ぱんさのサボテンランド

サボテン・多肉植物の露地植えについて
〜冬季最低温度−4℃の地方から〜

 


露地植えの基礎とサボテンの露地植え


露地植えと冬季の最低温度

 サボテン・多肉植物を露地植えにしたい。それは、サボテン・多肉植物が好きな人にとってあこがれかもしれません。
 冬季の「最低温度」が5℃程度の地方であれば、かなりのサボテン・多肉植物が露地植えにでき、良い成績で栽培することが可能になります。ただ、それは、かなり暖かいごく一部の地方だけであって、その他の土地では無理な話でしょう。
 多くの場合、「最低温度」は人間が熟睡している明け方に記録されるので、普通はあまり意識しておらず、昼間の気温から、自分のところは「暖かい」と、無知からくる大きな誤解をしている人が多いものです。まず、あなたの地方の最低温度を知ることから始めましょう。
 なお、東京都について「暖かい」という誤解をしている人が多いので書いておきますが、都心や23区内は非常に温暖ですが、少しでも離れると北関東、東北並みの気候となります。
 
気象庁・過去の過去の気象データ検索
あなたの住んでいる地方を指定して、「年ごとの値」メニューを選びます。過去10年程度の最低温度を見てください。
 
 −4℃を下回る地方では、サボテンの露地植えは非常に難しいと思います。このページでは、私のところとほぼ同様の気候の地域、−4℃程度を下回ることがない地方での露地植えにするための条件等を整理します。(なお我が家は「植物耐寒性ゾーン」の「9a」です。)
 一方、多肉植物はサボテンと異なり、分布が全世界に及びますので、さらに低温の地域でも露地植えが可能な種類がありますし、冬季よりも夏季に故障を起こす場合があります。それについては、当ページ末尾の次章「多肉植物の露地植え」を参照ください。
 

 

 

:我が家とほぼ同じくらいかそれ以上に温暖だろうと推測される地域(露地植えイケイケ地域)
:我が家よりやや低温だろうと推測される地域
:我が家よりかなり低温で絶望的かもしれないと推測される地域
 
露地植えと露地越冬


空き地(耕作放棄地)の片隅に露地植えされた大型宝剣
 「露地植え」と言った場合は、屋外の地面に直接植え込んであることを言います。「路地植え」と書く人がいますが、これは間違い。道端に植えてあることいいます。「露地越冬」といった場合、地植えでも鉢植えでも、屋外で越冬させることを言います。
 サボテンのいくつかの種類は、鉢植えであれば、屋外の玄関先などで越冬が可能です。ところが、露地植えとなるとうまくいかないという場合があります。
 それは、冬季に土壌を乾燥させるかことができるかどうかの違いと、吹きさらしの場所ではなく軒先など比較的温暖な場所にあるかの違いです。
 露地植えをする場合には、これらのポイントを理解して行う必要があります。

梅雨

 露地植えにおいては、冬季の問題のほかに、梅雨の問題があります。梅雨は、6月中旬ごろから1か月半程度、雨が降り続きます。
 この時期は冬季と違いサボテンの成長期でもあり、冬季よりも問題は少ないのですが、場合によっては。梅雨時にサボテンが根腐れを起す可能性もあります。
 これは、根が水浸しになるからというよりは、土壌の通気が悪いために根が窒息するからと考えています。よって、冬季の問題がクリアできれば、それほど影響はないでしょう。


露地植えの場所


マンション1Fの植え込みスペースに
露地植えされた花盛丸
 露地植えできるかどうかは、植える場所にも大きく影響されます。吹きさらしの場所では、とても無理でも、場所を選べば越冬がうまくできるという場合もあります。
 逆に温暖な地方であっても場所が悪ければ、越冬できずに腐死してしまうこともあります。

■冬季に乾燥する場所

 サボテンの自生地は、休眠期にはかなり低温(氷点下)になるところがたくさんあります。それだからといって、我が国の寒さに耐えられると、愚かな勘違いをしないでください。サボテンの自生地では、そういう季節は乾期でカラカラに乾いています。
 寒さに強いことと、露地植えで越冬できることとはイコールではありません。

寒さに強い ≠ 露地植えで越冬できる

 サボテンは、乾燥休眠状態にあるとき、かなりの耐寒性があります。鉢植えで露地越冬できるのは、鉢という狭い空間が上から下までカラカラに乾燥し、サボテンがうまく休眠状態にあるためです。一方で、露地植えで土がいつもジメジメと湿っている場合は、低温の影響をまともに受けます。まず根が枯死して腐り、腐りが幹の方に進入して、ついに全体が枯死します。

 したがって、雨、雪が直接当たらない軒先、軒下や、水はけのよい高い位置にある生垣の植え込みスペース、築山の斜面、高台、石垣の間など、乾燥しやすい場所が適地で、冬季は乾き気味にする必要があります。

 こういった場所がない場合は、ブロック・レンガ・オサレな花壇用囲みブロック等で囲って土止めした、地表よりも高い床の花壇、いわゆるレイズドベッド(下図)を作って露地植えスペースとするとよいでしょう。

 また、水はけの悪い粘土質の土壌の場合は、パーライト等の焼成用土、くん炭、有機物をすき込んで土壌改良をするといいでしょう。
 なお、日本海側では、気温的にさほど低くなくても冬季の降水量が多い地域があり、この場合はかなり難しいでしょう。

■建物の東、南側など寒風が直接当たらない場所

 建物の東側、南側など寒風が直接当たらない、陽だまりのような場所では、楽に越冬する可能性が高いです。逆に、建物の北側や、近くに高い山がある場合にその吹き降ろしがある方角に植えたのでは、失敗する可能性があります。


