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温室・ハウス暖房機いろいろ
 さて、ここまでくれば、あなたの温室、ハウスを目標最低温度にするに必要な熱出力が分かったと思う。やっとぴったりの暖房機を選べるということになる。
 暖房機について考えるとき、どんな暖房機があるのか、そしてその暖房機の熱出力がどのくらいあるか、使用上の留意点は何かが重要であろう。ここでは、私が過去から現在までに使用したことがある暖房機についてまとめた。特に熱出力は、特に重要でありながら、多くの場合、暖房機によりさまざまな単位で記載されて、比較検討が難しい。このため、ここではkcal/hの単位に換算し統一して記載する。

 文中の熱出力の換算は、
主に灯油暖房機で使用されるkW/hからkcal/hへの換算は、kW/h×857=kcal/h。
主に電気暖房機で使用される電力Wからのkcal/h換算は、1W=857cal/h(100%熱エネルギーに変わる(COP=1)と想定して、電力(W)÷4.2×3600(秒)÷1000=kcal/h)
としている。
 以下、テキストボックスにそれぞれの数値を入れて「=」ボタンを押下すると、右に換算結果が表示される。
【kW/hからkcal/hへ換算(主に灯油暖房機で使用)】
kW/h kcal/h
【電力Wからcal/hとkcal/hへ換算(主に電気暖房機で使用)】
W cal/h = kcal/h


温室・ハウス暖房機熱出力ランキング
順位 機種 熱出力 実売価格
13 ひよこ電球(保温電球)20W 電気 17kcal/h 1,000円~3,000円前後
12 ひよこ電球(保温電球)40W 電気 34kcal/h
11 ひよこ電球(保温電球)60W 電気 51kcal/h
10 ひよこ電球(保温電球)100W 電気 86kcal/h
昭和精機工業:NS-200 電気 171kcal/h 12,000円前後
総和工業:SF-193A 電気 171kcal/h 10,000円前後
グリーンライフ:DTR-2(暖太郎) 灯油 400~500kcal/h 8,000円前後
総和工業:SF-1008A 電気 429kcal/h(500W)
857kcal/h(1000W)
18,000円前後
日本船橙:YK-2 灯油 1,700~2,000kcal/h 18,000円前後
ホムセン安売り家庭用反射式小型灯油ストーブ 灯油 2,056kcal/h 6,000円前後
ダイニチ/ピカコーポレーション:RA-327 灯油+電気 2,742kcal/h 110,000円前後
*外付けタンク込み
総和工業:SP-527A 灯油+電気 5,000kcal/h 200,000円~300,000円
*設置費・付属品込み
総和工業:SP-1210A 灯油+電気 9,000kcal/h 300,000円~400,000円
*設置費・付属品込み
*電熱線はW(長さ)により熱出力が変わるので、ランキングには含まない。
*これ以上の熱出力の暖房機は農業用ハウス暖房機になるので、ランキングには含まない。


番外:ロウソク

 冗談のようだが本当の話で、農業用ロウソクというものが存在する。夜間に農作業をするための明かりにするわけではない。けれど、暖房というにはあまりにもつたないので、空気を循環する防霜用と考えていいだろう。
 出力ははっきりしないが、炎の大きさから推定するに10~13kcal/hくらいだろうと思う。
 もちろん、狭い空間なら多少は暖められると思うが、狭い空間でロウソクを点灯すれば、まず火災につながる。たくさん点せばひょっとしたら、おどろおどろしいヲサレ空間が演出できるかもしれない。
 熱出力の少なさから、このページの趣旨とは異なるのでこれ以上は記載しない。


