ぱんさのサボテンランド/柱サボテン雑記

柱サボテン雑記1
柱サボテン普及種・種類など

 
 このページは、柱サボテンに関する雑記です。柱サボテンの基礎については柱サボテンの基礎、柱サボテンの分類については柱サボテンの分類、ぱんさの柱サボテン栽培種プロフィールは、北米大陸原産柱サボテン南米大陸原産柱サボテン−1−南米大陸原産柱サボテン−2−南米大陸原産柱サボテン−3−をご覧ください。

【目次】

柱サボテン普及種・種類

鬼面角とヤマカル柱

トリコケレウス・パチャノイ(多聞柱)と
ペレルビアヌス(青緑柱)

ピタハヤと神代と朝霧閣

森林性サボテンの分類

柱サボテン普及種・種類

 サボテン科の植物は、園芸交配種、モンスト変種、斑入などを除いて8,000種ぐらいあるといわれています。そのうち、過去も含めて流通したことがあるもので3,000種ぐらいです。そのうち「柱サボテン(Columner Cactus)」とは、学術的に特別なグループがあるわけではなく、柱状になる雑多なサボテンをまとめた、あくまで園芸的な、かなりいい加減な総称です。おそらく、園芸的な区分でいう「柱サボテン」には、先の3,000種のうち、500種ぐらいでないかと思われます。その中で、比較的よく流通する普及種は、2桁に達するかどうかです。
 柱サボテンは、大型になること、扱いにくいこと、価格が安いこと(つまり儲けが少ない・・)などから、普及種を除いて入手が難しくなってしまいました。
 このページは、柱サボテンのうち、多く流通し、園芸店、ホームセンター、専門店で見られるものをまとめた一覧表です。ほぼこれらのうちどれかなので、買ってきた柱サボテンが何か分からない場合に探すのにいいでしょう。ただ、小中株と大株、ひょろひょろ栽培とガッチリ栽培では、雰囲気がかなり違い、とても同種には見えない場合があります。
 嘆かわしいことに、とんでもない誤名で流通する柱サボテンも多くあります。名前にこだわるのであれば十分注意しましょう。
 なお、園芸店では、無知から、大雲閣(Euphorbia acrurensis)、紅彩閣(Euphorbia enopla)、キリン冠(Euphorbia grandicornis)、ラン嶽(Euphorbia abyssinica)、沖天閣/インゲン柱(Euphorbia ingens)、白角キリン(Euphorbia resinifera)など柱型のユーフォルビア(トウダイグサ科)等を柱サボテンと称して売っていることがありますが、それについてはここには入りません。そもそもサボテンではないので。

画  像 流通名
学 名
備     考 流通量
ケレウス属 Cereus


刺のない園芸品種

鬼面角
Cereus hildmannianus
=Cereus peruvianus
 南米大陸原産柱サボテン1参照。
★★★
岩石獅子
岩石柱

Cereus hildmannianus f. monstruosus
=Cereus peruvianus f. monstruosus
 鬼面角のモンスト変種。
 「岩石柱」は、岩石獅子が柱状に長く伸びたもの。「柱獅子」ともいう。
★★★
電磁波吸収サボテン・セレウス
フェアリーキャッスル