凍傷になった露地植え鬼面角

軽症だったために春に復活した鬼面角

露地植えの注意


一軒屋の庭先の草むらに露地植えされた単刺団扇
■根張りがないと、強健な種類や温暖な土地でも凍死する

 根張りは、越冬においてとても重要であり、夏の終わりに植えたり、秋に植えたりして十分に根張りがないと、越冬に失敗して枯死する可能性が高くなります。温暖な土地でも枯死する可能性があります。
 露地植えしようとすれば、必ず「春植え」にして、冬季までに十分な根張りを作っておく必要があります。

■大寒波は何年かに1度は訪れる

 冬季の最低温度は毎年同じではありません。昨年、無事に越冬できたからといって、今年も無事とは限りません。
 やはり安全のためには、予備株を作っておくほうが安心できます。

■防寒保護も必要

 冬季には、木枠を組んでビニールを掛ける、ビニールトンネルを作る、あるいは苗帽子を被せるといった簡単な防寒保護も安全のために必要かもしれません。保温効果はほとんどなくとも霜を避けるだけでも、越冬できるサボテンの幅は広がります
 数十年も経た、とても大きく立派な露地植えの鬼面角が、たまたまその年だけ防寒保護せず、寒波が来て、すべて枯れてしまったのを目にしたことがあります。面倒ではありますが、やはり安全のために、防寒保護する方が安心できます。

露地植え可能なサボテン


建物の片隅(軒下)に
露地植えされた鬼面角
 サボテンには、とても多くの種類があります。どのサボテンでも露地植えできるかというとそうではありません、種類によって耐寒性にかなりの開きがあります。低温に強いだけではなく、ある程度の多湿にも耐えることができる種類であることが必要です。
 「たぶん可能」ではいけませんので、−4℃の地方で、実際に露地植えされている種類を、ぱんさの観察から紹介します。
 
ウチワサボテン類

 これらのウチワサボテン類は、かなり耐寒性があります。「大型宝剣」などは、吹きさらしの場所でも越冬可能です。「這団扇」などは大きくなると鉢からこぼれ出てしまうので、結局露地植えと同じになります。
 ただ、ウチワサボテン類は、芒刺といって、非常に細かく、刺されれば皮膚に残ってしまう刺を持っているので、人通りが多いような場所での露地植えは危険です。
 
○這団扇
○単刺団扇
○宝剣
○大型宝剣
○銀世界
○御鏡
 



家屋の軒下に露地植えされた這団扇(冬の状態)

家屋の軒下に露地植えされた這団扇(初夏の状態)

柱サボテン類


家屋の南庭に露地植えされたブラジル柱

 これらの柱サボテン類は、ウチワサボテン類ほど耐寒性はありません。前述のポイントを守り、かなり場所を選ぶ必要があります。防寒保護をする方が安心できます。
 冬にかなり傷めると、春からの成長が思わしくありません。根元を傷めると枯死します。
 
○鬼面角
○岩石獅子
○ブラジル柱
 

玉サボテン類


エキノプシス・ヘップバーンは、エキノプシス交配種です。
温室などでぬくぬくと育てると花着きが悪くなります。
このため、露地植えで冬季に低温にさらします。
露地植えできて花もキレイ。まさに露地植えのためのサボテンです。

 エキノプシス属の一部は、かなり耐寒性があります。メインは短毛丸、花盛丸で、その性質を受け継いだ変種や交配種も越冬可能な場合があります。

○短毛丸
○花盛丸
○その他短毛丸、花盛丸の性質を受け継いだ変種・交配種
 


 


多肉植物の露地植え


当地(冬季マイナス4℃)での露地植え

【露地植え多肉PV】まずはここから見てください。





 多肉植物は、もともと分布域も全世界に及びますので、露地植えできる種類もたくさんあります。
 日本原産の多肉植物イワレンゲ等は、多肉というより山野草ですし、ヨーロッパの高山地帯が原産のセンペルピブムなら、北海道のマイナス20、30℃になる地域でも露地植えすることができます(次項「北海道十勝地方(冬季マイナス22℃)での露地植え」参照)。
 それ以外でも、ベンケイソウ科のいくつかの種類は、前述の注意を守れば、サボテンよりもずっと簡単に露地植えでき、しょぼくれて徒長した鉢植えよりも、かなり美しく育てることができます。
 注意点はサボテンと同様ですが、ただ、多肉植物の場合は冬の寒さはさほどでもなくても、夏の酷暑に弱いものがあります。例年の気候では問題なくても、2010年のような記録的酷暑時には、植物が枯死してしまう場合がありました。

多肉植物・露地植え実験リスト
ぱんさのところで、多肉植物を露地植えしてみた実験についてまとめたリストです。


 ベンケイソウ科の多肉植物の露地植えについては、「多肉植物−ベンケイソウ科−」も参照してください。


冬、雪に埋もれる多肉
この雪の下には多肉があるのだ



北海道十勝地方(冬季マイナス22℃)での露地植え



北海道十勝地方の露地植え多肉植物ガーデン
写真提供:SENさん
 この写真は、TwitterフォロワーのSEN003さん(BLOGはこちら)から頂いたもので、北海道十勝地方の露地植え多肉植物ガーデンです。同地方は、冬季マイナス22℃にもなる土地ですが、センペルピブム等は平気で越冬できます。
 私のところ(本州中部地方)では、逆に夏季が越せないために露地植えが困難です。
 このように種類さえ選べば、多肉植物の素敵な露地植えガーデンを楽しむことが可能です。
 北海道で露地植え可能な種類については、私は不案内ですので、前述のSEN003さんのBLOGを参考にされるとよいでしょう。

 
 
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