ぱんさのマイナー植物園/バオバブ王国

バオバブの種類別栽培特性

 
 このページでは、私の経験によるバオバブの種類ごとの栽培特性をまとめています。
 バオバブの種類標準的な播種方法標準的な栽培方法と合わせてご覧下さい。
 なお、内容は随時更新することがありますので、場合によっては、書いてあることがごろっと変わったりするかもしれません。

【このページに記載している種】
アフリカ原産
Adansonia digitata ディギタータ
オーストラリア原産
Adansonia gibbosa ギボーサ(別名:Adansonia gregorii グレゴリー)
マダガスカル原産南方系
Adansonia grandidieri グランディディエリ
Adansonia rubrostipa ルブロスティパ(別名:Adansonia fony フォニー)
Adansonia za ザ
マダガスカル原産北方系
Adansonia madagascariensis マダガスカリエンシス
Adansonia perrieri ペリエリ
Adansonia suarezensis スアレゼンシス

Adansonia digitata ディギタータ

播種方法
Adansonia digitata
▲種子
Adansonia digitata
▲子葉
  • 適温適期であれば、標準的な播種方法で問題なく、5日〜1週間で容易に発芽する。
  • 発芽率は良い。
栽培方法
Adansonia digitata
▲315日目株
Adansonia digitata
▲葉の状態
  • 標準的な栽培方法で問題ない。他の種と比較して最も強健で栽培しやすい。
  • 萌芽力が強いことも特記すべき。このため、思うとおりの樹姿に仕立てられる。剪定、仕立てを楽しめる植物。
  • 冬季最低温度は断水状態で1.5℃で耐えられることを確認したが、枝枯れが発生したので、最低温度は5℃程度に留めておきたい。

 

Adansonia gibbosa ギボーサ
(別名:Adansonia gregorii グレゴリー)

播種方法
Adansonia gibbosa
▲種子
Adansonia gibbosa
▲子葉
  • ある商品のおかげで、digitataに次いでよく普及している種。
  • 他種と比較して種子の殻は堅く、濃硫酸浸漬処理を行なっても容易に吸水しない場合がある。2週間経過しても発芽しない場合は、種子を掘り上げて殻の一部に種皮削剥処理をするとよい(もちろん種子が生きていたらの場合)。
  • 発芽には、30℃以上の高温が望ましい。
  • 吸水播種後、発根は4日程度で起きるが、地上への発芽はのんびり10日以上必要。
  • 子葉は、他種に比して貧弱。
栽培方法
Adansonia gibbosa
▲27日目株
Adansonia gibbosa
▲葉の状態
  • 自生地であるオーストラリアのキンバリー地域は、高温期には、最高温度が45℃に達し、低温期の最低温度は15℃の地域であるが、試したところ、完全断水状態で、冬季最低温度1.5℃でも枝枯れを起さず越冬した。バオバブとしては、比較的低温に強い。
  • 標準的な栽培方法でよい。
  • 他の種類と比較すると成長は若干遅い。
  • 萌芽力が弱いため、剪定や敵芯によって多くの芽を出すことはない。このため盆栽づくりに向かない。1m程度で自然に分岐するので、大鉢づくりにするとよい。

 

Adansonia grandidieri グランディディエリ

播種方法
Adansonia grandidieri
▲種子
Adansonia grandidieri
▲子葉
  • 種子は大きく、シイナでなくとも水に浮く(おそらく殻内に空気層がある?)ため、勘違いして捨てないように。
  • 適温適期であれば、標準的な播種方法で問題なく、3日〜5日で発芽する。逆にいうと、3日〜5日で発芽しなければ、シイナか失敗の可能性が高い。
  • 子葉は、よじれたままで開ききらず、その状態のまま本葉が発生する(子葉写真参照。)。
  • 発芽率が良いとはいえない。
栽培方法
Adansonia grandidieri
▲27日目株
Adansonia grandidieri
▲葉の状態
葉は、厚めで堅く、小葉は細長い。
  • 標準的な栽培方法で問題ない。
  • 他のバオバブは本葉が開きながら順次茎が伸長するが、この種は子葉が開ききる前に本葉の茎がニョロニョロと伸長する。
  • 他の種に比較すると、萌芽は遅く、かつ早めに成長が停止する(9月)。実質的な成長期は、年の内、2、3か月しかない。成長期に十分に肥培、灌水し十分に成長させておくこと。
  • 本種は、マダガスカル南方系で、10月頃、最低温度が下がると、成長を停止し冬芽を作るので、潅水を控え目にしていく時期が分かりやすい。
  • 耐寒性は、ディギタータクラス。

 

Adansonia rubrostipa ルブロスティパ
(別名:Adansonia fony フォニー)

播種方法
Adansonia rubrostipa
▲種子
Adansonia rubrostipa
▲子葉
  • 適温適期であれば、標準的な播種方法で問題なく、1週間程度で発芽する。
  • 発芽率は良い。
  • 種子の殻が、子葉に残り脱げにくい。ハンドリングで取る必要がある。
  • 子葉の茎(胚軸)はかなり長く、8〜10cmに達する。
  • この種は、発芽時には根が浅い(下写真)ので、定植時には根が収まるように深く植え付ける。そうしないと倒れたり、引っこ抜けたりする。
  • Adansonia rubrostipa