電源不要の灯油暖房機
 電源が不要なので、電源がないところでも使用できるし、停電時にも利用できる。ランニングコストも安い。
 問題は、温度の自動制御ができないので、手作業で夜点灯し朝消灯するという手間が必要であるし、火力の調整も、給油も必要だということで、生活が不規則で忙しい人や、めんどくさがりや、忘れっぽい人、寝起きの悪い人、気分が極端に変わる人には難しいかもしれない。
 なお、ここに挙げた灯油暖房機は、すべて芯式である。芯は消耗品なので必要に応じて交換しなければならない(意外に面倒。
 灯油暖房機は、燃焼により温室・ハウス内を暖めるのであるが、燃焼には酸素が必要になる。よって、温室・ハウスをあまりにも密閉すると、不完全燃焼により燃焼効率が悪くなるとともに、一酸化炭素が発生し温室・ハウスに入った人間に一酸化炭素中毒が起きる可能性もあるので注意が必要。ハウスの中で倒れてた・・・では冗談にもならない。なお、一酸化炭素中毒は、血液のヘモグロビンとの関係で起きるもので、温室・ハウス内が酸素欠乏とならなければ、血液のない植物には影響はない。

グリーンライフ:DTR-2(暖太郎)
 芯は55mm一文字。点火はライター等。
 出力ははっきりしないが、芯のサイズから推定するに400~500kcal/hくらいだろうと思う。防霜用農業用ロウソク40本程度とか聞く。タンク容量は4L。
 実際は、温室内の空気を循環し、霜や凍結を防ぐといったもので、加温するというにはあまりにも出力が少ないので、小規模な温室・ハウスだったり、霜や凍結を防げれば十分といった場合に利用するとよい。
 出力が弱いだけあって、灯油の消費量はかなり少なく、夜間のみ点灯するとして、5~6日は給油がいらない。火力(熱出力)の調整はできない。
 構造的に非常に単純。このため、故障がおきにくくとてもよい。ただ、本体と筒をつなぐ蝶番がやや弱く、乱暴に扱って歪めたりすると不完全燃焼が起きるので注意。

 実売価格は、一番安いところで8,000円前後。
日本船橙:YK-2
 芯は円。280mm。点火はライター等。
 出力は1,700~2,000kcal/h。これは、kW/hに換算すると1.9~2.3kW/hになるので、家庭用の小~中型の灯油ストーブに相当する。「暖太郎」の4台相当。タンク容量は5L。火力(出力)の調整は、芯の出しろによる。
 灯油は、火力をもっとも絞った状態で、夜間のみ点灯するとして、3日。最も強い火力なら、2日程度でタンクは空になると思う。
 家庭用小型安売り灯油ストーブの方が安い(6,000円前後)のになぜ使うかというと、給油タンクが大きい、火力(出力)の調整がしやすい、反射板がない、からであるが、その説明は「家庭用小型灯油ストーブ」に記述する。
 構造的に非常に単純。このため、故障がおきにくくとてもよい。

 実売価格は、一番安いところで18,000円前後。
ホムセン安売り家庭用反射式小型灯油ストーブ
 芯は円。写真のもので220mm程度。点火は、電池を電源とする点火ヒータがついているのであるが、環境的に電池が腐食しやすいので、点火はライター等になると思う。
出力は写真のものの仕様上の表記は2.4kW/h、これはkcal/hに換算すると、2,056kcal/hになる。タンク容量は3.2L。火力(出力)の調整は、芯の出しろによる。
 タンクが小さいために、灯油は、火力を最も絞った状態で、夜間のみ点灯するとして、2日。最も強い火力なら、1日程度でタンクは空になると思う。
 家庭用ストーブを園芸用に使うのは、環境的な耐久性に問題があるのだろうけど、それについては脇に置いて、比較のために挙げる。
 家庭用反射式ストーブの園芸利用上の問題は、いろいろある。
 まずは、給油タンクはカセット型で容量が小さいということであろう。このため、頻繁に給油しなければならないのでかなり手間がかかる。
 火力の調整がレバーのものが多く、かなり微妙な操作が必要になる。
 写真のような反射式が安売り品として小型で一般的であるが、前面にばかり熱が集中するので置き場所に注意しなければならない。
 その他、家庭用には、対流式というのもあるが、上記欠点はないが、大型のものが多く高価である。
 家庭用灯油ストーブの構造はやや複雑、なのでまあ耐久性には問題が出てくるかもしれない。少なくとも、目的外利用なので保証はない。

