ぱんさのサボテンランド/柱サボテン雑記

柱サボテン雑記1

 
 このページは、柱サボテンに関する雑記です。柱サボテンの基礎については柱サボテンの基礎、柱サボテンの分類については柱サボテンの分類、ぱんさの柱サボテン栽培種プロフィールは、北米大陸原産柱サボテン南米大陸原産柱サボテン−1−南米大陸原産柱サボテン−2−南米大陸原産柱サボテン−3−をご覧ください。

【目次】

鬼面角とヤマカル柱

トリコケレウス・パチャノイ(多聞柱)と
ペレルビアヌス(青緑柱)

ピタハヤと神代と朝霧閣

森林性サボテンの分類

鬼面角とヤマカル柱

 鬼面角とヤマカル柱はどこが違うのか?これには、かなり難しい問題があります。従来から、この2種が混同されてきた上に、最近では、フェアリーキャッスルなどの他種の石化種を鬼面角の学名であるセレウス・ペルビヌスと呼んでみたり、ヤマカル柱といってみたりと、ひどい誤名を平気で使う園芸店もあって、余計に混乱している状況です。
 鬼面角は、古くは、学名:Cereus peruvianusに対照されていました。この学名の種小名の「peruvianus」は「ペルーの」という意味であり、永くペルー原産であると考えられてきました。ところが、命名者であるBritton、Roseが、Cereus peruvianusと名付けた植物に関しては、明確な記述、および絵がなかったので、後になって、我々が鬼面角と呼ぶ植物に、当てはめられたようです。ところが、この我々が鬼面角と呼ぶ植物はペルー原産でなく、ブラジル南部〜アルゼンチン原産らしく、ペルーの名が付きながらペルーでないというおかしなことになってしまいました。(別に、実際と名前が同じでなくてもかまいませんが・・)
 現在では、この点は整理されて、このCereus peruvianusは、Cereus hildmannianus(K. Schumが命名のもの)のシノニムになり、鬼面角=Cereus hildmannianusとスッキリしました。
 鬼面角は、適応力がかなりあるため、南米の原産地だけではなく世界各地で多く栽培されており、それに応じて園芸的なタイプやかなりの個体差が見られます。
 一方、ヤマカル柱は、学名:Cereus jamacaruに対照され、この学名の植物は、ブラジル北東部原産とされています。Cereus laetevirensとされる場合もありますが、これは旧称でCereus jamacaruのシノニムに整理されました。
 わが国においても、和名「ヤマカル柱」とよばれる植物が流通しており(フェアリーキャッスルなどの石化種をヤマカル柱と呼ぶというひどい誤名を平気で使う園芸店もありますが、これは除いて。)、このヤマカル柱と呼ばれるものを見ても、どう考えても鬼面角の刺の長い一タイプにすぎないものも、かなり違うものもあります。結局のところ、わが国の和名「ヤマカル柱」には、そもそも明確な定義があったわけでもありませんので、混乱するのもしかたがありません。海外においても、ヤマカル柱に対照される学名:Cereus jamacaruという植物について、かなりあやふやな状況が見られます。
 とりあえず、この2種の特徴を海外の記述から、まとめておきます。ただし、同種でも、稜の数や色やサイズは、環境による個体差がかなりあります。
 結果的には、わが国で、ヤマカル柱として流通するものは、まったくといってよいほど鬼面角の一タイプにすぎません。ひょっとしたら、「和名:ヤマカル柱」=「Cereus jamacaruという植物」ではなく、「和名:ヤマカル柱」=「鬼面角の刺の長いタイプ」を指すのではないかと思えるほどです。
 Cereus hildmannianusは、南回帰線を越えて分布しており耐寒性等適応力がありますが、一方のCereus jamacaruは、赤道に近いところに分布しており寒さに弱いものと推定されます。


Cereus hildmannianus(鬼面角)の刺座
6、5の刺はかなり小さく、退化しているものもあるが、7本の刺が認められる。
Cereus hildmannianus(鬼面角)
【原産】ブラジル南部〜アルゼンチン
 5〜8の肉の薄い稜があり、だいたい2cm間隔程度で刺座がある。刺座には、刺を欠くか、7本の刺(いろいろなタイプにより長さは違う。)がある。
 花は長さ15cm程度、白色で夜に咲く。熟すと裂ける卵型の赤い果実を着ける。

Cereus jamacaru(ヤマカル柱)
【原産】ブラジル北東部
 4〜6稜があり、2〜4cm間隔で刺座がある。刺座には、多数(8以上)の黄色の刺があり、中央の刺は2cmを超える
 花は長さ25cmで、外側は緑色で茶色の縁を持つ白い花弁。長さ12cmの紫色の果実を着ける。

Cereus stenogonus(鋭稜柱)
【原産】パラグアイ、アルゼンチン
 4〜6稜。刺座には、2〜4本の刺があり、長さ0.7〜1cm
 花は長さ25cmで、径8〜10cm。長さ10cmのピンクか赤色の果実を着ける。

 
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トリコケレウス・パチャノイ(多聞柱)とペレルビアヌス(青緑柱)

