Pantha's Labyrinth
ぱんさのカニのいる生活
−半海生のカニの飼育−
海水への依存度
70〜90%
のカニ
 
はじめに・・・

 この飼育方法に該当するカニは、イソガニ(Hemigrapsus sanguineus)、ヒライソガニ(Gaetice depressus)、イシガニ(Charybdis japonica)等半海生のカニです。
 このタイプのカニは、生活圏が海水中ですが、時々水上にでてくることがあります。餌を食べるのも、排泄するのも海水中が多いため、海水を浄化するろ過設備が必須です。
 なお、このタイプのカニは、同じケースで複数匹は飼育できません。一匹が、脱皮をしてやわらかくなると、他のカニに食べられとても悲惨な状態になります。

飼育環境

◆海水

 このカニを飼育するためには「海水」が必要です。
 海が近くでない場合は、人工海水を利用します。今では、少し大きいホームセンターでも販売されている白い粉末状のものです。色々なメーカのものがあります。
 人工海水は、正しい規定量を真水(水道水のカルキを抜いたもの)に希釈し、十分に溶かして利用します。(多くの場合、真水10L当たり、350〜400gです。その製品の説明書をお読みください。)
 海水魚等を飼育している人は、この粉末の人工海水を「しお」と呼びますが、これは業界用語のようなもので、本当の塩と誤解しないで下さい。

◆飼育ケース

 飼育ケースにはプラ飼育ケースを利用します。水槽でもいいのですが、重たくて扱いにくいのでプラ飼育ケースがいいでしょう。
 ろ過装置をセットしなければならないので、最低Mサイズのケースは必要でしょう。できるだけ大きいものの方が、海水の汚れ方がゆっくりです。

 カニは、水中で食事をし、排泄も水中でします。ろ過装置がなければ、すぐに海水が汚れ、カニは死んでしまいます
 ろ過装置については、「ろ過装置による水の浄化原理」を必ずお読みください。
 ろ過装置には、いろいろなものがありますが、安価な金魚飼育に利用する投げ込み式のろ過装置(右写真)では、調子よく飼うのは難しいです。
 ろ過装置にはいろいろなものがありますが、このタイプのカニでは、陸部を作らなければならず、水位が低くならざるを得ないため、利用できるろ過装置の種類には制限があります。このため「底面ろ過装置」が向きます。

「底面ろ過装置」の設置方法


◆餌皿

 餌は、陸上にカニが上がってくるのなら、岩の上で与えた方が水の痛みが少なくなります
 陸上にカニが上がってこないのであれば、水中で与える必要がありますが、底面ろ過の場合、直接ろ材の上に餌を置くとろ材に沈み込みカニが食べられなくなりますので、餌皿を用意したほうがいいでしょう。餌皿は、浅いものならなんでもかまいません。水に浮くのはまずいので、陶器か二枚貝の貝殻を利用すると見た目がいいかもしれません。
 パワーフィルター等底面ろ過以外のろ過装置を使っていて、底砂を敷いていない、あるいは底砂が細かい場合は、そのまま餌をやっても問題ありません。
(餌皿については、「餌皿いろいろ」を参照ください。)


◆フタ

 カニが、逃げ出さないようにフタは必須です。
 飼育ケースの場合はセットになっているのでそのまま利用できますが、水槽の場合は、夏は通気、冬は保温が良い物を考えましょう。

(右写真はGEXの小動物用の水槽用のフタ(40cm水槽用のみ)で、しっかりしたつくりで愛用していますが、とても残念なことに生産中止となってしまいました・・・問屋に在庫があるかもしれませんので、欲しい方はホームセンターに注文してみてください。)

◆ヒーター


熱帯魚用ヒーター(サーモスタット内蔵)
黒いのはカニの火傷防止のヒーターカバー

シートヒーター
 この種類のカニは、最低15℃(南西諸島などサンゴ礁のカニであれば25℃)程度が必要です。
 水深があれば、熱帯魚用のヒーターが利用できます。サーモスタットを取り付けるのは面倒なので25℃定温のサーモ内臓の小型のヒータを利用するのが簡単です(左写真)。
   水深があまりない場合に、熱帯魚用のヒーターを利用すると、カニがヒーターを水上に押し出してしまった場合に、異常過熱し火事になるおそれもあります。この場合は、飼育ケースの下にシートヒーター(右写真)を敷く方法が一番よいと思います。

 
飼育管理

◆温度・湿度管理

 冬季を除いて、室内であれば温度管理は不要です。ただし、直射日光にあてるなどすれば、高温になりすぎるため、日陰にケースをおきます。またできるだけ風通しの良い場所がいいでしょう。
 冬季については、必要に応じてヒーターで加温します。通常の飼育ケースでは、上が網なので、冬季はタオルを被せるなどして、保温に努めましょう(電気料金の節約になります。)。

◆足し水

水位  海水は、どんどん蒸発していきます。同時に濃度が高くなってしまいます。このため、数日おきに水位を確認して、水位が低くなっていれば、最初の水位になるよう、カルキ抜きをした水道水を足します。これを「足し水」といいます。
 最初の水位は、底面ろ過装置の吐出管の半分のはずです(右図)。

◆水換え

水を抜いているところ  ろ過が正常に働いていれば、2か月くらいは水を替えなくてもかまいません。ただし、腐敗臭がするようであれば、ろ過がまともに機能していないことになります。この場合は、ろ過が正しくセットされているか、餌をやりすぎていないかチェックすべきです。正常に働いていれば、ほんの少し磯の臭いがするだけです。
 水換えは、海水中に蓄積される有機物、老廃物、不要な栄養塩を取り除くために行います。水換えは、全部を一度に換えないで、1/3程度がいいでしょう。カニなどの甲殻類は、水質が急変すると脱皮をします。水換えのたびに脱皮すると疲弊し弱ってしまう可能性があります。

