、粗い支根はていねいに扱ったとしても、多少は切れてしまいます。枯死するかどうかは神様だけがご存知です。まあ、用土を高温に保つと、かなり回復が早いようです。
  • 移植の失敗による枯死は、1年あるいはそれ以上後に起きることがあります。「移植したけど大丈夫だった~」なんて報告は、1年以上経ってからしてくださいね。BLOGやらSNSやらで移植した大丈夫というのを見かけたら、1年後にどうなった訊くといいでしょう。答えてくれないかもしれませんが。
  • 用土は、凝った配合は必要ないと思われます。腰水栽培の上に、永い間移植ができないので、団粒構造が保てるように考え、焼成土を主にした配合がいいでしょう。
  • 鉢は素焼鉢にすると、蒸散で鉢内の温度が下がり、さらに鉢表面に藻類が発生しやすいので、プラ鉢を用います。
  • 根が、かなりのスピードでひょろひょろと伸長しますので、できる限りの深鉢を用いるべきです。径は必要ありませんが、深さが必要です。ただし、なかなかそういう鉢は見つかりません。育苗用のプラ製トールポットを用いています。
  • いつの間にやら、鉢穴から根が伸びだすことがままあります。鉢底に椰子繊維マットを敷いて根の漏れを防止しています。椰子繊維マットは、椰子の繊維を天然ゴム樹脂で緩くつないだものですが、特に影響はないようです。
肥料
  • 肥料がかなり良く効く植物のようです。多肉植物と異なり用土は常に湿っていますので、化成肥料でも濃度障害は起しにくいです。このため、成長しているときに、ハイポネックスなどの液肥を与えるとよいでしょう。または潅水するのであれば鉢縁にプロミックなどを1個~数個置くといいです。

病気・害虫
コナカイガラムシ

葉の付け根の成長点付近に発生するのを確認しています。べとつく分泌物を出すので、それにスス病が発生する可能性があります。
できるだけ根元辺りを風通し良くすること。
カイガラムシの仲間は、水をはじく外皮を持ち、通常の接触性殺虫剤はほとんど効果がありません。 肉眼でみえるものはハンドリングで除去し、アクテリック乳剤を用いるといいでしょう。

アクテリック乳剤の使い方