 なぜか「パチャノイ」や「多聞柱」を検索してこのサイトを訪問する方が多いので、これらの分類的な動向についてまとめておきます。
 ペルー高地を原産とする柱サボテンに、Trichocereus peruvianus(トリコケレウス・ペレルビアヌス)と、Trichocereus pachanoi(トリコケレウス・パチャノイ)の2種があります。現地あるいは含まれるアルカロイド「メスカリン」の特殊用途に着目する人は、この二つをまとめて「San Pedro(サンペドロ)」と呼んでいます。
 わが国への渡来も古く、Trichocereus peruvianusには「青緑柱」、Trichocereus pachanoiには「多聞柱」の名称が付けられました。
 そのほかに、類似の柱サボテンに、和名「ブラジル柱」と呼ばれるものがあり、わが国への渡来経路ははっきりしませんが、京大農場から出て普及したものは、刺の短いタイプのTrichocereus peruvianus(つまり、「青緑柱」と同じ)であると考えられています(ブラジルと付いてもブラジル原産ではない。)。
 過去の文献を探ると、Trichocereus pachanoiは緑の肌に、極めて短い刺をもつもの、Trichocereus peruvianusは、青味のある肌に短い〜非常に長く激しい刺があるもの、といった区別が見られます。
 そもそも、この2種は類似点が多く、地方変異や栽培作物としての選別や改良の可能性もあり、多くのタイプが見られます。
 Trichocereus(トリコケレウス)属は、その後、極めて近縁と考えられていたEchinopsis(エキノプシス)属に併合され、それぞれ、Echinopsis peruvianaEchinopsis pachanoiになりました。
 その後、Echinopsis peruvianaEchinopsis pachanoiの両種の類似点が検討された結果、それは同種にすぎなく、現在では、Echinopsis pachanoi(エキノプシス・パチャノイ)に一本化されており、区別する意味をなくしています。簡単にいえば、分類学的には、「青緑柱」=「ブラジル柱」=「多聞柱」=「パチャノイ」ということです。

 
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ピタハヤと神代と朝霧閣

 「ピタハヤ」というものに関してかなりの誤解がいろいろなところで見られますのでここに整理しておきます。
 まず「ピタハヤ:Pitahayo(又はピタヤ:Pitayo)」というのは、柱サボテンの食用の果実の総称です。そして、「ピタハヤ」が採れる柱サボテンで代表的なものは、
●ヒロセレウス属の柱サボテンで、「Hylocereus undatus」等一般的には「ドラゴンフルーツ」と通称されるもの。
●ステノケレウス属の柱サボテン、代表的なものは「Stenocereus pruinosus(朝霧閣)」「Stenocereus queretaroensis(太郎閣)」で、普通英名で「ピタハヤ」いえば本種を指します。
●ケレウス属の柱サボテン、代表的なものは「Cereus variabilis(神代)」又は「Cereus hildmannianus(鬼面角)」です。
ここまでは、実にすっきりしているのですが・・・
 実は「神代」には、古くに付けられた「ピタハヤ柱」という別名があります。これは「ピタハヤ」がとれる柱サボテンという意味なのですが、特に「神代」だけがピタハヤが採れる柱サボテンではないのです。
 これが大きな誤解を招いています。英名では、「ピタハヤ」はステノケレウス属の柱サボテンを示すのがほとんどです。ところが日本では「ピタハヤ柱」といえばケレウス属の「神代」を示します。
 このため、朝霧閣→(英名)ピタハヤ→(日本名の)ピタハヤ柱→神代、と誤解されて、朝霧閣等ステノケレウス属の柱サボテンに、まったくの別属別種の神代(ピタハヤ柱)の名前が間違って付いていることがままあります。その上、ご丁寧にも「Cereus variabilis」の学名が付けてあったら最悪でしょうね。
 これはいくつかのサイトで見たことがありますし、「花づくり園芸図鑑シリーズ「サボテン/多肉植物」小学館 1999年5月版」という書籍でも、「朝霧閣」らしき実生苗がケレウス属の項で「ピタハヤ柱」のキャプションが付いています。
 あなたが「ピタハヤ柱(あるいは神代)」の名前の付いたサボテンを持っているのなら、それが本当に「神代」なのか疑ってみることも必要でしょう。
 このように、柱サボテンはマイナーなために、かなりいいかげんな扱いをされてしまっていることは、とても残念なことです。
 
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森林性サボテンの分類

 一般的に森林性サボテンと呼ばれるものは、古くはリプサリス(葦サボテン)グループ、フィロカクタス(孔雀サボテン)グループ、ヒロケレウス(森林性柱サボテン)グループに分けられ、分類上ひとつのまとまりを作っていましたが、現在では、ヒロセレアエとリプサリデアエに大別されこれらの2つのグループはかなり縁遠いものとされています。非常に多くあった属も整理統合されています。
 「柱サボテン」をテーマとする当サイトとしては、ヒロセレアエの内、エピフィルム属を除いたものを森林性紐サボテンとして「柱サボテン」のカテゴリに入れています。


 
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