ナンノロプス・リチアナ
ナンノロプス・アラビカシルバー
マザリヤシ(Mazari Palm)
Nannorrhops ritchiana
=Nannorrhops arabica 'Silver'
ヤシ科
 本種は「アラビカシルバー」という名で流通することがあるが、「アラビカ」は本種の旧称、シノニムで、「シルバー」は園芸品種名というより本種の愛称(流通名)と思われる。
 Nannorrhops属は、本種のみの1属1種。アラビア半島から、イラン、アフガニスタン、インド北西部の標高1600mまでの非常に乾燥した地域に自生する。
 銀色の掌状の葉を持つ美しい植物。高さは数mで、ひこばえを吹き叢生する。

 合衆国カリフォルニア、フロリダでは露地植えされ、そのような年中温暖な常夏の地域では、湿潤な環境でも良く育つ。一方で、自生地のような、乾燥した痩せた土地にも耐え、旱魃耐性があるとされる。
 耐寒性が非常に高い(耐寒性ゾーン7b、あるいはそれ以上)と言われるが、旱魃耐性から、乾燥した環境で休眠状態の場合であって、低温で湿った環境では越冬は難しく、枯死する。従って、冬季が湿潤な我が国では露地植えは難しそうだ。湿潤で低温なイギリスなどでは露地植えは成功しないとの話もある。面白いヤシの割に露地で見られないのはそういう理由があるらしい。
 売りたいがため「耐寒性があるある」だけを強調して、肝心なそういった条件をはっきりさせない(単に知らない?)のは、ショップにありがちかも知れない。

 普通我々が目にするヤシは、葉の腋から花茎が伸びて花序を形成し花茎は下垂するものが多いが、Nannorrhopsは幹の成長点(頂点)から花茎が伸びて(というより成長点が花茎に変わるといってよいかも。)盛大な立ち上がる花序を形成する。こういった形態の植物は、アガベ、バナナ、ブロメリア等一回結実性であるが、やはりNannorrhopsも一回結実性で、花が咲けばその幹は枯れる(ひこばえは出るので、株全体が枯れしまうというわけではない)という。浅学な私は、このような形態のヤシ類は(あるのかも知れないが)他に知らない。


成長の記録 (↑新しい記事↓古い記事)
2023.12.31
成長の遅さは相変わらずだが、ジワジワと成長する。冬季ハウスの中が一番良く出来る。
2022.10.08
夏の間は、露地で雨ざらしにしていたが、強風で葉が傷みやすい。成長は相変わらずゆっくり。
2022.01.14
5か月経っても葉が1枚出るだけという成長の遅さ。
2021.08.08
入手。店舗でかなり長い間置かれていたものらしく店舗疲れしている株(売れ残り?)。根の状態は悪くなくかなり回っていたので植え替え。