実売価格は、6,000円前後。

電気を使う暖房機
 電気のエネルギーを電熱線により直接熱に変換しているものがほとんど。電熱線にファンを組み合わせている製品も多い。
 サーモスタット(温度センサー)が利用できるので、温度管理はほぼ自動的。
 ただ、灯油暖房機に比較すれば熱出力は低いので、小規模温室・ハウス向け。
 暖めるという機能に着目した場合、こういった電気のエネルギーを直接熱に変換する(COP=1)ものよりも、実際は、今どきのエアコンの暖房(COP=4~5)の方が電気の消費量が少ない場合も考えられる。ただ、エアコンはそもそも高価で、室内での利用が前提であって、温室・ハウスのような場所で利用すれば・・・耐久性(特に電子回路)の問題が出てくるので、コスト全体から考えれば高くつく可能性が高い。農業用ヒートポンプもあるがそもそも高額。また、基本的にエアコンやヒートポンプは熱交換や動作の原理から0℃以下になる寒冷地や断熱性のない温室・ハウスではあまり役に立たない。

ひよこ電球(保温電球)
 40~30年前は、暖房といえば、ひよこ電球であった。電熱線をガラス球で被ったもの。接触を避けるためにその上にカバーが付いたものもある。
 20W、40W、60W、100W等のものがある。100%の効率で電力が熱に変換されるとして、20Wは17kcal/h、40Wは34kcal/h、60Wは51kcal/h、100Wは86kcal/hくらい。
 出力がかなり少なく、局所的なので、室内の小さな小動物のケースを保温するといったイメージ。
 ひよこ電球の怖さは、点灯中の水掛りや接触で、破裂、火災を招く可能性があり、現在では園芸用ではあまり使われていない。

 実売価格は、1,000円前後。カバー付は3,000円前後
総和工業:SF-193A
 温室暖房機のトップメーカー総和工業の室内温室向けの温風暖房機。電熱線とファンを組み合わせたもので、温度センサーを内臓している。
 電力は200W。出力は、100%の効率で電力が熱に変換されるとして、171kcal/h
 出力が少ないので、やはり室内温室向けである。最低室温5℃程度の一般家屋の中に設置された室内温室であれば、15~20℃くらいには、これ1台で十分加温できる。
 ただ、内臓温度センサーは、かなり不正確で、別のサーモスタットを組み合わせて使用している。

 なお、とても誤解している人が多いので、ここで書いておくが、「室内温室」は温度変化の少ない一般家屋の室内で使用するためのものであり、屋外に設置するものではない。室内温室は容積(体積)が少ないために、屋外に設置すれば、日光が当たる昼間は灼熱地獄、内張りもできず、ほとんど保温効果はないので夜間は極寒地獄になる。詳細は、当ページ末尾の「余談:温室・ハウスは大きい方が保温性がよいのか?」を参照のこと。
 ついでに、室内温室は内部の温度差が非常に大きく、最上段の天に近い部分と、最下段底に近い部分は10℃くらい温度差があっても不思議ではないので注意。
 室内温室での設置場所は、最下段に置くか、吊るす。

 実売価格は、10,000円前後。
総和工業:SF-1008DT 後継機種:SF-1008A
 温室暖房機のトップメーカー総和工業の温室向けの温風暖房機。電熱線とファンを組み合わせたもので、温度センサーを内臓している。
 電力は500Wと1000Wを切り替えができる。出力は、100%の効率で電力が熱に変換されるとして、500Wのときは、429kcal/h、1000Wのときは、857kcal/h
 温室での設置場所は、最下段に横置きか、吊るしてビニールダクト(ポリダクト)で床面に送風する。
 それにしても1000Wで、この程度の熱出力なのかと思う。
 なお、1000Wは、電子レンジの消費電力と同じくらい。つまり、動作している間は、電子レンジを使っているくらいのもの。

 実売価格は、18,000円前後。
電熱線・電熱線マット
 電熱線・電熱線マット等は、電熱線の長さにより熱出力(消費電力)が変わり、100%の効率で電力が熱に変換されるとして電力Wから熱出力を換算できる。
 以下以外のものは、このページの上の方にある、熱出力換算を使用されたい。