Cereus 'Fairy Castle'
 南米大陸原産柱サボテン1参照。
★★★
金獅子
Cereus fernambucensis var. aureispinus f. monstruosus
(=Cereus variabilis var. aureispinus f. monstruosus)
 ゴチャゴチャと乱れた姿に黄刺。乱れ方にはいろいろなタイプがあり、写真のものの様に激しく仔吹きするものや、仔吹きはさほどでもないが、成長点が乱れて綴化したもの等がある。
 若干の斑入で綴化したものが「オヤジのげんこつ」という商品名で出ているのは笑える。
 Cereus fernambucensis(=連城角(Cereus variabilis)/=神代(Cereus neotetragonus))(注1)の黄刺のモンスト品種とされる。
 「天の逆鉾」とよばれる種類は、やや大型。古くはヤマカル柱のモンストと言われていたが、起源ははっきりしない。金獅子のタイプのひとつかもしれない。
 原種は、ブラジル南部沿岸地方
★★★
残雪の峰
Cereus spegazzinii f. crist.
(=Monvillea spegazzinii f. crist.)
 旧モンビレア属
 残雪(Cereus spegazzinii
(=Monvillea spegazzinii))の綴化品種
 南米南部原産
★★★
クレイストカクツス属 Cleistocactus
吹雪柱
Cleistocactus strausii
 多稜。白刺が全身を覆う。
 かって普及種であったが、今は白閃(Cleistocactus hyalacanthus)に押されてほとんど見ない。
 ボリビア、アルゼンチン原産
白閃
Cleistocactus hyalacanthus
 南米大陸原産柱サボテン1参照。
★★★
黄金紐(黄金柱)
ウインテリ
Cleistocactus winteri =Winterocereus aureispinus
 南米大陸原産柱サボテン1参照。
★★★
ハリシア属 Harrisia
袖ヶ浦
Harrisia "Jusbertii"
=Eriocereus jusbertii
 接木の台木としてのニーズが多く、大量に生産されている。ただ、観賞用としてのニーズがないため、園芸店やホームセンターでは見かけない。
 ハリシア属の臥竜とエキノプシス属の何かの間に生まれた属間交配種が起源とされる。
 南米大陸原産柱サボテン1参照。
ミルチロカクツス属 Myrtillocactus
竜神木
Myrtillocactus geometrizans
 小、中苗の頃は5稜、大きくなると6稜〜。青磁の肌に、短くまばらな刺。
 接木の台木としてのニーズが多く、大量に生産されている。観賞用としても、最近は流通が多い。
 メキシコ中部原産
★★★
福禄竜神
Myrtillocactus geometrizans f.monstrosus
 竜神木のモンスト品種。稜が疣状になる。 ★★
仙人閣
Myrtillocactus schenckii
 寄せ植えなどのアクセントに用いられる。単独で流通することは少ない。
 メキシコ中部原産
ポラスキア属 Polaskia
雷神閣
Polaskia chichipe
 北米大陸原産柱サボテン参照。
ネオライモンディア属 Neoraimondia
飛鳥閣
Neoraimondia herzogiana
=Neocardenasia herzogiana
 南米大陸原産柱サボテン3参照。
トリコケレウス属 (現エキノプシス属)TrichocereusEchinopsis

ブラジル柱タイプ

青緑柱タイプ
青緑柱
ブラジル柱

Trichocereus peruvianus(Echinopsis peruviana)
 南米大陸原産柱サボテン2参照。
ピロソケレウス属 Pilosocereus
春衣
Pilosocereus palmeri
 濃緑の肌、刺座から羊毛を発生させる。
 メキシコ南部〜中米原産
★★
アズレウス柱
Pilosocereus pachycladus
=Pilosocereus azureus
 南米大陸原産柱サボテン2参照。
★★★
パキケレウス属 Pachycereus
武倫柱
Pachycereus pringlei
 北米大陸原産柱サボテン参照。
★★★
白雲閣
Pachycereus marginatus
 北米大陸原産柱サボテン参照。
★★★
カーネギア属 Carnegia
弁慶柱
Carnegia gigantea
 北米大陸原産柱サボテン参照。
ステノケレウス属 Stenocereus
朝霧閣
Stenocereus pruinosus
 北米大陸原産柱サボテン参照。
★★★
太郎閣
Stenocereus queretaroensis
 北米大陸原産柱サボテン参照。
★★★
大王閣
Stenocereus thurberi
 北米大陸原産柱サボテン参照。
ステトソニア属 Stetsonia
近衛
Stetsonia coryne
 南米大陸原産柱サボテン3参照。
★★
エスポストア属 Espostoa
老楽
Espostoa lanata
 南米大陸原産柱サボテン2参照。
★★★
銀河楽
Espostoa huanucensis
幻楽
Espostoa melanostele
アロハドア(アロヤドア)属 Arrojadoa
アンギネア
Arrojadoa aureispina var. anguinea
 多稜、細い褐色の刺を密生する。1m程度まで立ち上がり、のちに斜めになる。
 頂部に花座を作り、濃いピンクの花を束状に咲かせる。
 ブラジル東部原産
ヒロケレウス属 Hylocereus
ドラゴンフルーツ
ピタハヤ

Hylocereus undatus
Hylocereus costaricensis
Hylocereus polyrhizus
Hylocereus ocamponis

等を母種とした交配種
 柱サボテンというより毛色の変わった果樹のような扱い。
 中米原産
★★★
注1)連城角(Cereus neotetragonus)、神代(Cereus variabilis)は、Cereus fernambucensisのシノニムとされた。  
先頭の目次へ

 

