ガーデナーのお道具
 園芸するといろいろなお道具が必要になります。道具で効率が違いますし、できる範囲も広がります。
 私が使ってる園芸用のお道具です。年季が入っているので汚らしいものが多いですが、使い方や留意点についてまとめました。
 
切断等のお道具
ナイフ

 植物を切断するために使うものです。ハサミの次によく使うものといえるでしょう。
 これは一般的には「接木ナイフ」と呼ばれるものですが、刃が厚いので組織が潰れやすいため接木には使用しません。
 ナイフは複数本を用意して、1クローンの植物に使用したら、使用済みトレーに入れて連続使用しません。使用後は、ウイルス感染を防ぐため刃を洗浄し焼灼します。刃が黒いのは焼灼した跡です。高温の焼灼に耐えられるウイルスは存在しません。(「消毒用アルコール」の項参照)
 刃は使用するにしたがって鈍るので、ときどき研ぐことが必要です。

カミソリ

 植物を切断するために使うものですが、刃が薄く組織が潰れやにくいので接木に使用します。
 ナイフと同様、使用後は、ウイルス感染を防ぐため刃を洗浄し焼灼します。刃が黒いのは焼灼した跡です。
 刃は使用するにしたがって鈍るので、鈍れば使い捨てになります。

剪定バサミ

 植物を切断するために使うものです。右から、剪定バサミ、摘実バサミ、百均剪定バサミです。右の剪定バサミはドイツのウイルキンソン社製のもので、30年程度使っていますが何の問題もありません。かなり重いのですがある程度の太い枝を切るのには最適です。摘実バサミは先が細いので細かい場所を剪定するのに最適です。百均の剪定バサミは、各所に置いて手ごろに使うには最適ですね。百均のものは、柄のプラと金属部分の接合部分と要(かなめ)が弱く、いずれその部分が壊れて使えなくなります。
 ナイフと同様、使用後は、ウイルス感染を防ぐため刃を洗浄し焼灼します。

又枝切り

 又枝切りは、枝を根元から食い切るために使用するハサミの一種で、主に盆栽用用具です。樹状の多肉植物の整枝をするには重宝します。
 ナイフと同様、使用後は、ウイルス感染を防ぐため刃を洗浄し焼灼します。

消毒用アルコール

 消耗品なのでお道具ではありませんね。真菌や細菌を殺菌するために用いますが、ウイルスには効果がありません。植物ウイルスの多くは、エンベロープを持たないので、脂質からなるエンベロープを変性しウイルスを不活性化するといった効果はありません。それなら何の役に立つか?役に立たないのであるだけで使ってません。
 ただ、花粉は殺すことができるので、交配をする場合は間違った授粉が起きないように使うことはできるでしょう。

つまむ、掴む等のお道具
ピンセット/トング

 微細な実生苗等の植物を扱う場合や素手で触れない植物を扱うためのものです。
 長いタイプのが使い易いですね。写真右から、トゲが多いなど素手で触れないものを扱うトング(百均)、微細な植物を扱うためのステンレス製の先の細いAA型ピンセット(30cm、アクアリウム用)、ステンレス製のギザ型ピンセット(30cm)、逆作用ピンセットです。
 昔は、箸が使われましたが、今時の人は箸を正しく使えないので、微細なものを扱うにはピンセットになりますね。  

用土配合、移植等のお道具
移植ゴテ

 地植えの植物を掘り上げる等に使います。
 これは「移植ごて」と呼ばれるものですが、一般的に「スコップ(オランダ語源)」又は「シャベル(英語源)」と呼びます。この呼び方は地方によって違うようで、西日本では写真のものはスコップ、大きいモノをシャベル、東日本では写真のものはシャベル、大きいモノはスコップと呼ぶようです。
 


写真1

写真2
左官コテ

 実生苗の移植床を押え均すために用います。
 移植床を作るときにはないと困るんですが、使っていない人が多いですね。どうやってやってるのかしら?
 