  1. カニを取り出します。(水換え中に逃げ出されないように注意してください。)
  2. 陸部を作っている岩などを取り出します。これらは、水道水を強く当てて洗います。
  3. 飼育ケース壁面にコケ、塩などが着いている場合は、ウールマットなどでこすって外に出します(海水中に落とさないように。)。ろ材にコケが着いている場合は、表面だけを少し混ぜて、浮いてきたところをすくい出します。
  4. 海水を1/3程度抜きます。エアーチューブなどでサイホン現象を用いて抜けばいいでしょう。
    底面板の下にはかなりゴミが溜まるので、底面ろ過のパイプを抜いて、その穴からエアーチューブを入れて、サイホン現象を用いて底面板の下の水を抜けば、さらにいいでしょう。
  5. 岩などを戻し陸部を作ります。
  6. 新しい人工海水をそそぎます。水位は、底面ろ過装置の吐出管の半分です。
  7. カニを戻します。
 ろ材には、浄化バクテリアが付着しているので、むやみやたらにかき混ぜたり、取り出して水道水で洗ったりしてはいけません。

◆餌

 この種類のカニは、ほとんど動物性のものを食べます。
 脱皮の前後、冬季は餌を食べなくなりますが、そんなに心配する必要はありません。
 同じ餌ばかり与えると飽きて食べなくなる場合もあるので、種類を変えるのも必要です。
 なお、海水が古くなると、カニが弱って餌食いが悪くなります。その場合は、新鮮な海水に換えてみましょう。
 食べ残しは除いて、ケースが不潔にならないようにします。
 餌の与えすぎは、海水を著しく汚すので注意してください。特に、飼育ケースを設置して1か月間は、バクテリアの活動も弱くて海水を浄化する力がないため、餌は少なめを心がけてください。
 下表は、主な餌です。

キョーリン
ザリガニ・ヤドカリ・カニの餌

 ザリガニ・ヤドカリ・カニの餌と称して売っているものです。とても扱いやすいのですが、与え続けると飽きてしまう場合もあります。
【使用原料】
フィッシュミール、とうもろこし、糟糠類、小麦粉、大豆粕、グルテンミール、オキアミミール、魚油、消化酵素、ビール酵母、ガーリック、カロチノイド、アミノ酸、各種ビタミン、各種ミネラル、安定型ビタミンC
海水魚用人工餌
 海水魚用人工餌は、ほとんど食べます。
 陸上で餌を食べるカニはいいのですが、水中から出てこないカニは沈んだ餌しか食べられません。水に浮く餌や細粒やフレーク状の餌は食べにくく、そのままになると水も汚します。「沈下性」で中粒以上の大きさの餌がいいでしょう。
煮干
ジャコ
シラス

 煮干、ジャコ、シラスも食べます。着色剤、防腐剤、漂白剤等の無添加のものがいいです。
クリル
 クリルは、観賞魚の餌にする、アミエビをフリーズドライしたものです。
 開封するととにかく酸化が早く、頭が黒ずんできます。こうした、クリルを与えてはいけません。多少割高でも少量で乾燥剤同封の製品を使うべきです。
冷凍のシーフード
・アサリの剥き身
・イカ
・エビ等
魚の切り身
 嗜好性も高いのですが、食べ残しは飼育環境を激しく汚すので、食べ残したら傷む前にケースから出しましょう。
 当たり前のことですが、冷凍のものは、解凍してから与えてください。また、大きいままでなくカニがつまめる程度の大きさにしてください。

【添加物】
 冷凍シーフードミックスとして売られているほとんどのものに、「亜硝酸ナトリウム」「リン酸塩」等の添加物が多く加えられています。可能であれば、それらがないもの(あまりない)か、生の海産物を自分で冷凍して作るのがいいです。

ワカメ
・生ワカメ
・塩蔵ワカメ等
 イソガニやガザミの仲間は、主に動物食なので食べませんが、藻食もするカニ(オウギガニ)は食べます。塩蔵ワカメは水で塩を抜いてから与えてください。

◆飼育ケースの大掃除

−作成中−

◆脱皮

 脱皮には、カニが成長するために行なう自然脱皮と、水質の急変などで起きる不自然脱皮があります。
 自然脱皮の周期は、カニの種類、状態などによって違うので一概にいえません。ただ、若いカニは周期が短く、老成したカニは長くなります。多くの場合、年数回から1回程度です。
 脱皮は、命がけでかなりのエネルギーを必要とします。脱皮の結果は、良くも悪くもそれまでの飼育方法の結果になります
 自然脱皮前には、数日〜1週間程度餌を食べなくなります。脱皮は、水中で1晩かけて行います。脱皮後、数日〜1週間程度は、体が柔らかいので、神経質になります。それまでの状態がよく、若いカニであれば、大きさが1.5倍(体積では2倍以上!?)になります。老成したカニは、そこまでは大きくなりません。
 脱皮中は体が柔らかく無防備で弱い状態です。脱皮に失敗すると死ぬ場合があります。脱皮後は絶対に触らないようにしましょう。カニを複数飼いしているような場合、脱皮直後のカニは、他のカニにとって最高の餌以外のなにものでもありませんので、体が半分になって見つかることが多くあります。

 不自然脱皮の場合は、かなりカニに負担がかかるので、脱皮に成功したとしても、脚を一部失うなどの状況になる場合や、悪くすればそのまま死ぬ場合もあります。

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