ぱんさのマイナー植物園/バオバブ王国
剪定・仕立て方法ケーススタディ
ディギタータづくり CASE-2
樹種:
Adansonia digitata
アダンソニア・ディギタータ
Step.2 枝をつくる(播種後3年目5月下旬)
前年成長期に摘芯・葉刈りをし、枝を作った木です。
素直に伸びていて、とても良い種木になります。
現在の枝ぶりよりも、根元に注目します。
幹は斜めになっていますが、植えなおすときにまっすぐにすればいいので、まったく気にする必要はありません。
根元の膨らみから立ち上がりにかけてキレイです。
最終的には、膨らみのある直根部分も地上へ上げるので、それを想定して、低い位置に枝が必要です。この木は、小枝(黄色○)が、かなり下の方から満べんなく出ているので早く見える形に作れます。
最終的には、膨らみのある直根上部も地上へ上げるので、それを想定して、剪定する位置を決めます。黄色線の位置で剪定します。現在の地際から10cm程度です。ここで、惜しくなって余分に残すと、キレイに作れません。
剪定は、枝の位置に合わせて斜めとしますので、後の傷には癒合剤は必ず塗布します。
伸びすぎた枝も切っておきます。
剪定後の姿です。
幹の剪定後には、癒合剤を塗っておきます。
ここで、芽が出てくるまでのんびり待ちます。
萌芽しました。
どうしても頂芽が強いので、頂芽を剪定して他の枝にパワーを向けさせます。
Step.3 仕立て鉢への移植(播種後3年目6月中旬)
成長期に入って枝が伸びています。
仕立て鉢に植替えをします。
樹が斜めになっていますので、植替え時にきちっとまっすぐに植えつけます。
5号の浅鉢を用意しました。
鉢のセッティングは写真のとおりです。
種木を抜いて、用土を軽く落とし根の状態を見ます。
太い直根があります。
鉢への収まり等を考慮して、直根の下、1/4程度(上の写真の黄色線)を切断します。これは、成長期のはじめ(7月)だからできる「荒業」です。
なお、これをすればダメージはあります。覚悟してやりましょう。
仕立て鉢に「まっすぐ」に植え付けます。仕立て鉢に通したアルミ線で種木を固定します。
前よりも、根部分が上に出ているのが分かるでしょうか。
地表近くにあった根は露出させて、根張りにします。露出させたままでは、乾燥して枯れてしまうので、湿らせたミズゴケで覆います。
根が少なくなっていますので、日陰でしばらくの間管理します。水切れをしないように注意します。
落ち着いてきたら、直射日光下へ移します。
Step.4 整枝(播種後3年目7月上旬)
樹がかなり落ち着いて、枝の長さが目的の長さになったら、緩やかに針金かけをして枝を伏せます。
無理して全部伏せる必要はありません。
枝を伏せるのは、形を整えるという意味もあれば、混み合った枝を広げて、風通しと日光の当たりを良くするという意味があります。
一番上の枝は、前からの枝で、他の枝と調子が合わず、2股に分岐しているので整理します。
黄色の線で剪定し、癒合剤を塗っておきます。
剪定後の状態です。
この後、整理した一番上の枝に緩やかに針金をかけて伏せておきます。
根が活動をはじめ、枝がある程度伸びたら、摘芯と葉刈りを行ないます。
摘芯と葉刈り(目標に合うように枝を作るため)をするためには、樹が十分充実していないといけないため、様子を見て、肥培しておきます。 (今回、かなり根を整理しているので、根の活動が始まっていないときに、肥料を与えると枯れます。)
落ち着いてきて、根も活動していることが覗われます。
これから、肥培して、充実したら、摘芯と葉刈りを行ないます。
Step.5 小枝をつくる(播種後3年目7月下旬)
樹勢が出てきましたので、剪定と葉刈りをして小枝を作ります。
写真は作業前の状態です。
樹の頂部の枝を剪定し樹の大きさを決めます。そこを頂点として、円錐になるよう各枝の長さを決め剪定していきます。
葉刈りをします。
萌芽するのを待ちます。たくさん萌芽するといいなあ。
う〜ん。萌芽成績がよくありませんでした。根張りと肥培が十分でないためです。今年はこれ以上無理ですので、来年に期待します。
頂部が強いので剪定して抑えます。
剪定後です。
Step.5 整枝(播種後3年目8月)
枝が伸びてきています。
形もできてきていますので、てっぺんの枝を犠牲枝として残して、他の枝は剪定します。
成長期も残り少なくなってきました。
秋深まり。立ち上がりの状態です。
Step.6 整枝(播種後4年目7月)
気候が良くなるにつれて、どんどん生長しています。
犠牲枝もかなり伸びています。犠牲枝を、これ以上大きくすると枝を落としたときに傷が目立ち、幹のコケもよくないので、一旦剪定します。
そのほかの枝も剪定し詰めておきます。
剪定後です。かなり詰めてみました。
枝の伸び始めです。
つづく・・・
『剪定・仕立て方法』に戻る