土入れ

 ポット植えに用土を入れる場合に使用します。移植ゴテでも使えない訳でありませんが、格段に土入れの方が使いやすいです。
 材質としてプラ製、金属製がありますが、好き好きですね。口径の違いがあれば、鉢の大きさにより使い分けられて便利です。
 

盆栽クマデ

 根鉢を崩すために用いる道具ですが、手で十分できますし、使い回せばウイルス感染を拡大する危険性がありますので普通は使いません。
 

ロングスプーン

 小型のポット植えに微妙に用土を入れる場合に使用します。
 普通の茶さじでも構いませんが柄の長い方が使いやすいでしょう。右側のものはバースプーンと呼ばれるものです。

舟(ふね)/左官クワ

 用土を配合するための道具です。用土は、できるだけ大量に一気に配合した方が効率的ですし、いい道具を使うことで均一に配合することができます。
 舟と左官クワは、モルタルを混ぜるためのものですが、用土を配合するために最適です。左官クワを振るうにはテクニックが必要ですが、額に汗して一生懸命混ぜれば、お世話してます感満点です。

計量カップ

 用土の配合分量を計量するためのものです。

農薬散布等のお道具
計量スプーン

 計量スプーンは、水和剤などの粉剤を計量するためのものです。それほど大規模でなければ、1g~5gぐらいのものがあればいいでしょう。
 一方で液剤の場合は、少量計量カップや計量スポイトが薬剤に付属している場合が多いものです。少量計量カップは、人間の咳止め薬に付属していたものをそのまま流用しています。

スナッククリップ

 農薬などは家庭用の分包や少量で購入するよりは、規模によっては農業用大袋で購入した方がかなり廉価です。もちろん一度に使いきれないので密封して保存しておきます。そのために使う封用の道具です。百均で売っています。

蓄圧式ハンドスプレー

 少量の薬剤散布であるとかシリンジ、実生床への灌水等に使用するものです。普通の霧吹きよりは蓄圧式の方が格段に使い良いでしょう。これで植物にシリンジすればお世話してます感が満喫できます。

蓄圧式スプレー

 薬剤散布に使用するものです。これは4L用ですが、うちのように小規模な園芸では十分です。せいぜい6Lまででそれ以上は、持ち運ぶのが大変になります。
 このスプレーは、10年以上使っています。壊れないのではなくて、壊れやすい箇所(ピストル、パッキン等)のサプライが現在もあるので、そこを交換しながら使っています。蓄圧式スプレーは決して安いものではありません。安物を買って使い捨てにするより、部品等のサプライがしっかりしている有名メーカーのものを使った方が結果的に安くなります。また、これを新しいものに買い替えて捨てる場合は「粗大ごみ」になるのでその処分方法が面倒なのです。

施設整備、保守等のお道具

写真1

写真2
針金/ペンチ/ニッパ

 園芸では針金をよく利用します。針金を切断したり、曲げたりする道具として、ペンチ、ニッパを利用します。細かい加工をするなら先の細いラジオペンチが使い易いでしょう。

 園芸で使われる針金は、鉄の被膜線、銅線、アルミ線、ステンレス線があります(写真2)が、植物に直接掛ける「針金掛け」では、軟らかい銅線、アルミ線、施設設備利用なら強靭な鉄の被膜線を利用します。ステンレス線は曲げにくく加工がし難く高価ですが、錆び難く耐久性は極めて高いので、お金よりも耐久性優先の場合には利用するといいでしょう。


写真1

写真2
手芸用パンチ

 手芸で皮革やプラに穴をあけるための道具ですが、プラ製ポットに穴を開けて吊鉢に加工するためにとても重宝します。

テスキーハサミ

 園芸では、薄い鉄板や人工樹脂製のシート等を切断することがあります。それらのものを切るためのハサミで、切るものをそり上げないのでまっすぐ切ることができます。一本あると重宝します。



耐候性洗濯バサミ

 洗濯バサミはビニール等の被覆材を止めるために使える優れものです。取り外しができるので、下したり捲ったりするビニール等には最適です。
 ただ、普通のプラ製洗濯バサミは、1年程度で紫外線等によりバラバラになってしまいます。耐候性洗濯バサミがホムセンで売られていて、格段に耐久性が違いますので利用するといいでしょう。

