ぱんさのマイナー植物園/バオバブ王国

のんびりいこうぜ!長期計画?
剪定・仕立て方法

 
なんなのこれ
はじめに

 バオバブはそもそも高木なので、ほったらかしにしておけばひょろひょろと伸びて「何なのこれ?」にしかなりません。葉がある夏場はまだ見られますが、冬には棒っきれになるだけです。庭に地植えできるわけでもないので、大きさはおのずと限界があります。
 どうせ育てるのですから、鉢植え観賞用に、それなりの形に仕立てようと思いませんか?
 当然、1年やそこらで仕立てることはできませんので、何年もかけて仕立てていきます。
 以下では、種木に「Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ」を用い、ステップを分けて説明しています。
 

 本当は1本の種木を用いて継続的に記載した方がいいとは思いますが、時間がかかりすぎますので、「あらかじめ調理したものがこちらに用意してあります」という料理番組のように、適宜、別な種木を用いて、撮影、説明をしています。

 
剪定・仕立て上の注意

  • 仕立てるためには、かなり思い切って剪定する必要があります。初心者のうちは、「枯れて元々」ぐらいに考えて思い切らないとできません。「もったいなーい」と思うケチ臭い方や、感情移入して「カワイソ〜」と思う方、「大丈夫か、心配で心配で・・」という極度の心配性の方は、やらない方が精神衛生上いいでしょう。
  • バオバブは、種類によって萌芽力がかなり異なります。「Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ」は、極めて萌芽力が強いので、盆栽風に強く仕立てるのに向きます。一方で、よく普及している「Adansonia gibbosa アダンソニア・ギボーサ」は、萌芽力が弱く、同じようなやり方をしてもうまくいきません。
  • ことさら幹を太らせようと剪定や摘芯をする方がいますが、剪定すると高さとのバランスで若干太く「見える」ということで、剪定や摘芯をしたからといって太くなるということはありません。3、4年株で幹の直径が3cmのとき高さが2mもあればひょろひょろに見えます。同じ太さでも、これが高さ30cmであれば、太く立派に見えるわけです。幹を太くするには、年数が一番必要で、成長期には、日光によく当てて、肥料を与え、適切に剪定して、何年も愛培すれば少しづつ太くなっていきますので、そう躍起になる必要はありません。
  • Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ」は、萌芽力が強いのでだいたいどこで剪定しても萌芽してきます。ただし、何度も近い場所で無計画に剪定を繰り返すとその部分の幹がコブ状になって、根元ではなくて、その部分、つまり上の方の枝の元が太いという至極バランスの悪い木になってしまいますので注意が必要です。(中年以上の方は桑畑の桑の木を想像してください。)
  • 仕立てるためには、かなり剪定したり、場合によっては、根を切り詰める必要があります。この作業は成長最盛期(萌芽〜8月中旬)に行ないます。成長最盛期であれば、かなり無理をしても、へっちゃらです。
  • 冬季に温度が低いと弱い枝は枯れ込みがおきます。せっかく形を作っても枝が枯れてしまったのでは話になりません。温度管理に注意するか、重要な枝を作る作業は、9月上旬で切り上げ、冬までに枝の充実を図ります。

完成像を考える

 なによりもまず、あなたがそのバオバブをどのくらいの高さにしたいかを決めましょう。それは、あなたの栽培環境との関係があります。特に冬、どこに収容するか、収容スペースと考え合わせなければいけません。
 また、仕立てる時には、完成像としての樹姿を思い描いて行なう必要があります。何も考えず、めくらめっぽうやってもお話になりません。基本的には、大木のバオバブの姿を鉢内に実現するのが理想ですので、完成像としては大木のバオバブの姿になるでしょう。
 冬の落葉期でも枝ぶりを観賞できるくらいが、理想といっていいでしょう。

仕立てに使うお道具

 お道具に凝る必要は全然ありませんが、仕立てに使うお道具等を紹介します。

 

