ぱんさのマイナー植物園

世界で一番大きい生き物はなに?
ジャイアント・セコイア
Sequoia sempervirens
Sequoiadendron giganteum

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ウォレマイパイン(ジュラシック・ツリー)ジャイアント・セコイア奇想天外ドロソフィルム
 
 このページは、書籍や映像では目にしたことはあるけれど、実物は見たことがないのではないかと思う、とってもマイナーなジャイアント・セコイアの栽培に関するページです。
 ここまでお見えになった方は、かなりのマイナー植物マニアとみました。

更新情報

世界で一番大きい生き物はなに?

 さて、ここで常識クイズです。「世界で一番大きい生き物」はなんでしょう?
 このページに訪れた方なら、すぐに答えが出ると思います。それは、アメリカ合衆国カリフォルニア州の一部に自生する、ジャイアント・セコイアという樹木です。
 ジャイアント・セコイアの自生地は、セコイア国立公園、ヨセミテ国立公園、キングスキャニオン国立公園、レッドウッド国立公園として保護されており、圧倒される巨樹に出会えます。
 太古の昔、中生代には、このような、裸子植物の巨樹が、地球を覆っていました。

区分 現存する最大の記録樹
(愛称、サイズ)
所在 種類
世界一の高さ ビックツリー
高さ=92.6m
樹齢(推定)=1,500年
レッドウッド国立公園 Sequoia sempervirens
世界一の体積 ジェネラルシャーマン
高さ=83.8m
体積=1486.6立方m
樹齢(推定)=2,000〜3,000年
セコイア国立公園 Sequoiadendron giganteum
世界一の体積 ジェネラルグラント
高さ=81.5m
体積=1343立方m
樹齢(推定)=2,000年
キングスキャニオン国立公園 Sequoiadendron giganteum
 

ジャイアント・セコイアとは

 前項の表で分かるように「ジャイアント・セコイア」と呼ばれる植物には、スギ科の2種類があります。どちらも、アメリカ合衆国カリフォルニア州の限られた地域に自生しています。
 このページでは、この2種を総称するとき「ジャイアント・セコイア」と呼ぶことにします。
 
学名 和名等
Sequoia sempervirens
セコイア・センペルビレンス
センペルセコイア、レッドウッド、セコイアメスギ
このページでは「センペルセコイア」と呼ぶことにします。
Sequoiadendron giganteum
セコイアデンドロン・ギガンテウム
セコイアオスギ、ギガントセコイア
このページでは「セコイアオスギ」と呼ぶことにします。
 
 成木でみると、センペルセコイアはスマートで背が高くなります。一方、セコイアオスギはガッチリとした堂々たる体格を持ちます。
 ジャイアント・セコイアの越冬温度は、−15度程度ですので、日本の多くの地域では、屋外庭植えで十分越冬します。ただ、栽培上は少し課題がありますが、それについては後述します。
 また、ジャイアント・セコイアは、盆栽の樹種としては日本では一般的ではありませんが、海外では素晴らしい作品も作られています。

ジャイアント・セコイアとメタセコイア

 公園や校庭などに多く植栽されている「メタセコイア(英名:DAWN REDWOOD)」とジャイアント・セコイアを混同する人が、よくいますが、メタセコイアとジャイアント・セコイアは名前は似ていますが、まったく違うものです。メタセコイアは、中国原産で、強健なところから日本各地に植栽されています。また、成長が早いことから、地域住民から伐採の要望が出るほどです。
 ただ、系統的にはジャイアント・セコイアとは近縁らしく、セコイアオスギの接木用の台木として強健なメタセコイアが利用されます。

