オペルクリカリアは、マダガスカルに自生する高さ数m足らずの樽状樹。乾季には樽状の幹、枝で過ごし、雨季が来ると葉を展開し成長する。
 オペルクリカリア属は、マダガスカル固有属。
 このページは、ぱんさの栽培する多肉植物から、オペルクリカリア属の植物をまとめています。
 
オペルクリカリア属
Operculicarya
Operculicarya decaryiの仕立て方が直幹のもの
Operculicarya decaryii


Operculicarya decaryiの葉

オペルクリカリア・デカリー
Operculicarya decaryi

 マダガスカル原産(固有種)。南部の石灰岩地に自生。

 成樹は数mの樽状樹。葉は、羽状複葉、サンショの葉に似る。
 若樹の幹は細いが、地下の直根は肥大する。
 濃赤色の花。
 成長期は、梅雨等長雨の時期は除いて屋外雨ざらしで栽培できる。成長期には、やたら枝を伸ばしだらしなくなるので、剪定整理する必要がある。

 Operculicarya decaryiの仕立てで最も自然で美しいのは、1枚目写真のような直幹仕立てであろう。この株は、私が根挿しして作った小株から仕立てたもので、地上部高さ1.4m位。

Operculicarya pachypus


Operculicarya pachypusの葉

Operculicarya pachypusの花

オペルクリカリア・パキプス
Operculicarya pachypus

 マダガスカル原産(固有種)。南部のトリアラ付近に自生。

 成樹は1m前後の樽状樹。葉は、羽状複葉、サンショの葉に似る。
 栽培品においては、外見上オペルクリカリア・デカリー(Operculicarya pachypus)との区別は慣れないと難しい。自生地では、パキプスの方がどちらかというと小型。明確な違いは花で、パキプスは、黄緑色の花。気の長い話になるが、花が咲けば区別はつく。葉の形状もやや違うので右写真を参考に区別するといいだろう。
 枝を剪定すると、ヒノキ臭というべきかかなり良い匂いがする(人によって好みはある。)。
 栽培は、難しくない。成長期には、やたら枝を伸ばしだらしなくなるので、剪定整理する必要がある。
 この植物は、不定芽は出るが、不定根はでない。つまり、根の部分がまったくない達磨のような輸入株はほとんど発根せず枯れる。また、その部分が付いていてもそこが死んでいる株も同じこと。最近の輸入株は採取がかなり雑なためか、そういった達磨株が多いらしい。10本あっても、活着するのは1、2本と聞く。絶滅寸前の自生地を荒らして回って、結果はこれでは哀れなものだ。


Operculicarya borealis

Operculicarya borealisといわれるものの芽先
Operculicarya borealisといわれるものの葉の裏面

オペルクリカリア・ボレアリス
Operculicarya borealis

 マダガスカル原産(固有種)。北東部のアンツィラナナ州北部に自生。

 1995年に記載された本種は、比較的発見が新しい植物。マダガスカルでも最も気温の高い北東部、アンツィラナナ州北部の乾燥した気候の地域と湿潤な気候の地域の境界あたりが自生地である。
 典型的なボトルツリーになるオペルクルカリア属他種とは異なり、幹がそれほど肥大する訳でもなく、樹姿としては日本の庭木と大して変わらない。高さは3m程度の低木で、大株であっても根元の直径は20cm程度とされる。コーデックスを集めて悦に入る人たちにとっては、あまり魅力的とは言い難い。
 本種の名前の植物は比較的流通するものの、違う植物が本種の名前で流通していることがある。よく見るものでは、どう見ても「Operculicarya decaryi」が、本種の名前で流通している。それは、本種がマイナーな故に、本種がどういうものか、あまり知られていないからだと思う。

 左の写真の植物は、「Operculicarya borealis」とされている植物である。
 「Operculicarya borealis」の特徴は以下の通りである。
 「丸みを帯びた小さな楕円形~わずかに倒卵形の葉、微突頭の葉先端、絨毛から羊毛状の毛がある。葉の裏面の二次葉脈はやや盛り上がるが、それぞれの葉脈の間は明確な窪みにはならない。(*1) 」
 小葉の形は、「楕円形~わずかに倒卵形、微突頭の葉先端」であり、写真の植物を見ると、まあそうかなと思える。オペルクルカリア属他種と比較しての大きな違いは「絨毛から羊毛状の毛がある」というところであろう。「Operculicarya decaryi」も「Operculicarya pachypus」も、葉も芽先は艶々としていて、毛は見当たらない。写真の植物には、「毛」が存在する。これが本物の「Operculicarya borealis」と考えてよいだろう。

【参考:植物の葉の形の呼び方】

【参考:植物の葉の先端の形の呼び方】

(*1) It can be distinguished from other members of the genus by its small elliptic to slightly obovate leaves with a rounded, mucronate apex,villous to lanate indument, and secondary venation on the lower surface that is moderately raised but does not form distinct cavities between the individual veins. (A.Randrianasolo & P.P.Lowry, 2006)