マダガスカル乾性林・乾性有刺林  旧ディディエレア科は、マダガスカルのみにしか原産しない固有科で、マダガスカルの乾性林を特徴づける珍奇な植物。
 旧ディディエレア科は、サボテン科にもっとも近いとされている。多くの場合、この科の植物の特徴は、幹に成長(伸長)しない短枝がびっしりと着き、成長期にはその先端から葉を出すこと。
 このページは、ぱんさの栽培する多肉植物から、旧ディディエレア科の植物をまとめています。
 
 旧ディディエレア科の植物の栽培は、そんなに難しくなく、休眠期は灌水を控え、成長期には多灌水、多肥で栽培する(といっても限度はあるが。)。
 根がよく発達する植物が多いので、余裕のある鉢を用いるとよい。
 新梢には、コナカイガラムシが付きやすく、付くと成長が阻害されるので、粘液(カイガラムシの排泄物)が垂れているのを見つけたら早めに防除すること。
 基本的にコナカイガラムシの予防は至極簡単。コナカイガラムシは風と雨に弱いので、成長期には屋外の軒下などで健康的に育てるとほとんど発生しない。
 
 旧ディディエレア科の分類・種類、「旧ディディエレア科」の呼称についてはこちらを参照ください → 旧ディディエレア科の分類・種類
 
アルアウディア(アリュウアウディア、アローディア)属
Alluaudia
Alluaudia procera

Alluaudia procera

Alluaudia procera
(極秘)夏に露地に挿しておくと簡単に根付く

アルアウディア・プロケラ
Alluaudia procera

 マダガスカル原産(固有種)。南西部の乾性林に自生する。

 成樹は高さ20mに達する。成長期には、刺だらけの茎に小判型の葉を出す。
 「亜竜木(ありゅうぼく)」「二つ葉金棒(ふたつばかなぼう)」という和名が付けられている。

 普及種であり、成長旺盛で根もよく発達するので、重い用土を用い、成長期は屋外で雨ざらしで栽培してもかまわない。とにかく丈夫で気遣い無用な植物。
 本種の繁殖は簡単で、夏に剪定枝をすぐ(傷口を乾かさないこと!)露地(庭)に挿して放置しておけば1、2か月で簡単に根付くので、掘り上げて鉢植えとすればよい・・・のであるが、真面目に挿木している人に申し訳ないのでここだけの秘密にしておく。


Alluaudia ascendens
Alluaudia ascendens
アルアウディア・アスケンデンス
Alluaudia ascendens

 マダガスカル原産(固有種)。南西部の乾性林に自生する。

 成樹は高さ20mに達する。新梢には小判型の葉を出すが、プロケラAlluaudia proceraより太い刺だらけの茎からでる葉はハート型。
 「太二つ葉金棒(ふとふたつばかなぼう)」という和名が付けられている。
 「アスケンデンス(Alluaudia ascendens)」と「モンタグナッキ(Alluaudia montagnacii)」はよく似ているが、区別はしやすい。アスケンデンスは、モンタグナッキより刺が短く、刺の位置は雑然とする。また、新梢にはしっかりとした葉が付く。

Alluaudia montagnacii
Alluaudia montagnacii
Alluaudia montagnacii 新梢
アルアウディア・モンタグナッキ
Alluaudia montagnacii

 マダガスカル原産(固有種)。南西部のイタンプルのかなり限定された石灰岩台地に自生する。

 分岐はあまりせず成樹は高さ20mに達する。新梢には小判型の葉を出すが、Alluaudia proceraより太い刺だらけの茎からでる葉はややハート型。
 学名の呼び方の違いであるが「モンタニャッキィ」ともいう。
 「刺二つ葉金棒(とげふたつばかなぼう)」「刺長二つ葉金棒(とげながふたつばかなぼう)」という和名が付けられている。
 「アスケンデンス(Alluaudia ascendens)」と「モンタグナッキ(Alluaudia montagnacii)」はよく似ているが、区別はしやすい。モンタグナッキは、アスケンデンスより刺が強く、刺は整然と1列に並ぶ。また、新梢には極小さな葉が付くが、目立たないので刺だらけの枝だけが伸びるように見える。

Alluaudia comosa

Alluaudia comosa
新梢
アルアウディア・コモサ
Alluaudia comosa

 マダガスカル原産(固有種)。南西部の乾性林に自生する。

 成樹は高さ数mの潅木。新梢には小判型の葉を出す。細い刺だらけの茎からでる葉は、多くの場合小判型で1枚づつ。地際で分岐して茂る。
 「姫二つ葉金棒(ひめふたつばかなぼう)」「魔針地獄(ましんじごく)」という和名が付けられている。
 「コモサ(Alluaudia comosa)」と「フンベルティ(Alluaudia humbertii)」の区別は付きにくく、取り違えて流通することがある。(新梢ではない)茎から出る葉が、コモサは小判型で1枚、フンベルティはハート形(たまに小判型)で2枚一組かで区別する。
 栽培的には、フンベルティと比較するとやや気難しく、成長も速くない。

Alluaudia humbertii

Alluaudia humbertii
新梢

アルアウディア・フンベルティ
Alluaudia humbertii

 マダガスカル原産(固有種)。南西部の乾性林に自生する。

 成樹は高さ数mの潅木。新梢には小判型の葉を出す。細い刺だらけの茎からでる葉は小判型からハート型で2枚一組。
 地上はひょろひょろであるが、地中には縦長の塊根を作る場合があるので、大き目の鉢が必要。
 「細二つ葉金棒(ほそふたつばかなぼう)」「七賢人(しちけんじん)」「亜蝋木(あろうぼく)」という和名が付けられている。
 「コモサ(Alluaudia comosa)」と「フンベルティ(Alluaudia humbertii)」の区別は付きにくく、取り違えて流通することがある。(新梢ではない)茎から出る葉が、コモサは小判型で1枚、フンベルティはハート形(たまに小判型)で2枚一組かで区別する。

Alluaudia dumosa

Alluaudia dumosa

アルアウディア・ズモーサ
Alluaudia dumosa

 マダガスカル原産(固有種)。南西部の乾性林に自生する。

 これがアルアウディア属かと思うくらい、他の種とは異質な姿をしている。成樹は高さ数mの潅木。新梢には小さな葉を出すが、すぐに脱落する。ほとんど枝だけという奇怪な姿。人によっては面白くないと感じるかもしれない。
 根が発達するので、大きめの鉢に植えるとよい。