この記事は2010年に初記載したものを、2019年に内容を見直し改定したものです。
 
奇想天外の実生

 奇想天外の実生は、種子に発芽能力がありさえすれば難しくありません。
 種子は大きく、外層種皮を剥皮して撒くので、その段階で、まったく発芽能力のない不良種子の見分けが付き易いので効率的な播種ができます。
 播種から発芽、子葉の展開、終生伸び続ける千年の本葉がのぞくまで、約1か月程度です。
種子

 種子は種翼を入れて直径2.5cm程度

外層種皮の剥皮

 種翼のついている硬い外層種皮を剥く。
 写真は健康的な種子の状態。

不良種子

 既に黒ずみ委縮した種子。発芽能力はない。
 不良種子は、蒔いてもすぐに腐敗するので捨てる。

浸水

 種子を数時間水につける。
 試しに不良種子を水につけると、健康的な種子と不良種子の差が一目了然。
 ただし、健康的な種子といえどすべて発芽するとは限らない。

播種床

 ジフィーポット(小)を2つ重ね(用土の漏れを防ぐためだけの理由)にして、やや少な目に用土を入れる。
 用土は清潔であればよい。移植ができないので、有機物が多いと長い間につぶれてしまい根元がふらつくので、鉱物質の用土がよい。ちなみにこれは、桐生砂(細粒)+軽石(細粒)+バーミキュライト、配合比はてきとー。
 1ポットに1粒づつ、用土にややくぼみを付けて種子を置く。覆土はしない。

播種室

 最低温度27℃に設定した播種室で管理する。
 27℃で管理する時、3、4日程度経ても発根しない場合は、既に発芽能力はなく、そのうち腐敗し始める。

発根(播種の3日後)

 発根が始まる。
 根の先端を傷めると、それでお終いになるので注意する。
 発根が始まれば、種子の浮き上がりを防ぐために、種子の一部(発芽点あたり。)が露出する程度に少し覆土する。種子を埋めてしまうと、発芽が遅れるような気がする。
 ここまでくるとそんなに高温にする必要がないので、覆い(タッパの蓋)をとり、播種室から出し、育成灯下で最低温度20℃で管理する。

発芽点(播種の4日後)

 発芽点が膨らむ。(裏側に根がある。)

発芽点(播種の6日後)

 子葉の形になる。

発芽(播種の7日後)

 展開前の子葉。

発芽(播種の10日後)

 展開前の子葉。
 ここから子葉が展開するまでに日数がかかる。

定植

 根がもれる前のてきとーな時期に、ジフィーポットが2重になっているものの外側を外して、ポットから根が覗く前に定植。
 これで最低2年間はこのまま。
 撮影のためにポットの縁が見えるが、もう少し用土を入れている。

子葉(播種の15日後)

 子葉は、被子植物の双子葉植物のようにキリッと開くというよりは、後に本葉が出てきて押し広げられるという感じ。見た目の質感はプラスチックのよう。

本葉(播種の22日後)

 千年の本葉が、ほんのちょっぴりのぞく。
 ここ以降は、本葉が少しずつ伸びるだけなので、更新はかなり先になります。


定植の状態

本葉(播種の49日後)

 本葉の長さは3mmくらいでしょうか。
 育成灯下で最低気温20℃環境です。

本葉(播種の73日後)

 良く成長しているものでは、子葉と本葉の長さが同じくらいになりました。本葉長は2cmくらい。
 育成灯下で最低気温20℃環境です。
 最低温度を20℃まで上げるとよく成長します。最低温度が10℃程度しかない場合、成長がピタリと止まります。

根(播種の114日後)

 どっへー!
 さすが奇想天外、鉢底から根がにょろにょろ。
 とはいえこのまま腰水するだけで、別に何にもしませんが。

2011.6.25 成長(播種の190日後)

 実生室から外に出して、しばらく成長が止まっていましたが、連日の最低温度20℃、時には25℃を超える暑さで成長が始まりました。

2011.8.10 成長(播種の245日後)

 このところのクソ暑さで成長促進です。冬までにどのくらいになるかな。

2011.10.1 成長(播種の288日後)

 秋の深まりとともに成長スピードも低下。

 我が家では、27℃で発芽させ、最低温度20℃で管理している。
 この株は、発芽後、最低温度10℃で管理しそのまま春、夏を迎えたもの。上の株と同じ播種時期であったがかなり状態が違い、こじれてしまっている。初期段階での高温管理が重要だという見本。
2013.9.15 成長(播種の2年と10か月後)

 ここで実生ページは完結です。たまにTwitterに載せることもあります。
 ではでは!