ぱんさのマイナー植物園

奇想天外
Welwitschia mirabilis

 
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 このページは、奇想天外(Welwitschia mirabilis)という植物の栽培、育て方に関するページです。
 ここまでお見えになった方は、かなりのマイナー植物マニアとみました。

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更新情報

奇想天外とは

 奇想天外(Welwitschia mirabilis)は、マツ、スギ、ソテツ、イチョウを含む裸子植物門に所属するウェルウイッチア科ウェルウイッチア属の1科1属1種の植物です。
 アフリカ・ナミブ砂漠が世界で唯一の自生地です。
 地上部では、生涯2枚限りの葉を持ち、それを伸ばし続けます。幅も広がるので自生地では縦に裂けて独特の姿となります。
 一方、地下ではゴボウのような直根を持ちます。
 ナミブ砂漠の自生地では、日中、表土はカラカラに乾いてはいても、数十cmから数mの深さの土中には常湿の地層があります。奇想天外は、根の先を地下水で常湿の地層まで(最長3m程度)伸ばします。(何十mも伸ばすというのは、伝説らしいですね。)
 2枚の葉しか持たず、それを伸ばし続けるといった植物は、陸上の植物では他に類がなく、珍奇な植物という場合に必ず名前が挙がってきます。


ナミブ砂漠メッサム・クレーター(奇想天外の自生地中心地)
 なお、このクレーターは火山活動によるものなので、奇想天外が隕石に乗って
宇宙からやってきたなんて思わないでね。
 「裸子植物」は、中生代(2億5000万年前〜)に繁栄した古いタイプの植物で、その後、被子植物に追われ、過酷な環境に適応しながら生き残っています。奇想天外にもっとも近縁な植物はマオウ、グネツムですが、まったく形態が異なります。原産地であるナミブ砂漠は、中生代の後半(約8000万年前)に生まれた世界で最も古い砂漠と言われます。そこに生きる奇想天外の進化の過程は、はっきりせず、どこからやってきたのかわかりません。創造主が気まぐれに創ったとしか思えず、とても不思議としかいいようがありません。
 葉は、硬く、白粉を吹いたような青磁色です。成長に応じて幅も広がります。自生地では、成株は葉が1年に10〜20cmづつ伸びるということです。
 葉がまだ短い若苗のとき、日光に当たると2枚の葉が広がり、夜間にはやや立ち上がるという開閉動作が見られます。
 奇想天外は、雄株と雌株がある雌雄異株です。花は、日本では雄株の場合数年〜10年、雌株の場合10年〜20年程度で咲くようになりますが、裸子植物なので目立つものではありません。


Odontopus sexpunctatus
Welwitschia bug
Odontopus sexpunctatus
 自生地では、花の甘い分泌物に誘われてくるカメムシの1種である「Odontopus sexpunctatus」が、雄株と雌株の花粉を媒介すると言われています。(右図)

 自生地の個体は、数百年から千年を超える古株がほとんどであり、保護されているとはいえ、次代が少なく絶滅が心配されています。

 昔は、栽培方法も分からず写真でしか実物を見ることができない夢の植物でしたが、先人たちの飽くなき探求とチャレンジにより、実生と栽培方法が確立され、現在では数多くの個体が趣味家のもとで栽培されています。ただし、栽培においては、一定の環境は必要であり、だれでも簡単に窓辺で栽培できるといったものではありません。
 観賞価値の点からいうと、キレイな花が咲くわけでもなく、2枚の葉があるだけなので、珍奇であるのみで、まったく面白みはありません。


Welwitschiaの系統樹

栽培のポイント

 栽培は、ポイントを守れば、そんなに難しいものではありません。環境さえあれば、腰水をしておけばいいので、管理の手間はほとんどかかりません。

【環境・管理(灌水・温度・日光)】

  • 根の乾燥は致命傷になるので、いかなる場合でも、根を乾燥させないようにします。栽培においては、腰水をします。冬季においても同じです。砂漠植物とか多肉植物ではなく、半抽水性植物(半湿地の水生植物)と考えたほうがうまく行きます。
  • 1年中十分な日光を与えます。若い植物の場合、日光が十分に当たると2枚の葉が開いて気持ちよさそうです。
  • 葉の付け根に成長点があるため、葉を付け根で折ってしまったり、付け根付近を傷付けたりすると、致命傷を与えます。株の移動、輸送には注意が必要です。
  • 30〜40℃程度の気温を好みます。このため盛夏が最成長期になります。猛暑であればあるほどご機嫌です。冬季の最低温度は10℃で、最低気温が20℃以上に安定して加温できれば成長が持続します。
  • 実生ができてもその後枯れるといったことをよく聞きますが、その原因をいろいろ検討した結果、そのほとんどは、最低温度が安定しないことだと思っています。最低温度が10℃であったり5℃になったり不安定だとするとその時点では影響がなくてもしばらくして枯れます。安定して加温ができる設備がない場合は、初めからムリなので栽培はやめた方がいいでしょう
  • 腰水の水には、老廃物が蓄積されるようで、2か月に1度程度換水します。
 

 
【移植・用土】
  • 根は、ゴボウのような直根と海綿状の細根、何本かの硬い支根からなります。移植はできないことはありませんが、根が傷つくことを嫌うので、これ以上ないくらいにていねいに扱う必要があります。必ず、高温の成長期に移植します。
  • 移植後すぐに30℃程度のぬるま湯で灌水し、根を乾燥させないことが必要です。
  • 移植すれば、粗い支根はていねいに扱ったとしても、多少は切れてしまいます。多少切れても枯死までは至らないと思われます。用土を高温に保つと、かなり回復が早いようです。
  • 用土は、凝った配合は必要ないと思われます。腰水栽培の上に、永い間移植ができないので、団粒構造が保てるように考え、焼成土を主にした配合がいいでしょう。
  • 鉢は素焼鉢にすると、蒸散で鉢内の温度が下がり、さらに鉢表面に藻類が発生しやすいので、プラ鉢を用いています。
  • 根が、かなりのスピードでひょろひょろと伸長しますので、できる限りの深鉢を用いるべきです。径は必要ありませんが、深さが必要です。ただし、なかなかそういう鉢は見つかりません。育苗用のプラ製トールポットを用いています。
  • いつの間にやら、鉢穴から根が伸びだすことがままあります。鉢底に椰子繊維マットを敷いて根の漏れを防止しています。椰子繊維マットは、椰子の繊維を天然ゴム樹脂で緩くつないだものですが、特に影響はないようです。
【肥料】
  • 肥料がかなり良く効く植物のようです。多肉植物と異なり用土は常に湿っていますので、化成肥料でも濃度障害は起しにくいです。このため、成長しているときに、ハイポネックスなどの液肥、または濡れた土に触れる鉢縁にプロミックなどを1個〜数個置くといいようです。
【病気・害虫】

コナカイガラムシ

葉の付け根の成長点付近に発生するのを確認しています。べとつく分泌物を出すので、それにスス病が発生する可能性があります。
できるだけ根元辺りを風通し良くすること。
カイガラムシの仲間は、水をはじく外皮を持ち、通常の接触性殺虫剤はほとんど効果がありません。 肉眼でみえるものはハンドリングで除去し、アクテリック乳剤を用いる。

アクテリック乳剤の使い方

奇想天外の実生

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