鬼面角とヤマカル柱

 鬼面角とヤマカル柱はどこが違うのか?これには、かなり難しい問題があります。従来から、この2種が混同されてきた上に、最近では、フェアリーキャッスルなどの他種の石化種を鬼面角の学名であるセレウス・ペルビヌスと呼んでみたり、ヤマカル柱といってみたりと、ひどい誤名を平気で使う園芸店もあって、余計に混乱している状況です。
 鬼面角は、古くは、学名:Cereus peruvianusに対照されていました。この学名の種小名の「peruvianus」は「ペルーの」という意味であり、永くペルー原産であると考えられてきました。ところが、命名者であるBritton、Roseが、Cereus peruvianusと名付けた植物に関しては、明確な記述、および絵がなかったので、後になって、我々が鬼面角と呼ぶ植物に、当てはめられたようです。ところが、この我々が鬼面角と呼ぶ植物はペルー原産でなく、ブラジル南部〜アルゼンチン原産らしく、ペルーの名が付きながらペルーでないというおかしなことになってしまいました。(別に、実際と名前が同じでなくてもかまいませんが・・)
 現在では、この点は整理されて、このCereus peruvianusは、Cereus hildmannianus(K. Schumが命名のもの)のシノニムになり、鬼面角=Cereus hildmannianusとスッキリしました。
 鬼面角は、適応力がかなりあるため、南米の原産地だけではなく世界各地で多く栽培されており、それに応じて園芸的なタイプやかなりの個体差が見られます。
 一方、ヤマカル柱は、学名:Cereus jamacaruに対照され、この学名の植物は、ブラジル北東部原産とされています。Cereus laetevirensとされる場合もありますが、これは旧称でCereus jamacaruのシノニムに整理されました。
 わが国においても、和名「ヤマカル柱」とよばれる植物が流通しており(フェアリーキャッスルなどの石化種をヤマカル柱と呼ぶというひどい誤名を平気で使う園芸店もありますが、これは除いて。)、このヤマカル柱と呼ばれるものを見ても、どう考えても鬼面角の刺の長い一タイプにすぎないものも、かなり違うものもあります。結局のところ、わが国の和名「ヤマカル柱」には、そもそも明確な定義があったわけでもありませんので、混乱するのもしかたがありません。海外においても、ヤマカル柱に対照される学名:Cereus jamacaruという植物について、かなりあやふやな状況が見られます。
 とりあえず、この2種の特徴を海外の記述から、まとめておきます。ただし、同種でも、稜の数や色やサイズは、環境による個体差がかなりあります。
 結果的には、わが国で、ヤマカル柱として流通するものは、まったくといってよいほど鬼面角の一タイプにすぎません。ひょっとしたら、「和名:ヤマカル柱」=「Cereus jamacaruという植物」ではなく、「和名:ヤマカル柱」=「鬼面角の刺の長いタイプ」を指すのではないかと思えるほどです。
 Cereus hildmannianusは、南回帰線を越えて分布しており耐寒性等適応力がありますが、一方のCereus jamacaruは、赤道に近いところに分布しており寒さに弱いものと推定されます。


Cereus hildmannianus(鬼面角)の刺座
6、5の刺はかなり小さく、退化しているものもあるが、7本の刺が認められる。
Cereus hildmannianus(鬼面角)
【原産】ブラジル南部〜アルゼンチン
 5〜8の肉の薄い稜があり、だいたい2cm間隔程度で刺座がある。刺座には、刺を欠くか、7本の刺(いろいろなタイプにより長さは違う。)がある。
 花は長さ15cm程度、白色で夜に咲く。熟すと裂ける卵型の赤い果実を着ける。

Cereus jamacaru(ヤマカル柱)
【原産】ブラジル北東部
 4〜6稜があり、2〜4cm間隔で刺座がある。刺座には、多数(8以上)の黄色の刺があり、中央の刺は2cmを超える
 花は長さ25cmで、外側は緑色で茶色の縁を持つ白い花弁。長さ12cmの紫色の果実を着ける。

Cereus stenogonus(鋭稜柱)
【原産】パラグアイ、アルゼンチン
 4〜6稜。刺座には、2〜4本の刺があり、長さ0.7〜1cm
 花は長さ25cmで、径8〜10cm。長さ10cmのピンクか赤色の果実を着ける。

 
先頭の目次へ

 

トリコケレウス・パチャノイ(多聞柱)とペレルビアヌス(青緑柱)