 150W=129kcal/h
 500W=429kcal/h
 1,000W=857kcal/h

その他
 以上の外、以下のようなものがある。

【園芸用ヒーター】
 昭和精機工業の「NS-200」等がある。これは、ファン等が付いていない自然対流まかせの暖房機で、出力は、100%の効率で電力が熱に変換されるとして、171kcal/h
 実売価格は、サーモ付きで12,000円前後。

【農業用ヒートポンプ】
 要するに農業用のエアコン。冷暖房可能だが、ほとんど大型で家庭園芸には向かない。本体価格、付属品価格、設置費合計は、機種によっていろいろだが自動車1台分ぐらいから。


サーモスタット(温度センサ)について
 通常、電気を使う暖房機には、温度のコントロールができるように、サーモスタット(温度センサ)が内蔵されているか、付属している。ところが、内蔵のものはしばしば不正確であったり、早く故障したりする。また、内蔵のものは、センサ部分(プローブ)まで内蔵している場合は、室内の温度差を加味できない。サーモスタット(温度センサ)が故障したとき、暖房器本体を買い直すのもバカバカしい。そういう場合、別途サーモスタット(温度センサ)を購入し接続するとよい。
 サーモスタット(温度センサ)には様々なものがあるが、電子回路を用いたものは、一般家屋の室内利用が前提であって温室内等の高温多湿の場所で使用すると早く故障しがちだ。「安物買いの銭失い」にならないように、原理ができるだけ単純で、高温多湿の場所でも耐えられる農業用として定評があるものを使用することが望ましい。
 私はよく利用するものは、「農電サーモ(右写真参照)」と呼ばれるもので、値段は安くはないが、歴史は古く農業用として定評がある。とんでもないことをしない限り、だいたい購入して10年以上は問題なく使える。
 なお、電子回路の入ってる本体自体を温室内でなく一般家屋の室内に設置して、センサ部分(プローブ、コーティングされていること)だけ温室内に設置することができるのなら、電子式のサーモスタットや自作の温度センサ回路によるリレー駆動ユニット(暖房器具を接続する場合、リレーの接点容量には十分注意する。)でも問題ないだろう。
灯油を使い電気で制御する暖房機
 灯油を燃料とするものであるが、サーモスタットと電磁弁で灯油の供給を制御することにより、温度のコントロールを可能としたもの。このため電源は必要である。

総和工業:SP-527 後継機種:SP-527A
 温室暖房機のトップメーカー総和工業の温室向けの温風暖房機。燃焼方法は芯式ではなく、ポット式で芯の交換が不要(清掃の手間は必要)。
 熱出力は、5,000Kcal/h
 非常に堅牢で、毎年掃除をして、たまの部品交換程度で、だいたい20年程度使っている。非常に高価なものであるが、20年も使えるものであれば、結局のところ安上がりになる。
 素人が設置するのは、まず無理なので、設置費は別に考えたほうがよい。

 本体価格、付属品価格、設置費合計は、200,000円~300,000円ぐらい。
その他
以上の外、以下のようなものがある。どれも温度の制御ができる。

【家庭用石油ファンヒーター】
 家庭用石油ファンヒーターの流用は、目的外使用(耐久性等)になり、保証もない。また、3時間程度の自動消火機能があるので使えない、タンクが小さくて給油が面倒、熱風を火災に注意しつつどう処理するか等の問題がある。出力は、小型の2,100kcal/h程度から大型まで様々。
 価格はホムセン安売りで10,000円切れるくらいから。

【園芸用石油ファンヒーター】
 さまざまなサイズがある家庭用石油ファンヒーターと違ってやや大型。外付けタンクが接続できるので、給油のめんどくささは少ない。温度による自動点火、消火機能もある(家庭用は点火したら火力が弱るだけで消火しない。時間がきて自動消火したら終わり。)、とにかく高い(家庭用の10倍)のだが、それだけの価値はあるかも知れない。熱風を火災に注意しつつどう処理するか等の問題は、家庭用と同じ。出力は以下。
ダイニチ/ピカコーポレーション:RA-327 最大2,742kcal/h
 価格はホムセン安売り石油ファンヒーターの10倍近く、本体価格、外付けタンク価格込みで110,000円切れるくらいから。