ビニール補修テープ

 ハウス等のビニールは、強風に煽られたり、何かに当った等で破れてしまう場合があります。それをそのまま放置しておくと穴がさらに裂けて、ついにはズタボロハウスにもなりかねません。そういう場合は、最終的にはビニールを張り替えるのですが、とりあえずの応急処置は必要です。そのときのために、ビニール補修テープを常備しておくのがいいでしょうね。

支柱誘引等のお道具

写真1

写真2

写真3
ビニタイ/ガーデンクリップ

 植物を支柱などに誘引するためのものです。
 一般的にビニタイと呼ばれる細い針金に帯状の被膜を付けたもの(右)が用いられます。しかし、つる性の多肉植物など成長期だけあるつるで、休眠期になれば枯れてしまうものや、つるが支柱に巻き付けばいらなくなるようなものに使うと、取り外しが面倒ですし、さらに再利用もしにくくエコじゃありません。最近では、ガーデンクリップ(左)が百均などで売られていますのでそれを利用するといいでしょう(写真2、3)。脱着も簡単で何度でも利用できますので重宝します。


写真1

写真2

写真3
クロスジョイント/フックバンド

 支柱を直角に組むときに紐や針金で固定する場合がありますが、滑ったり緩んできっちり固定できません。
 この場合、クロスジョイント(右)という金属製又はプラ製の部品がよく使われますが、これはかなり脆弱で外れやすいものです。フックバンド(左)と呼ばれる金具を使えばしっかり止まります(写真2)。支柱の直径により種類がありますので用意しておくといいでしょう。直管なども止められるので、大掛かりな支柱設備もできます(写真3)。

育苗箱

写真1

写真2

写真3
育苗箱51型

 育苗箱としては、もっともポピュラーで大量生産され税込100円で買えるためローコストです。約W506×D357×H80mmで直径8cmポットなら4×6=24個ぴったり入ることができますし、そのまま用土を入れて植物を植えることもできます(写真2)。
 四角の苗帽子を被せれば、あっというまに簡易なフレームにもなります(幅が合わないので、工夫が必要です。)(写真3)。

プラグ底面給水トレー

 そもそもプラグトレー、セルトレー用のトレーですが、ポットを並べて利用することができます。水は抜けないのですが、灌水量が多くない植物や幼苗、乾燥した環境では育苗箱51型より利用価値があります。約W640×D320×H55mmで直径8cmポットならきっちり詰めて4×7=28個入ります。また、室内園芸で各鉢別に受け皿を設置するよりは、底面給水トレーをどんっと置いて並べた方が効率的です。

圃場整備、除草等のお道具
草取りくん

 雑草の根元に引っかけて根元ごと抜きとるためのお道具です。

ロング草取りくん

 地植え、露地植えのサボテン、アガベ等の接近すると危険な植物の根元付近に生えた雑草を抜くにはどうしたらいいか、長年に渡り考えた結果がこれです。上手く使えば、デンジャラスを避けて雑草を始末できます。

その他のお道具
虫眼鏡/スタンドルーペ/ヘッドルーペ

 植物の状態や病害虫を観察したり、微小な実生幼苗の扱うときに使用します。特に40歳を過ぎたお年頃の方には必須の道具と言っていいでしょう。
 うちには、妖怪「むしめがねかくし」がいるようで、いつのまにやら虫眼鏡がなくなってしまいます。ですから、虫眼鏡は百均のものです。

ヘッドライト/カンテラライト

 照明のない圃場で、夜の園芸を楽しむためには携帯用のライトが必要です。
 両手で作業ができるヘッドライト、手に持ったり吊るしたり置いたりして利用するカンテラライト等いろいろなものがあるので、使い方に応じて選ぶといいでしょう。

ラベルセット

 園芸においては、ラベル落ちは致命的です。人間の記憶力はかなりあやふやなので、作業中、速やかにラベルを書いて付けることが必要です。ラベル、鉛筆、消しゴムのセットを作っておくと便利です。