 なぜか「パチャノイ」や「多聞柱」を検索してこのサイトを訪問する方が多いので、これらの分類的な動向についてまとめておきます。
 ペルー高地を原産とする柱サボテンに、Trichocereus peruvianus(トリコケレウス・ペレルビアヌス)と、Trichocereus pachanoi(トリコケレウス・パチャノイ)の2種があります。現地あるいは含まれるアルカロイド「メスカリン」の特殊用途に着目する人は、この二つをまとめて「San Pedro(サンペドロ)」と呼んでいます。
 わが国への渡来も古く、Trichocereus peruvianusには「青緑柱」、Trichocereus pachanoiには「多聞柱」の名称が付けられました。
 そのほかに、類似の柱サボテンに、和名「ブラジル柱」と呼ばれるものがあり、わが国への渡来経路ははっきりしませんが、京大農場から出て普及したものは、刺の短いタイプのTrichocereus peruvianus(つまり、「青緑柱」と同じ)であると考えられています(ブラジルと付いてもブラジル原産ではない。)。
 過去の文献を探ると、Trichocereus pachanoiは緑の肌に、極めて短い刺をもつもの、Trichocereus peruvianusは、青味のある肌に短い〜非常に長く激しい刺があるもの、といった区別が見られます。
 そもそも、この2種は類似点が多く、地方変異や栽培作物としての選別や改良の可能性もあり、多くのタイプが見られます。
 Trichocereus(トリコケレウス)属は、その後、極めて近縁と考えられていたEchinopsis(エキノプシス)属に併合され、それぞれ、Echinopsis peruvianaEchinopsis pachanoiになりました。
 その後、Echinopsis peruvianaEchinopsis pachanoiの両種の類似点が検討された結果、それは同種にすぎなく、現在では、Echinopsis pachanoi(エキノプシス・パチャノイ)に一本化されており、区別する意味をなくしています。簡単にいえば、分類学的には、「青緑柱」=「ブラジル柱」=「多聞柱」=「パチャノイ」ということです。

 
先頭の目次へ

 

ピタハヤと神代と朝霧閣

 「ピタハヤ」というものに関してかなりの誤解がいろいろなところで見られますのでここに整理しておきます。
 まず「ピタハヤ:Pitahayo(又はピタヤ:Pitayo)」というのは、柱サボテンの食用の果実の総称です。そして、「ピタハヤ」が採れる柱サボテンで代表的なものは、
●ヒロセレウス属の柱サボテンで、「Hylocereus undatus」等一般的には「ドラゴンフルーツ」と通称されるもの。
●ステノケレウス属の柱サボテン、代表的なものは「Stenocereus pruinosus(朝霧閣)」「Stenocereus queretaroensis(太郎閣)」で、普通英名で「ピタハヤ」いえば本種を指します。
●ケレウス属の柱サボテン、代表的なものは「Cereus variabilis(神代)」又は「Cereus hildmannianus(鬼面角)」です。
ここまでは、実にすっきりしているのですが・・・
 実は「神代」には、古くに付けられた「ピタハヤ柱」という別名があります。これは「ピタハヤ」がとれる柱サボテンという意味なのですが、特に「神代」だけがピタハヤが採れる柱サボテンではないのです。
 これが大きな誤解を招いています。英名では、「ピタハヤ」はステノケレウス属の柱サボテンを示すのがほとんどです。ところが日本では「ピタハヤ柱」といえばケレウス属の「神代」を示します。
 このため、朝霧閣→(英名)ピタハヤ→(日本名の)ピタハヤ柱→神代、と誤解されて、朝霧閣等ステノケレウス属の柱サボテンに、まったくの別属別種の神代(ピタハヤ柱)の名前が間違って付いていることがままあります。その上、ご丁寧にも「Cereus variabilis」の学名が付けてあったら最悪でしょうね。
 これはいくつかのサイトで見たことがありますし、「花づくり園芸図鑑シリーズ「サボテン/多肉植物」小学館 1999年5月版」という書籍でも、「朝霧閣」らしき実生苗がケレウス属の項で「ピタハヤ柱」のキャプションが付いています。
 あなたが「ピタハヤ柱(あるいは神代)」の名前の付いたサボテンを持っているのなら、それが本当に「神代」なのか疑ってみることも必要でしょう。
 このように、柱サボテンはマイナーなために、かなりいいかげんな扱いをされてしまっていることは、とても残念なことです。
 
先頭の目次へ

 

 

森林性サボテンの分類

 一般的に森林性サボテンと呼ばれるものは、古くはリプサリス(葦サボテン)グループ、フィロカクタス(孔雀サボテン)グループ、ヒロケレウス(森林性柱サボテン)グループに分けられ、分類上ひとつのまとまりを作っていましたが、現在では、ヒロセレアエとリプサリデアエに大別されこれらの2つのグループはかなり縁遠いものとされています。非常に多くあった属も整理統合されています。
 「柱サボテン」をテーマとする当サイトとしては、ヒロセレアエの内、エピフィルム属を除いたものを森林性紐サボテンとして「柱サボテン」のカテゴリに入れています。


 
先頭の目次へ

 

 
『柱サボテンの基礎知識』に戻る

『ぱんさのサボテンランド』に戻る