チリの珍花を夢見て
アリストロキア・チレンシス
Aristolochia chilensis


花 2013.9.2

花 2013.9.2
ウマノスズクサ科
チリ・アカマタ砂漠原産

 地面を匍匐するツル性で、葉は扇状、白の模様が入ってキレイです。根は直根がやや太りますが、コーデックスというほどではありません。花は非常に奇妙で、何と言うか珍花です。園芸植物として見ても十分な鑑賞価値がありながら、まったく普及していないし、わが国での栽培例もあまり見当たらないような状況です。

 花の奇妙さに魅かれて、2012年8月に種子から育ててみました。一口で言うと、かなり気難しい植物です。けれど、いろいろ試して、2013年9月やっと開花まで漕ぎ付けました。
 種子からの発芽は、種子が新鮮なこともあって大して難しくなく、発芽率も悪くありません。
 ただ、成長するにしたがって、弱ったり枯れるものがでてきたり、徒長したり、とにかく気難しい植物です。栽培上どこに問題があるのか分かりませんでした。
 原産地はかなりの乾燥地ですが、多肉植物に使うようなガラガラの土でも逆に調子が落ちる。パワー土にしてもしばらくは調子がいいのですが、また調子が落ちる。感覚からいうと、乾燥しすぎてもダメ、また、こういった植物にありがちな暑いのは苦手なような感じです。
 日照についても、不足するとてきめんにモヤシ状態になります。

 育ちが悪いのに業を煮やして、枯れてもいいや!大地のパゥワーにすがるしかない!と2013年の春先に思い切ってハウス(サボテン・多肉植物用)内に地植えにしてみました
 すると、何ということでしょう!なかなか元気よく育つではないでしょうか。
 2013年8月の終わりには、最も長いツルは1.5mに達し、そこに蕾が出ているのを確認し、2013年9月に初開花しました。
 原産地での花期ははっきりしませんが、ネット上に9月撮影の花画像データがあったので、冬季を越えてからの春咲き(南半球なので)かと思っていました。けれど、うちでは9月でしたので、ひょっとしたらある程度のサイズになれば、非常に寒い時期・非常に暑い時期を除いて随時咲くのではないかとも思われます。

 いろいろ考えた結果、この植物の栽培上の問題点は、
地温が高いのを嫌う→鉢植えでは鉢内温度が高くなりすぎる。
根は直根でかなり深い(ひょっとしたら原産地では常湿の地層に達しているのではないか)→鉢植えでは実現できない。
ではないかと思われます。ただ、実際のところそうなのかは分かりませんが。
 夏季の気温が高いのは、地植えしても嫌うようで、枯れはしませんが夏はあまり調子がのりません。
 日照についても、アカマタ砂漠の太陽の下で生きている植物なんでしょう、全日日照があり、直射日光~30%遮光ぐらいがどうしても必要です。
 最低温度は、鉢植え乾燥した状態で5℃で越冬できているのは確認していますが、それ以下はよくわかりません。この地植え場所は地温はおそらく5℃ぐらいでしょう。ここでの越冬は初めてになるので、結果が興味深いです。
 はっきりいって、鉢植えでの栽培は断念しました。鉢植えは、いつ枯れるか分からないモヤシになるだけで、私の技術、環境では開花までは無理です
 病害虫としては、風通しの悪い場所ではオンシツコナジラミ、ウマノスズクサ科を食害するチョウの幼虫が発生しました。

 わが国での開花例をネットで探して見ましたが、実生したよという記事があっても開花までしたよという記事が見当たらない・・・実生したよという記事があっても、それ以降が見当たらない(現在生きているのか枯れているのかもはっきりしない。)・・・もし、このサイトに来訪した方で、どこかのサイトでわが国での開花例を見たよということなら教えてくれませんか?
 誰もわが国での開花例を見つけられなければ、
私のところのものが、わが国での初開花である
ということにしておきます。(マジにとらないように)

 まあ、とにかく開花まで漕ぎ着けたのならまあまあでしょうね。ただ、原産地では砂に埋まりながら、よく締まったなかなかの叢生となっていますが、そういった姿になるのはとても難しいことだと思います。

成長の記録 (↑新しい記事↓古い記事)
掘りあげてみた
2020.01.14
事情があり、掘り上げて大鉢植えとしてみました。根がかなり切れましたが活着するでしょうか。

2015年春
2015.05.04
3年目ともなるとかなり安定して育ちます。ツルもかなり方々に伸ばすので、はっきりいってジャマになってきますね。

いぢりたくなる可愛さ 2013.9.2

伸びる 2013.7.8

蕾 2013.8.31

根元 2014.12.15
2013.09.02~
ハウス内地植えの状態

地植えにより素敵な新葉
2013.06.03
ハウス内地植えへ

実生幼苗
2012.11.10
実生幼苗