以上の記述についての訪問者様からのご指摘

 以上の記述について、当サイト掲示板にて、goostakeさんという方から、ご指摘と詳細なご説明がありましたので、参考として、そのまま以下転記します。

●表中の(現存する)世界一の高さの木は、レッドウッド(ビッグツリーとはよびません。BigtreeはジャイアントセコイアSequoiadendron giganteumの米国での別称です。)ですが、従来112mの世界一の高さのレッドウッドがレッドウッド国立公園にあるのが知られていましたが、2007年8月に高さ115mのレッドウッドが同じレッドウッド国立公園で発見され、ハイペリオンと固有名詞がつけられました。このハイペリオンのある場所までは道が無く普通は見られません。(従来の世界1のレッドウッドは1日50人までは許可証がもらえ2時間ほど歩けば見られます。)
●表中のグランド将軍の木は、アメリカのクリスマスツリーという愛称はあるのですが、特に世界1の体積の木ではありません。(3位くらいでしょうか。)セコイア国立公園に行くとリー将軍の木とか有名人の名前を付けられた同じような大きさの木が沢山あります。
●普通はレッドウッド(コーストレッドウッドとも米国では呼ばれます)とジャイアントセコイア(ビッグツリーとも呼ばれます。)は、スギ科ではありますが、それぞれ属も違い両者をまとめてジャイアントセコイアと呼ぶことはありません。ジャイアントセコイアは、Sequoiadendron giganteumのみを指します。まとめると誤解を招きます。

ジャイアント・セコイアの播種(種まき)
 
 ジャイアント・セコイアの種子は、国内では簡単に入手できないので、海外の種苗会社から購入しました。
 種子は、これが世界最大の木になるのが信じられないくらい微小です。マツ、スギの仲間の種子は、乾燥期間が長いとてきめんに発芽率が落ちますので、即刻処理します。
 ジャイアント・セコイアの球果は、山火事に会わないと種子がばら撒かれないということですが、この種はどうやって採取したんでしょうか。
 播種に先行して「1か月程度の低温処理を行なう方法」と、「そのまま播種する方法」があります。どちらも試します。
 発芽率は、種苗会社公称で25%程度と極めて低いので、たくさん撒いたら「ごちゃごちゃ」になるんではないかとの心配いりません。数本でも発芽すれば、まあ成功でしょう。
 発芽に必要な最低気温は、15度程度なので、関東・東海地方では、5月下旬頃から無加温で播種することができます。
 ジャイアント・セコイアは完全な陽樹なので、発芽後は直射日光に当てます。ただし、乾燥には注意します。


Sequoia sempervirens
センペルセコイア、レッドウッド

Sequoiadendron giganteum
セコイアオスギ
 
そのまま播種する方法の播種記録
 
 
低温処理する方法の播種記録
 

ジャイアント・セコイアの栽培方法
 
 一口にジャイアント・セコイアといっても、2つの種は特性に違いがあります。
 両方とも、汚染された大気や土壌を嫌います。また、基本的には、陽樹であって日光を好むので、室内鉢物には向きません。
 また、台風などの影響を受けたことがない地域に自生するので、根も浅く強風には強くありません。
 自生地の標高は高く、冷涼な気候を好むので、気温の高い西日本太平洋ベルト地帯では注意が必要です。  センペルセコイアは、わが国でも、ごく一部では植栽されて大木になっているので、厳寒地を除き、鉢植え、庭植えとも容易とされます。一方で、セコイアオスギは難物とされます。
 
◇センペル・セコイア Sequoia sempervirens
 
 強健な樹で、四季を通じて屋外で管理できます。鉢物や盆栽にも最適でしょう。
 センペル・セコイアは、標高約700〜1000mに自生しており、水はけのよい肥沃な土壌を好みますが、乾燥は嫌います。
 幼苗は夏の暑さを嫌うので、気温の高い西日本太平洋ベルト地帯では、盛夏は、遮光して風通し良く過ごさせる必要があります。
 庭植えでは、シンボルツリーになります。ただし、20年で27m(6階建てのビル程度)になったという記録もありますので、庭植えでは充分な場所をとるようにする必要があります。自然に伸び伸びと育てたい場合、大庭園を持っている方でなければ、無理かもしれません。
 