  • 盆栽用針金には、銅とアルミがあります。バオバブは緩やかに掛けますし、枝は柔らかいのでアルミを使った方がいいでしょう。
  • 芽切り鋏は、太い堅い枝を切るには向きません(刃が曲がる)。太い堅い枝を切る場合は、剪定鋏を使います。幼木を扱うのですから、細かい作業が可能な芽切り鋏が使いやすいでしょう。
  • お道具ではありませんが、鋏を消毒するためのエタノールは用意したほうが安心できます。ウイルス病の拡散防止のため、ティッシュに染み込ませ鋏をしっかり拭いてから、鋏を利用します。

完成像「ディギタータづくり」

 バオバブも、種類によって様々な樹形があります。ここでは、高さより幅があるディギタータの樹形をモデルにして仕立てていきます。これを「ディギタータづくり」とします。 「ディギタータづくり」は、盆栽的に言うと十分な枝の広がりを持った「直幹立ち木づくり」となります。
 だいたい、30cm〜50cm程度に仕立てていきます。
 バオバブの特徴である幹の太さは、ゆっくり時間をかけて自然につくります。

完成像(模式図)

ファーストステップ 枝をつくる(播種後2年目7〜8月)

 種から育った木は、ある程度まで1本の幹が伸張していきます。
 この状態のままでは、ひょろひょろと伸びていくだけなので、枝をつくるというのが最初の作業になります。
 この幹の成長を剪定により止めて、複数の枝を形良く発生させます。(枝張りを作る。)
 この作業は、梅雨明けから8月の成長期に行ないます。

 
 播種後2年目樹
 素直に伸びた種木です。
 剪定前に十分肥培しておきます。痩せた樹を剪定しても、枝の発生が少なく、何をやっているか分からなくなります。

 
 最終的な完成像をイメージして、葉のあるところで幹を剪定します。
 
【どのくらいの高さで剪定するか?】
 最終的な高さの1/2〜2/3程度の高さです。30cm程度に仕立てたいのなら15〜25cm程度で剪定します。
 葉のないところでも剪定しても、成長期であれば問題なく萌芽してきます。ただし、子葉の上、1枚目の本葉があった位置より下で剪定してはいけません。

 
 枝をたくさん出させるために、「葉刈り」をします。

【葉刈り】
 すべての葉を柄を残して切り取ることです。葉刈りをせず剪定だけを行なうと、一番上、二番目の葉の付け根程度からしか萌芽しません。葉刈りを行なうと他の葉の付け根からも萌芽します。


 
 葉刈り後、約10日で各節から萌芽がはじまります。


 
 葉刈り後、約20日の状態です。
 最終的には、よい枝を残しますが、今はこのまま芽を育てて枝張りを作ります。
 この写真の種木の場合、かなり下の方からも萌芽していますので、好みの位置で幹を剪定して、好みの高さにすることもできます。

この写真の種木を育成し、翌年、青線の位置で剪定して作ったのが、CASE-2の樹です。
見比べてください。

 

ケーススタディ


画像の上にマウスを置くと仕立て前(Before)、マウスを離すと仕立て後(After)の樹が表示されます。両方とも同じ樹の写真です。

◆ディギタータづくり CASE-1
樹種:Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ
樹高:30cm程度の仕立て
鉢種:足付き丸鉄鉢
 
ディギタータは、枝の発生よく、刈り込みにも強いので、盆栽風に仕立てるのに向きます。


画像の上にマウスを置くと仕立て前(Before)、マウスを離すと仕立て後(After)の樹が表示されます。両方とも同じ樹の写真です。

◆ディギタータづくり CASE-2
樹種:Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ
樹高:18cm程度の仕立て
 
ディギタータは、枝の発生よく、刈り込みにも強いので、盆栽風に仕立てるのに向きます。
かなり大きく育てたディギタータを、低く仕立て直して、小品を目指します。

◆大鉢づくり CASE-1
樹種:Adansonia madagascariensis
   アダンソニア・マダガスカリエンシス
樹高:65cm程度の仕立て
 
マダガスカリエンシスは、そもそも、大型の葉と大柄な枝張りを持ちますので、盆栽風のつくりは向きません。
大きさを押さえながら自然なつくりを目指します。

その他

樹種:Adansonia digitata アダンソニア・ディギタータ
樹高:35cm程度の仕立て
樹齢:播種後3年目
鉢種:色小判鉢
 

 

 
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