【総和工業:SP-1210A】
 出力は、9,000kcal/h
 本体価格、付属品価格、設置費合計は、300,000円~400,000円ぐらい。

【農業用ハウス暖房機】
 家庭園芸の範疇からは外れるが、この仕組みでさらに熱出力が大きいものは農業用のハウス暖房機になる。 出力は、機種によっていろいろだが20,000kcal/hから200,000kcal/hくらいまで。
 本体価格、付属品価格、設置費合計は、機種によっていろいろだが数十万円から高級自動車1台分ぐらい。


灯油消費量計算
 灯油を使った場合、灯油代がいくらかかるかというのは、ちょっと気になるかもしれない。ので、灯油の消費量を計算してみよう。
 灯油の燃焼発熱量は、灯油暖房機の効率により若干の違いはあるものの、燃焼させて熱エネルギーに変換させるということでは同じなので、大体どれでも8,500kcal/L前後になる。細かく知りたければ、暖房器具の仕様を見れば消費量は記載されているのでそれを参考にすればよい。
 ここに熱出力2,000kcal/hの灯油による暖房器具があり熱出力は常に一定とする。この場合、前述の燃焼発熱量から計算すると1時間に約0.235L消費するということになる。
 真冬に夜10時から朝7時まで点火するとして9時間燃焼/日で、1日の消費量は約2.12Lになる。毎日点火するとして1か月30日間で、約64L。灯油のL当り小売価格は地域やガソリンスタンドや時期によって違うが、90円とすると、5,832円となる。
 火力が強くなったり弱くなったり、着いたり消えたりする制御付の暖房器具の場合は、熱出力・灯油消費量は変化するので計算しようがないが、最大熱出力以下であるのは間違いないので、最大出力で計算し、それがMAXと考えたらいいだろう。
【灯油消費量の計算】
暖房機の熱出力:kcal/h
1日の平均燃焼時間数:時間(h)
1月の燃焼日数:
灯油単価:円/L

1時間の灯油消費量:
1日の灯油消費量:
1か月の灯油消費量:L(四捨五入)
1か月の灯油代:
 

余談:温室・ハウスは大きい方が保温性がよいのか?
 温室・ハウスから逃げる熱は、温室・ハウスの表面積に比例する。大気に触れる表面積が広ければ広いほど熱は逃げていく。それなら大きい方が冷えやすいのではないかと考えられるが、一方で、温室・ハウスに蓄えられる熱は、温室・ハウスの体積に比例する。体積が広ければ広いほど蓄熱量は増えると考えられる。
 なお、これは同じ条件において温室・ハウスの大きさの違いを考えたものであり、小さくてもしっかり保温している温室・ハウスと、いい加減な大きい温室・ハウスとを比較したものではないことをお断りしておく。
 ここで、間口1m(x)で奥行き1m(y)の温室Aと間口1m(x)で奥行き10m(y)の温室Bがあるとする。どちらも高さは2m(h)とする。計算が面倒なので温室は長方形とする。
○体積(m=x×y×h)
 温室A:2m
 温室B:20m(Aの10倍)
○大気に触れる(底面を含まない)表面積(m=2(x×h)+2(y×h)+(x×y))
 温室A:9m
 温室B:54m(Aの6倍)
 体積はBはAの10倍あるが、表面積は6倍に過ぎない。
 さらに温室Cとしてもっと大きい温室を考える。間口4m(x)で奥行き10m(y)にしよう。
○体積(m=x×y×h)
 温室C:80m(Aの40倍)
○大気に触れる(底面を含まない)表面積(m=2(x×h)+2(y×h)+(x×y))
 温室C:96m(Aの11倍)
 体積はAのなんと40倍になったのだが、表面積はたった11倍程度にしかならない。
 つまり、温室・ハウスは大きければ大きいほど体積の割りに表面積が少なく保温性が高いと考えていいだろう。大きい温室は、温まりにくく冷めにくい、一方で小さい温室は、温まりやすく冷めやすいということになる。室内温室を外に置けば、体積の割りに表面積が多いため、昼間は灼熱地獄、冬季夜は極寒地獄になるということが分かると思う。