  • 本葉の茎も細く弱々しいので、幼株のうちは支柱が必要。
栽培方法
Adansonia rubrostipa
▲25日目株
Adansonia rubrostipa
▲葉の状態
Adansonia rubrostipa
▲幼樹の状態
Adansonia rubrostipa
▲複葉化した葉の状態
  • 葉は小ぶり、4、5号鉢程度で抑えて作ると20〜30cm程度でたくさん分岐して、自然にこじんまりとした姿で作れる。鉢物にはとても向く種類であって、もっと普及してもよい。
  • 本種は、マダガスカル南方系で、10月頃、最低温度が下がると、成長を停止し冬芽を作るので、潅水を控え目にしていく時期が分かりやすい。
  • 耐寒性は、ディギタータクラス。

 

Adansonia za ザ

播種方法
Adansonia za
▲種子
  • 種皮は強くなく濃硫酸浸漬処理に弱い。したがって、濃硫酸浸漬ではなく、水洗いして果肉、薄皮を落とし、その後、種皮削剥を行なう方がよい。
  • 適温適期でも、発根までに1週間を要する。
栽培方法
Adansonia za
▲葉の状態
幼樹の葉は、葉縁が波うつ。複葉になったとき小葉に葉柄があるのが特徴。
  • 他の種に比較して若干低温に強い。ただし、バオバブの中では、という意味であって、日本の樹木と比較にはならない。
  • 本種は、マダガスカル南方系で、10月頃、最低温度が下がると、成長を停止し冬芽を作るので、潅水を控え目にしていく時期が分かりやすい。

 

Adansonia madagascariensis マダガスカリエンシス

播種方法
Adansonia madagascariensis
▲種子
Adansonia madagascariensis
▲子葉
  • 適温適期であれば、標準的な播種方法で問題なく、5日〜1週間で発芽する。
  • 発芽率は良い。
  • 子葉は艶やかで美しい。子葉の茎(胚軸)はかなり長く、8〜10cmに達する。
  • 根がよく発達し、本葉が出始める時点で、ジフィーポット(角型)から根が飛び出すので、定植が必要。
栽培方法
Adansonia madagascariensis
▲27日目株
Adansonia madagascariensis
▲葉の状態
葉は、厚めで艶やか、主脈が白く目立つ。
Adansonia madagascariensis
▲複葉化した葉の状態
  • 葉も枝ぶりも大型、小さく仕立てるには不向き。大鉢作りに向き、美しい葉を生かせる。
  • 本種は、最も気温が高いマダガスカル北方系で寒さを知らない植物である。最低温度が下がってもずるずると成長が継続するので、潅水を控え目にしていく時期が分かりにくい。このため調子にのって潅水を継続すると痛い目に合う。
  • 休眠芽を作らず、冬季は完全に落葉しないため、低温や乾燥に弱い。冬季は注意すべき。

 

Adansonia perrieri ペリエリ

播種方法
Adansonia perrieri
▲種子
Adansonia perrieri
▲子葉
  • 適温適期であれば、標準的な播種方法で問題なく、5日〜1週間で発芽する。
  • 発芽率は良い。
  • 子葉の茎(胚軸)はかなり長く、10〜15cmに達する。
栽培方法
Adansonia perrieri
▲20日目株
Adansonia perrieri
▲葉の状態
葉は、葉脈が目立ち立体的になる。
  • 夏季の成長期は、盛んに育つ。この種の栽培上の問題は、夏より冬季である。
  • 本種は、最も気温が高いマダガスカル北方系で寒さを知らない植物である。最低温度が下がってもずるずると成長が継続するので、潅水を控え目にしていく時期が分かりにくい。このため調子にのって潅水を継続すると痛い目に合う。
  • バオバブ中、最も湿潤な地域に自生し、休眠芽を作らず、冬季は完全に落葉しないため、冬季の寒さ、乾燥には、かなり弱い。冬季は15℃程度に加温し、少なめの灌水を続けて過ごさせる。断水して完全に落葉させると危険なので、枝先に葉が最低数枚残る程度が冬季の灌水管理、温度管理の目安になる。
  • 他の種に比較して、アブラムシがつきやすいようなので、定期的に殺虫剤等の散布を行なうこと。

 

Adansonia suarezensis スアレゼンシス

播種方法
Adansonia suarezensis
▲種子
  • 種子は腐敗しやすく、播種は極めて難しい
栽培方法
Adansonia suarezensis
▲葉の状態
バオバブの中では、葉は大きい。マダガスカリエンシスに似るが若葉は凸凹しておりペリエリの様にも見える。
  • 本種は、マダガスカルの北端の極めて狭い地域(ディエゴスアレス)に自生する。自生地は乾いた熱帯で、1年を通して気温の変化がほとんどなく、最低温度でも25度を下らない。
  • 栽培においては、冬季管理が最も難しく、同自生地の他の植物の例を見ても最低でも16度以上を保つ必要があると思われる。それなりの設備がない場合は、栽培を避ける。
  • 本種は、最も気温が高いマダガスカル北方系で寒さを知らない植物である。最低温度が下がってもずるずると成長が継続するので、潅水を控え目にしていく時期が分かりにくい。このため調子にのって潅水を継続すると痛い目に合う。
  • 用土には、穏やかな石灰成分を混ぜる。

 

Adansonia
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