◇セコイアオスギ Sequoiadendron giganteum
 
 過去に植栽実験が何回もなされましたが、わが国の多湿の気候に合わず、数年から10年程度で枯死することが多いとされています。
 強健なメタセコイアに接木ができますが、メタセコイアを台木としても数m程度で成長が止まるという報告があります。
 セコイアオスギは、標高約1500〜2000mに自生しており、過湿を嫌い、冷涼で長雨に当らないことが条件のようで、庭植えではうまく育たない可能性があります。鉢物や盆栽などで、ある程度環境がコントロールできればいいように思います。
 梅雨の長雨は、危険です。過湿は根腐れの原因になります。梅雨時期は、日には当るが雨に当らない軒下などで保護する必要があるでしょう。
 基本的には陽樹ですが、センペルセコイア以上に夏の暑さを嫌うので、盛夏に長時間の直射日光を当てると弱り枯死します。 栽培しているところがもともと冷涼な地域でない場合、冷涼な環境をつくるのは難しいので、遮光したり、午前中だけしか日光が当らない風通しのよい場所に保護する必要があります。

ジャイアント・セコイアの病気・害虫
 
 わが国においては、ジャイアント・セコイアには、いろいろな病気・害虫が発生します。
 わが国で発生する病気・害虫については、分かっていません。我が家で発生した病気・害虫を記載します。

不明幼虫
センペルセコイア
 不明幼虫が葉を食害していた。
【対策】
・見つけ次第、補虫する。
・オルトラン水和剤、スプレー式のGFオルトランC等の浸透移行性殺虫剤を散布する。
苗立枯病
セコイアオスギ
 長雨に当てる、盛夏に直射日光に当てるなどして、苗を弱らせると発生する。幼苗がしおれたのち枯れる。抜いてみたところ根はしっかりしていたので、地上部を犯す苗立枯病と思われる。
【対策】
・長雨には当てない。
・盛夏に直射日光に当てない。
・ベンレート、サプロール水和剤を散布する。
その他、発生しそうな害虫・病気
・葉枯れ病
・灰色カビ病
・スギ赤枯病

ジャイアント・セコイアの成長記録
 
◇センペル・セコイア Sequoia sempervirens
 

 2008.6.26(播種後31日目)

 少しだけ樹らしくなったかな?


 2008.7.7(播種後42日目)

 完全に根付いていますので、白つぶ肥料、ハイポネックス1000倍液を与えてアクセルかけていきます。


 2008.7.27(播種後63日目)

 猛暑の中、半日陰で育てています。
 枝が発生してきました。


 2008.08.16(播種後83日目)

 枝を伸ばしながら成長しています。


 2008.9.13(播種後111日目)

 猛暑が過ぎて涼しくなると、勢いがでてきました。


 2008.10.9(播種後137日目)

 成長が続いています。樹らしくなってきました。


 2008.10.28(播種後156日目)


 2009.01.12(播種後232日目)

 雪が降りました。雪の中で寒そうです。


 2009.04.28(播種後338日目)

 春たけなわ。ググッと成長しています。
 鉢がきつくなっていたので、先月に植え替えています。

 
◇セコイアオスギ Sequoiadendron giganteum
 

 2008.6.27(播種後32日目)

 センペルセコイアに比較して成長は遅々としてます。


 2008.7.7(播種後42日目)

 完全に根付いていますので、白つぶ肥料、ハイポネックス1000倍液を与えてアクセルかけていきます。


 2008.7.27(播種後63日目)

 猛暑の中、半日陰で育てています。
 枝が発生してきました。


 2008.8.16(播種後83日目)

 わずかに成長しています。


 2008.9.13(播種後111日目)

 猛暑が過ぎて涼しくなると、勢いがでてきました。


 2008.10.9(播種後137日目)

 成長が続いています。樹らしくなってきました。


 2008.10.28(播種後156日目)

 枝が下垂し、樹らしくなってきました。


 2009.01.12(播種後232日目)

 雪が降りました。雪の中で寒そうです。


 2009.04.28(播種後338日目)

 春たけなわ。ググッと成長しています。
 俺はセコイア様だ!って、一人前の顔していると思いません?

ぱんさと過ごした日々(栽培期間):
 
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