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 このページは、奇想天外(Welwitschia mirabilis)という植物の栽培、育て方に関するページです。
 ここまでお見えになった方は、かなりのマイナー植物マニアとみました。
この記事は2009年に初記載したものを、2019年に内容を見直し改定したものです。
更新情報

 
奇想天外とは
 奇想天外(Welwitschia mirabilis)は、マツ、スギ、ソテツ、イチョウを含む裸子植物門に所属するウェルウイッチア科ウェルウイッチア属の1科1属1種の植物です。
 アフリカ・ナミブ砂漠が世界で唯一の自生地です。
 地上部では、生涯2枚限りの葉を持ち、それを伸ばし続けます。幅も広がるので自生地では縦に裂けて独特の姿となります。
 一方、地下ではゴボウのような直根を持ちます。
 ナミブ砂漠の自生地では、日中、表土はカラカラに乾いてはいても、数十cmから数mの深さの土中には常湿の地層があります。奇想天外は、根の先を地下水で常湿の地層まで(最長3m程度)伸ばします。(何十mも伸ばすというのは、伝説らしいですね。)
 2枚の葉しか持たず、それを伸ばし続けるといった植物は、陸上の植物では他に類がなく、珍奇な植物という場合に必ず名前が挙がってきます。


ナミブ砂漠メッサム・クレーター(奇想天外の自生地中心地)
 なお、このクレーターは火山活動によるものなので、奇想天外が隕石に乗って
宇宙からやってきたなんて思わないでね。

 「裸子植物」は、中生代(2億5000万年前~)に繁栄した古いタイプの植物で、その後、被子植物に追われ、過酷な環境に適応しながら生き残っています。奇想天外にもっとも近縁な植物はマオウ、グネツムですが、まったく形態が異なります。原産地であるナミブ砂漠は、中生代の後半(約8000万年前)に生まれた世界で最も古い砂漠と言われます。そこに生きる奇想天外の進化の過程は、はっきりせず、どこからやってきたのかわかりません。創造主が気まぐれに創ったとしか思えず、とても不思議としかいいようがありません。
 葉は、硬く、白粉を吹いたような青磁色です。成長に応じて幅も広がります。自生地では、成株は葉が1年に10~20cmづつ伸びるということです。
 葉がまだ短い若苗のとき、日光に当たると2枚の葉が広がり、夜間にはやや立ち上がるという開閉動作が見られます。
 奇想天外は、雄株と雌株がある雌雄異株です。花は、日本では雄株の場合数年~10年、雌株の場合10年~20年程度で咲くようになりますが、裸子植物なので目立つものではありません。


Odontopus sexpunctatus
Welwitschia bug
Odontopus sexpunctatus
 自生地では、花の甘い分泌物に誘われてくるカメムシの1種である「Odontopus sexpunctatus」が、雄株と雌株の花粉を媒介すると言われています。(右図)

 自生地の個体は、数百年から千年を超える古株がほとんどであり、保護されているとはいえ、次代が少なく絶滅が心配されています。

 昔は、栽培方法も分からず写真でしか実物を見ることができない夢の植物でしたが、先人たちの飽くなき探求とチャレンジにより、実生と栽培方法が確立され、現在では数多くの個体が趣味家のもとで栽培されています。ただし、栽培においては、一定の環境は必要であり、だれでも簡単に窓辺で栽培できるといったものではありません。
 観賞価値の点からいうと、キレイな花が咲くわけでもなく、2枚の葉があるだけなので、珍奇であるのみで、まったく面白みはありません。


Welwitschiaの系統樹