動物の場合エサが足りなくなればエサの豊富な場所を探して移動することができますが、植物の場合は移動することができません。そのために自分の体をその状態に適応させてどうにか生きようとします。それでも対応しきれない場合は枯死が待っています。
ここでは、光の量を段階的に減らしていくと植物がどうなっていくかをまとめます。もちろん植物の種類によって違いはあります。
■強光から身を守る色素が抜ける
光を得るために、カロチン、キサントシアニンやアントシアニン等強光下で身を守るための色素が抜けていきます。このため、植物によっては、赤色、褐色、紫色等の色合いが薄くなり緑色に変わることがあります。園芸的にこうした「健康的な」色合いを鑑賞するものであれば、観賞価値が下がっていくと言えます。
■クロロフィルを葉表に移動させる、クロロフィルbを増やしてどうにか光を集めようとする
葉の中でのクロロフィルの分布が変化し、少ない光を集めるためにクロロフィルを光の当たる葉表近くに集めたり、集光吸収伝達の役目のあるクロロフィルbを増やします。このため、植物は深い青みのある緑色から、緑色、あるいは黄緑色へ変化するかもしれません。
■「徒長」が起きる
植物の茎が細くなり、ひょろひょろと茎節が間延びし始めます。葉はだらしなく広がったり細長く伸び、垂れ下がることがあります。これを「徒長」と呼びます。「徒長」は、光の方角に体を傾ける「屈性」と同様に、光の足りない悪環境から脱出しようとする(植物に意志はないでしょうから)生理的な反応といえるでしょう。弱光下では、植物ホルモンの「ジベレリン」が増えることが知られており、そういった植物ホルモンが、生長軸の方向への細胞伸長(細胞が増えるのではなくて、細胞が伸びる。)を促進しているのではないかと考えられます。
「徒長」の段階ではほぼ観賞価値はなくなりますが、異常さに気付かずに「すごく成長してる!」と喜ぶ人もいるかもしれません。
みんなの徒長写真集
Twitterのフォロワーさんからいただいた画像です。
徒長の主原因は光の不足ですが、水分量、養分量過剰で更に助長します。
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徒 長 す る と |
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*スライドショウはクリックで停止し、再度クリックで再開します。
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■クロロフィルが減少していく
末期には、新しいクロロフィルを作り出すためのエネルギーが足りなくなります。たとえ足りたとしても、被子植物ではクロロフィル自体を作るために光が必要なため、老化したクロロフィルに代わる新しいものが作れなくなり、クロロフィル数は減少していきます。植物は白っぽくなり、いわば「もやし」状態となります。
■エネルギー源を使い果たし枯死する
最終的には植物の中に蓄えられているエネルギー源を使い果たし枯死します。
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