アフリカ、マダガスカルに自生する塊茎・塊根性のブドウ科植物。雨季が来ると葉を展開し成長する。
 キフォステンマ・エレファントプス、キフォステンマ・ラザがマダガスカル固有の有名種。
 
キフォステンマ属
Cyphostemma

Cyphostemma lazaの葉

Cyphostemma lazaの塊茎

キフォステンマ・ラザ
Cyphostemma laza

 マダガスカル原産(固有種)。

 紡錘形の塊茎からつるを伸ばす。塊茎は成長につれて薄皮がぺろぺろと剥けてくる
 湯浅博士(進化生物学研究所)によると、マダガスカル原住民のアンタンドロイ族は、この植物を魔力のある植物と信じ、元気よく育つと一族が繁栄し、枯れると一族に不幸が訪れるとしている。
 魔力は、そこらに売っている「幸福の木(ドラセナ・マッサンゲアーナ)」の比ではないので、栽培する気なら、なんとしても枯らさないようにしなければならない・・



Cyphostemma elephantopusの葉

Cyphostemma elephantopusの塊茎

キフォステンマ・エレファントプス
Cyphostemma elephantopus

 マダガスカル原産(固有種)。

 大きく扁平な塊根に茎を立てる。地上部はつる状。



キフォステンマ sp
Cyphostemma sp.

 マダガスカル原産(固有種)。

 海外で「Cyphostemma elephantopus」として流通するものであり、輸入種子からもこれが出ることがある。
 葉は細長く厚みがあり、塊茎はコマ形。「Cyphostemma elephantopus」の模式標本は、前種を示すので、これは「Cyphostemma elephantopus」とは考えられない。「Cyphostemma montagnacii」かもしれない。

Cyphostemma laza var. parvifoliumの葉

Cyphostemma laza var. parvifoliumの塊茎

キフォステンマ・ラザ・パルヴィフォリウム
Cyphostemma laza var. parvifolium

 マダガスカル原産(固有種)。

 某所で「Cyphostemma pachypus」となっているもの。前述の「Cyphostemma pachypus」とはまったく異なるので、「Cyphostemma pachypus」ではない。おそらく「Cyphostemma laza var. parvifolium」。
 丸い塊茎からつるを伸ばす。塊茎は成長につれて薄皮がぺろぺろと剥けてくる。



キフォステンマ・サカラベンセ
Cyphostemma sakalavense
=キフォステンマ・サカラバ
Cyphostemma sakalava

 マダガスカル原産(固有種)。アンツィラナナ州アンツィラナナ~マジュンガ州マハジャンガ

 紡錘形の幹をもち、幹は成長につれて薄皮がぺろぺろと剥けてくる。葉は同系のCyphostemma lazaと比較してもかなり大きい。若木の頃はツルらしいツルは持たないが、成株ではツルに変化する。
 寒さに弱いので注意が必要。

Cyphostemma pachypusの葉

Cyphostemma pachypusの花

Cyphostemma pachypusの塊茎

キフォステンマ・パキプス
Cyphostemma pachypus

 マダガスカル原産(固有種)。アンツィラナナ州アンツィラナナ

 これが本物の「Cyphostemma pachypus」。丸い塊茎で表面はごつごつとして、ややひび割れが見られる。地上部はつる状。花は赤く目立ち萌芽に先駆けて咲く。
 寒さに弱いので注意が必要。

キフォステンマ・マッピア
Cyphostemma mappia

 モーリシャス島原産(固有種)。モーリシャス島はマダガスカル島の東に位置するマスカリン諸島のひとつ。マダガスカルから東へ900kmの位置にある。インド洋の貴婦人と呼ばれる美しい自然が残る島。

 本種は、自生地では、高さ10mに達する巨大な樽状樹。ブドウ科とは思えない美しい赤銅色の葉幅の狭い小葉の羽状複葉をもつが、この葉は幼樹の葉であり、成樹は、この葉から想像もできない幅広い小葉の羽状複葉(これもまたブドウ科と思えない)に変わる。
 余談だが、この葉はリクガメに食害されないよう、背の低い幼樹の内は、カメにとっては嗜好性の低い「不味そうな」形状に進化したものだという。その進化の原因となったモーリシャス島ネイティブのカメ(モーリシャスオオリクガメ Cylindraspis triserrata)は人間により1700年代には根絶やしにされてしまった。現在モーリシャス島にいるカメ(アルダブラゾウガメ Aldabrachelys gigantea)はセイシェル諸島からの人為的な外来種ということだ。
 栽培的には、高温期は非常に元気であるが、最低でも15℃を切ることがないモーリシャス原産であり、寒さに弱いと思われるので注意が必要。